INTERVIEW WITH MIYAVI 日常と非日常の境目にあるバランス感。
ーMIYAVIさんはどんな服が好きですか?
MIYAVI:
機能美のある服ですね。いままでいろんな服を着てきましたけど、機能性とデザインのバランスがいいものにやっぱり惹かれます。ただ格好いいだけのものや、ただ着心地がいいものじゃなく、その両方を兼ね備えているもの。
それは自分の音楽性ともリンクしていて、聴き心地がいい曲と、メッセージ性の強い曲、そのどちらかを取るのは簡単だけど、キャッチーかつ強いメッセージ性を持った曲をつくるのって結構難しい。でも、だからこそつくり手として挑戦し甲斐がある。ファッションも、そのバランスをとれているものを好んで着ている気がします。
ーなるほど。
MIYAVI:
あと、音楽と同時に俳優の仕事もさせてもらっていて、衣装さんが持ってきた服に袖を通すとパワーを感じます。役づくりでは、もちろん事前にいろんな準備をしていくんだけど、やっぱり現場で衣装を着ることによってさらに役が憑依するというか。そこにはスタイリストさんやデザイナーさんの気持ちや服に込めたパワーもあると思います。
やっぱり服それぞれが持つパワーというものをぼくは感じるし、大事にしたい。今日着た 〈ディースクエアード〉の服も、ひとつ目とふたつ目のスタイリングでは、自分のなかでのカメラに対してのあり方が変わります。
ー〈ディースクエアード〉というブランドに対して、どんな印象を抱いていますか?
MIYAVI:ラグジュアリーなのに常温、というか、日常感のあるブランドですね。ハイブランドのグラマラスな服を着るとやっぱりパワーがいるし、時にしんどさを感じるときも正直あるというか、もちろん、そこも含めてアートだとは思うんですけど、〈ディースク エアード〉はランウェイも歩ける服なのに、普段着としてもしっかり成立しているなと思います。日常と非日常の境目というか、このまま飛行機に乗れるし、全然このままツアーとかにも着ていけそうだし、ステージでも映えそう。
ー今回着てもらった2023年春夏プレコレクションの服は “LA” がテーマです。MIYAVIさんはロサンゼルスに住んでいたこともあるんですよね。
MIYAVI:自由な場所ですね。開放的というか。ファッションだけじゃなく環境問題など、いい意味で前衛的な人たちも多くて、いろんなカルチャーが進んでいる。エンターテイメントの存在意義をすごく大切にしていると感じます。ちなみに今回のテーマは、なぜLAなんですか?
ーデザイナーの二人がサーフィンをやっていて、そこからLAに辿り着いたようです。日中はサーフィンを楽しんで、夜になれば街に繰り出す。そうした二面性のあるコレクションになっています。
MIYAVI:そうなんだ。確かに、LAは都市部と自然の距離感がすごく近い。ビーチで泳いだあと、2~3時間移動すれば山の上で雪が見られる。そういう意味でも、すごくダイナミックな場所だなと思います。