靴屋から見たスタンスミス
購入者の半数以上が女性。「ミタスニーカーズ」では稀有な存在。
PROFILE
1994年生まれ。スニーカー好きが高じて、2015年より「ミタスニーカーズ」のショップスタッフとして勤務。2020年から同店のPRを担当。
――「ミタスニーカーズ」は〈アディダス オリジナルス〉のラインナップが充実していますが、そのなかで「スタンスミス」はどういった存在ですか?
草ヶ谷:
「ミタスニーカーズ」は兼ねてから足繁く通ってくださるコアなお客さまが多いのですが、「スタンスミス」は往年のスニーカーフリークはもちろん、世代やジェンダーを問わず幅広い層から愛されているモデルです。
とりわけ、女性からの支持が高く、「ミタスニーカーズ」で「スタンスミス」を購入されるお客さまの半数以上を女性が占めます。男性のお客さまが大多数の「ミタスニーカーズ」にとって、稀有な存在ですね。
―― 「ミタスニーカーズ」では、「スタンスミス」の日本企画「JAPAN SMU」も取り扱っていますよね。そもそも〈アディダス オリジナルス〉のなかで「JAPAN SMU」はどういった位置づけですか?
草ヶ谷:
「SMU」は「Special Make Up」の略。〈アディダス オリジナルス〉の「JAPAN SMU」は日本で企画され、国内だけで展開されるリミテッドエディションです。
「ミタスニーカーズ」では、そのプロモーション用のビジュアル制作とプロダクトの販売をしています。よく別注やコラボレーションと誤解されてしまうのですが、日本のマーケットに向けた〈アディダス オリジナルス〉の販路限定モデルなんです。
「JAPAN SMU」のビジュアルに込めた思い。
― 「JAPAN SMU」のプロモーション用のビジュアル制作を、「ミタスニーカーズ」が手がけることになった経緯や狙いについて教えてください。
草ヶ谷:「ミタスニーカーズ」はこれまで数多くの別注やコラボレーションを手掛けてきたこともあり、スニーカーのデザインやアレンジの文脈で捉える方が少なくないかもしれません。しかし、ぼくたちショップの本来の役割は、メーカーがつくったプロダクトを仕入れて、その背景やストーリーを自分たちなりに咀嚼し、発信しながら、お客さまのもとへ届けること。
〈アディダス オリジナルス〉の「JAPAN SMU」プロジェクトでは、「ミタスニーカーズ」のクリエイティブディレクターである国井栄之が〈アディダス オリジナルス〉からオファーを受け、販売に至る一連の流れのなかでプロモーションにおけるビジュアル制作の役割を担いました。その目的は、「JAPAN SMU」のコンセプトや各モデルの本質的な魅力をストーリーテリングし、お客さまに伝えることです。
ー 「本質的な魅力」を発信するための具体例はありますか?
草ヶ谷: 例えば、今年10月に発表したビジュアルでは、「スタンスミス」の元になった「ハイレット」が、フランス人テニスプレイヤー、ロバート・ハイレットさんのシグネチャーモデルであることになぞらえて、フランスからルイ13世様式の煌びやかな額縁を取り寄せました。昔から「絵は、額縁次第」と言われてきたように、作品の良し悪しを評価する上で額縁は重要な存在。そこに「スタンスミス」という完成された作品を飾ることで、シューズの持つ高級感や上品さを際立たせたというわけです。