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変化を受け容れ進化する、MIYAVIのスタイル。
REAL FACE ; MIYAVI IN DSQUARED2

変化を受け容れ進化する、MIYAVIのスタイル。

“サムライギタリスト” と称され、世界を股にかけるアーティスト、MIYAVI。今年ソロデビューから20周年を迎えた彼は、アーティストや俳優として活躍する一方、難民支援にも積極的に取り組んできた。長い旅路のなかで変わったこと、変わらなかったことはなにか? 〈ディースクエアード(DSQUARED2)〉の服を纏い、MIYAVIがいま語りだす。

  • Photo_Yoshie Tominaga(W)
  • Styling_Keisuke Shibahara
  • Hair & Make up_Masaki Tanimori
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Edit_Ryo Muramatsu

完璧じゃないものの美しさが尊くなってきた。

ー音楽活動は今年で20周年を迎えます。振り返ると長かったですか? それともあっという間でしたか?

MIYAVI:あっという間でしたよ。いろいろありました。でも、本当まだまだだなって思う。

ー節目みたいなものは感じますか?

MIYAVI:感じます。この先のあり方も考えますし。だけど毎年いろいろ考えているし、それを次の年に活かせるかどうか。その積み重ねだと思うんですよ、結局人生って。これまで自分の好きなように自由にやらせてもらった分、関わってくれた人たちにはすごく感謝していて、少しずつでも恩返ししていきたいですね。

ー楽曲のリリースを積極的に重ねて、世界各地でツアーも回って、俳優やUNHCR親善大使の活動もして。ひっきりなしに動いている印象ですが、それは意識的なものなんでしょうか?

MIYAVI:どうなんでしょう。でも、バタバタしているのが性に合っているというか。止まっていたくないんですよね。

ーパンデミックが起こってアーティストとしていろんなことを問われたと思うんですが、そのなかで得られるものはありましたか?

MIYAVI:本質的なエンターテイメントのあり方を考えさせられたし、人と人のコミュニケーションの温度感の重要性も考えましたね。ぼくらアーティストのやっていることって距離感がすごく大事。でも、それが一気にリセットされた。世界中のトップアーティストもみんな戸惑ってたと思うし、実際にぼくも戸惑いました。どうあるべきか、どうあれるのか。

フィジカルのよさというか、社会的にどんどんデジタル化していくなかで、人間の本質的な部分、何をもって人間なのかということをすごく問われましたよね。

バーチャルライブをいろんな方法でやってきて、もちろん得られるものがあれば、失うものもたくさんあって。そんななかで、「完璧じゃないものの美しさ」が尊くなってきているというか。

ー“完璧じゃないものの美しさ” というのは?

MIYAVI:自分たちが人である以上は、やはり完璧じゃないものに惹かれるんだろうなって。完璧なものはAIでもつくれる。これからどんどん簡単につくれるようになっていく。そこで不完全さに、より人としての存在価値が出てくるというか。言ってしまえば、不完全さがあるというところにぼくたちの存在意義、存在する理由が出てくるというか。それはバーチャルライブを重ねていくなかで強く思ったことですね。例えば歌詞を間違えたり、どこかミスったほうがお客さんの記憶に残って、それが思い出や、その人にとってのその瞬間の価値になったりするわけで。そうゆう価値観の推移が早いスピードで起こりはじめているし、それがコロナによって加速したように思います。

ーやっぱりデジタルよりもフィジカルのほうが大事ですか?

MIYAVI:いまはまだ確実に、どっちもですね。例えばアナログレコードが絶対的にいいと思う10代の子たちは圧倒的に少ないですよね。そのアナログの音のよさはレコードで音楽を聴いた人にしか持てないし、「その時代に聞いていた」という経験値も少なからずあると思う。そもそも “いい音” の価値観自体、10年後には変わっているかもしれない。いまですらデータで音楽を聴こうがレコードで聴こうが関係ないっていう人が大多数を占めているわけじゃないですか。これは音楽だけじゃなく人とのコミュニケーションにも言えて、ぼくらはいままで当たり前に人と面と向かって会ってきたし、そのよさや素晴らしさを知っている。でも、10年後、20年後にはもしかしたら、人と人は面と向かって会うことをやめているかもしれない。会わないことのメリットが会うことのメリットを超えてしまえば起こりうること。いまはそうした価値観の過渡期にきていますよね。

ーだけど、MIYAVIさんはUNHCR親善大使として、実際に現地に赴くことを大切にされていますよね。生で見ること、触れることの重要性を身をもって体現されていると思うんですが、その価値観は揺らがないですか?

MIYAVI:もちろんいまは確実に現場に行って肌で感じる情報量に、オンラインは到底敵わないです。でも未来は分からない。変わるかもしれないし、変わらないかもしれない。例えばですけど、実際にオンラインミーティングはやっていてラクだし、資料の共有とかもスクリーンですぐシェアできるし、移動時間も短縮できる。その上、その場でリサーチできるし、正直すごく効率がいい。コロナ前と比べて、海外とのやり取りも逆にすごく増えました。

だけど、例えば難民支援に関しては、生きるか死ぬかの瀬戸際の環境から逃れてきた人たちの生活やその人生の残酷さや緊急性、それはさすがにリモートでは感じられないし、到底分からないですよね。温度感や緊張感も含めて、そこに実際に訪れることで知ることがたくさんあるし、出会いもあります。

人間として大事にしていること、本質の部分は変わらないけど、表面的なことはこれからどんどん変わっていくと思う。だからきっと両極化していくんじゃないですかね。

ーお話を聞いていて、MIYAVIさんは変化に対してすごく柔軟だなと思うんです。

MIYAVI:そうですね。“BookSmart” ではなくて、“StreetSmart” でありたい。これは日本の教育に欠けている部分でもあると思っていて。自分が置かれている状況に応じて臨機応変に対応できるかどうか。

ー日本人には変わらないことに対して美徳を感じるところがありますよね。

MIYAVI:それはそれでいいことだと思うし、すごく素晴らしいことだと思う。でも、世界は日に日に変わっていっている。矛盾しているように聞こえるかもしれないけど、そのなかで変わらずにいるために、どうやって変化していくか、なのかなと思います。

ー音楽活動とUNHCR親善大使の活動で共鳴し合うことはありますか?

MIYAVI:もちろんありますよ。はじめて難民キャンプへ訪れたときは、訪ねる場所自体、テロと隣り合わせの状況で、正直すごく怖かった。子供たちが暮らすキャンプの山の向こう側は実際に紛争が起こっている地域。でも子供たちの目の前でギターを弾いた瞬間、彼らの生きるエネルギーが爆発した感じがして。「ああ、音楽にもできることがあるんだ」と感じたし、音楽にメッセージを乗せて、言葉の壁を超えて届けることができると確信しました。

ーそれがさっき仰っていたキャッチーさとメッセージ性をどれだけうまく融合させられるかということですね。

MIYAVI:やっぱりスピーチだけでは聴いてくれない人もたくさんいます。でも、音楽を乗せてだったら聞いてくれるかもしれない。ぼくの親善大使としての難民支援のミッションは、難民と呼ばれる方々の明るい部分、強い部分、ぼくたちと同じ人間としての輝きや尊厳を引き出すことだと考えています。難民問題ってやっぱり重いし暗いイメージじゃないですか。だけど、そこだけじゃない。ぼくたちと同じ人間で、みんなそれぞれ逆境に立ち向かって人生を歩んでいる。そこに対して音楽だけじゃなくて映画やファッション、文化ができることってたくさんある。

ー今後、どういった活動をしていきたいか最後に教えてください。

MIYAVI:精進あるのみです。ひとつひとつ、やっていることの質を上げていく、その地道な作業をこれからも続けていくのみ。特にいま、音楽、俳優、ファッション、そして人道支援の活動などいろんなことを同時にやっているので、ひとつずつ真っ直ぐ全力で取り組む、レベルアップしていく。学べることがあるのはすごく恵まれていることだし、それは人間に与えられた特権でもあると思います。変わらず、学び続けたいですね。

MIYAVIが使用する〈フェンダー〉のギター「テレキャスター」。自身のサウンドを追求するためにさまざま なカスタムがされており、本人曰く「テレキャスターとしては、邪道なんです」とのこと。しかしながらそれを〈フェンダー〉が認め、「Miyavi Telecaster®」と名付けられたモデルが登場。「過去の偉大なギタリストたちも既存の価値観を壊して新しいものをつくってきた。もちろん元々あったものに対するリスペクトあってのことで、それはぼくも同じです」と語る。

INFORMATION

ディースクエアード/スタッフ インターナショナル ジャパン クライアントサービス

電話:0120-106-067
Instagram:@dsquared2
LINE:@dsquared2_jp

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