ずっと単色が続いていたから、そろそろクレイジーでやりたかった。
ー 今回は定番の「Beta Jacket」、そして3つのバッグを別注しています。どのようにして企画が進行していくんですか?
新井:〈アークテリクス〉との協業では、いつもぼくらがブランドサイドにプレゼンするんです。チームで話し合って、配色やテーマを決めて、それを何十案も提案して。その中から〈アークテリクス〉が、そのときのムードに合ったものをチョイスするんです。
小林:プレゼンした後、結構ソワソワした気持ちになるんですよ。どのテーマがピックアップされるのかが気になってしょうがなくて。
新井:カナダとロンドン、そして日本を繋いだオンラインのミーティングで発表があって、どうしてそのテーマを選んだのか意図を説明してもらって。そこからさらにアイテムの魅力を高めていくためにディスカッションがスタートするんです。
ー 何十案も提案した中からひとつ選ばれると。
新井:そうですね。その案の一つひとつにストーリーやテーマを込めていて。それを「ビームス」のバイヤーチームみんなで考えるんです。
ー アイテムの選定はできるんですか?
新井:それは〈アークテリクス〉からリクエストがくるんです。今回はコレで、という感じで。
ー ちなみに今回のアイテムは、どういったテーマで提案されたものなんですか?
新井:今回、グローバル展開するにあたって日本らしいテーマを提案したんです。“紅葉”とか、“コンクリートジャングル”とか、“侘び寂び”っていうテーマもプレゼンして。その結果、〈アークテリクス〉サイドからこのカラーがあがってきたんですけど、ぼくらが提案したいくつかの案をミックスしたカラーリングになってますね。いいとこ取りな感じです(笑)。
小林:〈アークテリクス〉のシーズンテーマやカラーにマッチした色が選ばれてますね。
ー なるほど。A案、B案、C案を上手にミックスしてこのカラーになっていると。
新井:そうなんです。だから本当の意味での協業になっているというか。それで最終的に「DIMENSIONS」というテーマが決まりました。
ー 「DIMENSIONS」は、“次元”という意味ですよね。
小林:いろんな角度、次元から見る自然の色というのが大枠の意味ですね。空から見た地形であったり、フィールドから見える岩や地層、しゃがみこんだときに気づく石や砂の細かなディテールなど。そこに共通して含まれる色が今回使用されているんです。
新井:〈アークテリクス〉らしい世界観ですよね。
小林:ミーティングのときに地層のイメージとかを見せてもらって。たしかに地層ってレイヤーになっていて全部同じ色ではないんですよね。遠くから見るとひとつの色に見えるかもしれないけど、近くから見るといろんな層があって、いろんな色で構成されていることがわかるというか。
ー だからこうしてクレイジーパターンになっているんですね。
小林:これはぼくたちがずっとやりたかったパターンなんですよ。そのためのプレゼンシートをいくつくもつくって。
新井:ずっと単色の別注が続いていたので、そろそろクレイジーでやりたいなと。SNSを見ていると、過去のクレイジーパターンの別注が反響あるんです。なので「お待たせしました!」という感じですね(笑)。
ー カラーリングも絶妙で、クレイジーパターンだと派手な印象になりがちですが、これはすごく落ち着いていて取り入れやすそうだなと。
新井:〈アークテリクス〉の洗練されたムードと合ってますよね。
小林:〈アークテリクス〉のデザインチームの中にはカラーリングを決めるデザイナーもいて、完成されたバランスで仕上がってますよね。「Beta Jacket」に関しては、袖が白っていうのがいいなぁと。アウトドアギアで白ってなかなかないと思うので。
新井:むかしナチュラルカラーで別注したことあったけど、ここまでの白は今回がはじめてだよね。
ー 「Mantis 2 Waistpack」はジャケットに合わせたカラーリングで、一方「ビームス ボーイ」が別注した「Mantis 1 Waistpack」と「Mantis 26 Backpack」も潔いカラーリングが魅力的ですね。
新井:これはもう「やられた!」って感じです。かっこいい。
小林:ありそうでなかった色ですよね。