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ディレクター吉川基希と共に編む、 BEAMSの解体新書。第1章「IMA:ZINEのTANYと、スタイリングについて」
STRATEGY OF BEAMS

ディレクター吉川基希と共に編む、 BEAMSの解体新書。第1章「IMA:ZINEのTANYと、スタイリングについて」

「URABAN ACTIVITY LABO」というシーズンテーマを設ける2022年秋冬の「ビームス(BEAMS)」。“都会的な活動をするための架空の研究所” から生まれたウェアの数々をどのように攻略していけばいいのか? メンズカジュアル部門のディレクターを務める吉川基希さんと一緒に、その方法を探ります。
今回は吉川さんの盟友である大阪「IMA:ZINE」のTANY(谷篤人)さんをゲストに迎え、「ビームス」の今シーズンのスタイリングを軸に、アイテムの魅力やいまのトレンドについて語ってもらいました。

  • Photo_Masashi Ura
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Yuri Sudo

多様性がある時代だからこそ、「ビームス」らしさを失わないように。

ー今シーズンの「ビームス」は“URBAN ACTIVITY LABO”というテーマでものづくりや別注をされていますよね。

吉川: 都会的な活動をするための研究所でつくった服、という回りくどい言い方をしているんですけど(笑)。めちゃくちゃ簡単に説明すると、アウトドアのエッセンスを現代的にこなした服がラインナップしています。

とはいえ、そうしたテーマ性のある服は一部だけで、もともと「ビームス」が得意とするアメカジのムードをいまの空気感とブレンドして提案してますね。なので今回組んだスタイリングも、「ビームス」のアメカジをいまの時代感で表現しています。

谷: アイテムもアメカジ色強いよね。

吉川: アメカジはやっぱり基本だからね。デニムをよく使っていたり、最近ストリートでも注目されているカバーオールがあったり、あとはトレンドの要素を入れていく上でカーディガンは外せなくて。

谷: たしかにカーディガンは勢い感じるわ。

吉川: ここ最近はモヘアカーディガンが爆発的に売れていたけど、8月、9月はそれだと暑いでしょう? だからいまの季節に着やすい素材使いにしていたりとか。

谷: さすが。そういうところに吉川らしさを感じるわ。

ーさっき谷さんがおっしゃっていたように、ちょっとしたところをいじっているアイテムが多くラインナップしているんですね。

吉川: そうですね。だけど、いまはシルエットがすごく難しくなってきたというのを感じています。ここ数年オーバーサイズがすごく流行っていて、「ビームス」のオリジナルもめちゃくちゃ大きくつくっていたけど、スタッフから「デカすぎる」っていう声もここ最近増えてきていて。ストリートでも20代の子たちのスタイルを見ていると、サイズ感が落ち着いてきているんですよ。

谷: たしかに、そうかもしれんわ。

吉川: だけど、ぼくらの世代は一度大きくすると戻すのが大変だったりして(笑)。

谷: カラダも大きくなってるし、大きい服はラクやからね。

吉川: そういう意味で二極化しているというか。だからアイテムによってはちょっとサイズ感を落ち着かせたり、大きなままにしたり、バランスを見ていますね。なんでも大きくすればいいっていうもんじゃないなぁと。

谷: そこが難しいところやね。自分のお店でも若い子が多いんだけど、カラダが細いから夏にショーツを穿かないっていう子もいたりして。あとは肌を見せたくないとか、そういう子もいるんだよね。サイズ感でいうと、細いからなるべくジャストで着たいっていう声もあるし。

一方でぼくらの世代でいうと、さっき話したみたいにカラダがだんだんデカくなってきてラクな服をきたいとか、需要がすごく極端というか。だから正解がない。吉川も考えること多いでしょ?

吉川: 多様化しすぎて一個に絞れないという悩みはあるね。だけど、なんでもありになっちゃうと大事なものを見失うから、「ビームス」が本来持っているスタイルはブラさないように気をつけていて。それはスタイリングの提案もそうなんだよね。

STYLE1.

〈ビームス〉カーディガン ¥12,100、ロングスリーブTシャツ ¥7,150、パンツ ¥17,600、〈ビルケンシュトック〉シューズ ¥20,900
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吉川: また話が戻るんだけど、たとえば今季のこのカーディガンを使ったスタイリングは自分が「ビームス」に入ってから得た経験とか見てきたものが反映されているんだよね。ぼくはむかしから軍パンをよく穿いているんだけど。

谷: 吉川のアイコンになってたもんな(笑)

吉川: そうそう(笑)。それでこのカーディガンに軍パンを合わせているんだけど。

谷: あぁ~! これとおなじ着こなしを15年前に見てるわ(笑)

吉川さんの実際の私物。これがデザインソースに。

吉川: そんなにむかしじゃないでしょ(笑)。それで当時着ていた私物も持ってきているんだけど。〈レマメイヤー〉のストライプカーディガンに軍パン、それで足元は〈オールデン〉のローファーを合わせてて。自分が20歳くらいの頃に先輩がそういう格好をしていたんですよ。軍パンにブレザーとか、革靴を合わせるっていう。それがまたいいなぁと思っていて。

谷: 〈レマメイヤー〉は自分も真似して着てたなぁ(笑)。だけどひねくれ者なんで、カーディガンじゃなくてプルオーバーでしたけど。すっごいマルチのストライプやったな。

吉川: 「ビームス」のカジュアルではもうちょっとわかりやすく、真似しやすくする必要があるから、カーディガンのストライプもスクール感を残しながらもっと着やすいものに変えたり、軍パンも硬い生地ではなくて、もっと穿き心地のいい生地に変えたりしているのが今季の打ち出しです。

谷: なるほどなぁ。今日も9月なのに暑いじゃないですか。だけどTシャツだとちょっと物足りないというか、そろそろ夏とは違う着こなしがしたい。それでなに着る? ってなったときに、こういうカーディガンは重宝しますよね。

吉川: これはあえて凹凸感のある生地を使っていて、肌の接地面が少ないから涼しく着られるようにしてますね。

STYLE2.

〈ビームス〉ブルゾン ¥18,700、〈ラコステ × ビームス〉ロングスリーブTシャツ ¥13,200、〈グラミチ × ビームス〉パンツ ¥14,080、〈ナイキ〉シューズ ¥11,000
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ーつづいてカバーオールとスエットパンツのスタイリングはいかがでしょうか?

吉川: 一般的なスエットパンツってシルエットが野暮ったいだけど、このパンツは〈グラミチ〉との別注でシルエットがすごくきれいなのが特徴です。それで、この上にカバーオールを合わせる着こなし。自分自身も高校生くらいのときにやってたんですよ。

谷: ちなみに自分もコレ、してました(笑)。

吉川: カバーオールもヴィンテージだと縦落ち感が強いから、加工はしつつもフラットな色落ちを目指しました。あえてヴィンテージ感を薄めているんです。

谷: それでまた襟をコーデュロイにして。この色落ち感とコーデュロイの素材感の相性がバッチリやん。

吉川: 色落ちが本気すぎると、やっぱりちょっと嘘くさくなっちゃうでしょう。いまだったらこれくらいの方が若い子たちも着やすいのかなと。レギュラー古着みたいな感覚ですね。むかしだとリアルに近づけるのがカッコいいっていう風潮があったと思うんですけど、またそれとは時代も変わってますからね。

ーこうゆうスタイリングに足元はワークブーツを合わせるひとも多かったと思うんですが、今回は〈ナイキ〉の「エア フォース1」を合わせていますね。

吉川: そうですね。ちょっと重たいかなと思ったんで。

谷: インナーの白もそれによってなじんでるね。

吉川: このインナーは〈ラコステ〉の別注。〈グラミチ〉もそうなんだけど、グローバルブランドとのコラボレーションも「ビームス」の強みだから、そういうアイテムも積極的に取り入れてるんだよね。

谷: インナーとシューズの色合わせによって、カバーオールの雰囲気もちょっと変わってくるというか。いわゆるアメカジ色がすこし薄まる感覚やね。

ーこれで足元がワークブーツだと、カバーオールを脱いだときに違和感が生まれるような気がするんですが、「エア フォース1」を持ってくることでカバーオールを脱いでも成立しますよね。

谷: たしかに。カバーオール脱いだら全然ちがうスタイリングになる。それがすごいですね。シーンが変わるというか。二面性のあるスタイリングですごいな。

吉川: パンツも野暮ったいシルエットだとルーズになりすぎてしまうから。そこは〈グラミチ〉のきれいさを最大限に活かしたスタイリングにしています。

STYLE3.

〈ビームス〉ハット ¥4,950、シューカット ¥14,300、〈チャンピオン × ビームス〉ラガーシャツ ¥14,080、〈ドクターマーチン〉シューズ ¥24,200
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ーではつづいてのスタイリングはいかがでしょうか?

吉川: 〈チャンピオン〉に別注したラガーシャツに、シューカットのチェックのパンツ、そして〈ドクターマーチン〉のシューズを合わせています。ヨーロッパのユースカルチャーをイメージしていて、『トレインスポッティング』とか、ジャミロクワイとか、ああいうムードを彷彿とさせるような感じ。

谷: ユーロのユースカルチャーはものすごい感じるね。このパンツもシルエットがキレイだね。

吉川: ここにユーロっぽいテイストがあるかなと。そこに襟つきのアイテムを合わせることで上品さが生まれるというか。足元の〈ドクターマーチン〉もひとつポイントで、ストリート感がありつつも、黒で引き締め効果もあって。

ーここで月桂樹でおなじみのあのブランドのポロを取り入れるのではなく、あえて〈チャンピオン〉にしているところもユニークです。

吉川: そうなんですよ。ゴリゴリのロンドンスタイルにするんじゃなくて、カルチャーをミックスさせたくて。それも「ビームス」のメンズカジュアルの得意とすることなので。

谷: これもパンツを変えるとまた全然ちがうカルチャーになるよね。やっぱりこのスタイリングは〈チャンピオン〉っていうのがミソだと思う。ユーロもアメカジも両方いけるのは、このラガーシャツのサイズ感とか上品な色味があるからなんだよね。そのさじ加減がやっぱり上手だなと。

ーではつづいてのスタイリングはいかがでしょうか?

吉川: サーマルのフーディの上にシャツ感覚で着られるダック地のカバーオールを合わせていて、迷彩柄のミリタリーパンツとジャーマントレーナーを合わせています。それで谷に聞いてみたいんだけど、これはどんなところがポイントになっていると思う?

STYLE4.

〈ビームス〉ブルゾン ¥16,500、フーディ ¥8,800、パンツ ¥16,500、シューズ ¥14,300
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谷: ジャーマントレーナーを持ってきているあたりに、さっきと似たようなユーロのユースカルチャーの香りを感じるけど。

吉川: 惜しい! トップスはアメリカンなテイストで、パンツとシューズはヨーロッパのテイストを持ってきてMIXしているんですよ。

谷: 質問のところからもう一回やり直しさせて(笑)。せやな、これはミックスされてるわ。

吉川: パンツの柄が強いから、他はベージュやホワイトで落ち着かせています。アメリカのミリタリーとちがってヨーロッパの軍モノは上品さがある。そこにトップスはちょっと武骨な感じをプラスして、バランスを見ているというか。

これは今シーズンのテーマを反映させたスタイリングになってますね。カバーオールは本来タフなアイテムなんだけど、ライトオンスな生地を使うことで着やすくしてます。シルエットも身幅広めで丈は短めにすることで、レイヤードを楽しめるように調整していて。

谷: なんとなく吉川の音楽的ルーツも見えるんやけど、どう?

吉川: いま思えばそうかもね。もともと90年代の四つ打ちの音楽が好きで、アンダーワールドやプロディジー、それにマッシヴ・アタックとかをよく聴いていたんだけど。とくに80年代末にイギリスのマンチェスターで起こったレイブカルチャーが好きで、それが無意識のうちに反映されているかもしれない。

谷: 自分はこれを見て、若い子たちがいまレイブカルチャーに興味を持ち出している感じとリンクするなぁと思ったんだよね。

吉川: イギリスのレイブカルチャーも、当時はサッチャー政権の下で、めちゃくちゃ景気が悪いなかではじまって。そういうときに新しいカルチャーが生まれるんだよね。いまもパンデミックが起こって、不安定な世の中になっているでしょ。だからなにかがまた新しく生まれる予感はするんだよね。ヒッピーカルチャーもそうじゃん。明治維新もそう。

谷: このスタイルを見たときに音のカルチャーを感じたというか、踊りに行くときの服装だなっていう気がしたんですよ。

吉川: 80年代のレイブの写真を見ていると、やっぱり軍パンを穿いているひとがいて。外だからロッカーもない中で踊っていて、だから収納力のある軍パンが重宝するでしょ。それに生地もタフだし。だからそういう風にこのスタイリングを見てくれたのはなんだかうれしいな。

谷: ジャーマントレーナーもいいんだけど、自分だったら〈ナイキ〉の「エア クキニ」とか「ショックス」を合わせてみたいですね。なんか音が感じ取れるスタイリングだよね。

吉川: 俺の説明を超えてきたね。

谷: いま吉川が言った言葉、絶対に書いてくださいね(笑)。

STYLE5.

〈ビームス〉ブルゾン ¥18,700、シャツ ¥13,200、パンツ ¥11,000、キャップ ¥4,290、〈ティンバーランド〉シューズ ¥19,800
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ーでは最後にこちらのスタイリングを。

吉川: 最後はオーセンティックに。ブラックウォッチのB.Dシャツにチノパン、その上からドリズラーを合わせるっていう定番的な着こなし。いまっぽい言い方をするとシティボーイ・スタイルなんだけど、それをサイズ感で現代風にしています。

谷: 〈ティンバーランド〉の3アイレットがいいね。

吉川: ここ数年また人気だよね。あと、メガネもポイントなんですけど、これ見覚えない?

谷: これはぼくが「ビームス」を退社するときに、彼と物々交換をしてあげたやつですね(笑)。フレームが全部シルバーなんですよ。

吉川: こういうメガネって似合うひととそうじゃないひとがいるんだけど、モデルが似合ってたので。かけることによって上品さがより際立つでしょ。

ーそうやって小技も効かせていると。

谷: サングラスにするとまた雰囲気変わるよね。そのときはボタンダウンのボタンを外してちょっとやんちゃな感じにしてみたり。

吉川: それ、谷がよくやってたやつでしょ(笑)。わざと片側の襟のボタンだけ外してさ。それで上司によく怒られてたよね。

吉川: 勝手なことすんなってね(笑)。だけど、そういう遊びがあってもいいと思うんですよ。こういう王道的な着こなしならなおさら。靴を変えるだけでもムードが変わるし、アイウェアとかキャップを変えるのもいい。王道だからこそ遊べるというか。こういう着こなしはなくならないしね。

谷: なくならないね。やっぱりいつの時代も安心感があるというか。お父さんお母さんも息子に勧めやすいんじゃないかな。「これなら買ってやる」みたいな(笑)

INFORMATION

BEAMS 22AW COLLECTION

公式サイト
Instagram:@ beams_official
@beams_mens_casual

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