Style04_PETIT NEW STANDARD

〈A.P.C.〉コート ¥75,900、デニムジャケット ¥35,200、シャツ ¥26,400、デニム(PETIT NEW STANDARD)¥24,200、ブーツ ¥80,300、マフラー ¥25,300、AirPodsケース ¥30,800(全てA.P.C. CUSTOMER SERVICE)

フイナム:最後はデニムオンデニムにコートを羽織ったスタイルです。

梶:全体をネイビーでまとめてみました。あと、コート、ジャケット、シャツって全部襟があるアイテムを選んでいて。細かい部分で統一感があるから、コーディネートとして成立したかなと思います。

フイナム:服のディテールでコーディネートを組み立てるのは新鮮ですね。

梶:ここ数年、グラフィックやロゴものを着ているひとが多いじゃないですか。そういう記号的なものじゃなくて、このスタイリングみたいに服の形や色を軸に、自分なりの意図で服を着る。それをいかに自然にやるかが、いまのぼくの気分ですね。



フイナム:梶さんなりのデニムオンデニムのコツってあるんですか?

梶:〈アー・ペー・セー〉のデニムはものがいいから、色を合わせるだけでも成立すると思います。このコーディネートではシャツの裾をほんのちょっと出して、〈アー・ペー・セー〉らしく上品にしています。細かな部分なんですけど、これが出ていないと、もう少しアメリカンな感じになりそう。


フイナム:大人に向けたコーディネートで、今風なボリュームのあるブーツを選ばれたのも意外でした。若者が好みそうなデザインだったので。

梶:本当はプレーンなサイドゴアブーツにしようかと思ってたんですよ。ぼくも同じく、このブーツはどっちかというと若者たちが履きそうなイメージだったので。でも、実際に大人が履いてみたら、スタイリングの中に違和感が生まれて、その意外性がよかったです。

フイナム:確かに。これがサイドゴアブーツだったら正統派のスタイルになりますね。

梶:コーディネート自体はすごく定番なものだから、靴で現代的な記号を差し込んで、いまっぽさを加える。要はスニーカー的なことですよね。外しの要素として、ハイテクなものを履くのと同じ感覚。

PETIT NEW STANDARD ¥24,200
「ニュースタンダード」と「プチスタンダード」の2つのモデルの特徴を組み合わせたモデル。股上は深めで、膝から裾にかけて少し強めにテーパードをかけることで、美しいシルエットを実現している。

フイナム:ちなみに梶さんはいま40代なわけですが、若い頃と比べて、〈アー・ペー・セー〉のデニムに対する印象に変化はありましたか?

梶:90年代に〈アー・ペー・セー〉のデニムが流行ったときは、服飾の専門学生とか、ちゃんとお洒落が好きなひとが買ってたような気がします。ぼくはそういう流行の真ん中に乗れないタイプだったので、手が出せなくて。逆に世間に広まり切ったいまのほうが自分には馴染みますね。

フイナム:いまはより普遍的なものになりましたね。

梶:それはデニムに限らずで。〈アー・ペー・セー〉の誕生30周年記念で出版された『Transmission』っていうアーカイブブックには、いろんな年代の服が載っていて、そのどれもが古さを感じないし、いま着ても全然おかしくないようなものばかりだったんです。それを見たときに、〈アー・ペー・セー〉がこれだけ長く愛されている理由が理解できました。ぼくだって、17,18歳のころに買った〈アー・ペー・セー〉のPコートをいまだに着ていますし。

フイナム:今年で〈アー・ペー・セー〉は誕生35周年。梶さんが言われたように、時代に囚われないものづくりをしているからこそ、〈アー・ペー・セー〉の服は若者でも大人でもあらゆる世代に馴染むんですね。

梶:ブランドが誕生してから、流行を追うことなく、ずっと同じスタンスを継続していることは単純にすごいことですね。ファンにとっては変わらないから安心感もありますし。だからこそ、いまの揺るがないポジションを築き上げることができたんだと思います。