風土に根ざすもの、こと。
八丈島でできることは、自然でのアクティビティだけじゃない。小さな島にも、ならではの文化がある。代表的なものが黄八丈。

「孫の代まで色褪せない」と言われる黄八丈。糸がとにかく美しい。
日本三大紬に数えられる「黄八丈」は、黄色、樺色、黒色の3色を基調とした絹織物。いまから800年以上前の平安時代から織られていたとされ、かつては年貢の代わりに幕府へと納められていたという。
最大の特徴は染め。島内の植物を使い、黄色は八丈刈安(コブナ草)、樺色はマダミ(タブの木)の樹皮、黒色は椎の木の樹皮と沼浸けで染められている。
かつては200人の織子さんがいたものの、現在は50人ほど。「八丈民芸 やました」では、黄八丈の織物体験をすることができる。



「ぼくのおばあちゃんも、黄八丈の着物を持っているんです。八丈島に住んでいたときは全然興味がなかったけど、大人になると、こういうことにも興味が湧いてきますよね」
職人歴15年以上の先生にレクチャーを受け、リズミカルに黄八丈を織っていくKOZAKANAくん。「通してトン、足を替えてトン、通してトン、踏み替えてトン」という職人さんの掛け声で、足のペダルを踏み、糸を通し、黄八丈の柄ができていく。
50分後に完成した15センチ四方の黄八丈は、2週間後に発送してくれるという。職人さんの総評は「ちょっと雑でしたけど、チャレンジングでした(笑)」。

八丈民芸 やました
住所:東京都八丈島八丈町三根1029-7
電話:04996-2-3476
時間:9:00〜17:00(体験9:30~16:30要予約)
定休日:不定休
次に向かったのは、島で最大の土産物がラインナップされている「民芸あき 本店」。空港にも支店がある、人気のお店。
「八丈のお土産はいつもここで買っている」というKOZAKANAくんが、必ず買うものが3つある。それはパッションフルーツのジュースと、黄八丈サブレと、ひんぎゃの塩。
「八丈ってパッションフルーツも有名で、レトロなパッケージのパッションジュースは必ず買って行くんです。ソーダを入れてもいいし、お酒で割ってもいい。そして鳩サブレじゃなく、八丈島と言えばの黄八丈サブレもバターの風味が芳醇で美味しいんです。ひんぎゃの塩は青ヶ島の名産品で、粒が荒くて旨味も濃く、いろんなものにかけて食べてます」


※価格は2022年9月の取材時のものです
ほかにも、近海の魚をはじめ、「情け島」や「島流し」といった八丈島の焼酎も豊富に取り揃えている。八丈ならではのくさや、アシタバを使った土産物、スーベニアTシャツもあり。ステッカーなんかも、クセになる可愛らしさ。

民芸あき 本店
住所:東京都八丈島八丈町三根1542
電話:04996-2-2093
時間:8:30〜17:30
定休日:なし

「せっかくだから夕陽でも見に行きましょう」と提案してくれたKOZAKANAくん。彼いわく、八丈島の夕陽は絶景らしい。そうして向かった夕日ヶ丘は、その名の通り、八丈島随一の夕陽が見られるスポット。時刻は18:00。太陽が真っ赤になり、雲を染め、八丈小島に沈んでいく。

無人島である八丈小島。以前はヤギが大量に生息する島として有名だった。漁船をチャーターするか、ツアーに参加することで上陸できる。
「めちゃくちゃ綺麗じゃないですか? 住んでいた頃は、おじいちゃんと頻繁に来ていたんです。(一呼吸置いて)都心も楽しいんだけど、やっぱりぼくは自然の中がいい。いつかはこっちに戻ってきて、ゲストハウスとかやってみたいんですよね」
地元民も多く集まるこの場所で見る夕陽は、大げさではなく不思議な力がある。焚き火の前ではなんでも話せるように、夕日ヶ丘で落ちていく太陽を眺めていると、本音がトボトボと漏れてくる。ちなみに、日中に訪れても、八丈ブルー(八丈島の海は濃い青をしているため、そう呼ばれている)を一望することができて、運がよければクジラやイルカも肉眼で見ることができる。
夕日ヶ丘
住所:東京都八丈島八丈町大賀郷