ーもしかしたら意外と思われるようなコラボレーションだとは思うのですが、実はすごく必然性のある取り組みのような気がしています。アイテムの話を伺う前に、お二人の生活について少しお話を聞かせてください。ジョニオ(高橋盾)さんは東京とは別に、神奈川県横須賀市秋谷にもうひとつのベースを構えられました。二拠点生活を始められて、どれくらいですか?
高橋: 去年の2月ぐらいに始めたので、もうすぐ2年になります。
藤井: まだそんなもんなんですね。ちなみに僕は葉山に引っ越して6年目になります。
高橋: そうなんだ。それこそまだ6年なんだね。なんかずっと住んでる気がするけど。
藤井: いやいや、そんなことないです。

ー藤井さんのご自宅と、ジョニオさんのアトリエはどれくらい離れてるんですか?
高橋:まぁまぁありますよ。うちは葉山じゃなくて横須賀市秋谷なので。(葉山の)御用邸から5キロぐらい、藤井のところからはさらにもう少しありますね。車移動がメインなので行動範囲が結構広くて、いろいろなところに行ってます。最近は朝ご飯を食べに、鎌倉の「朝ごはん」というお店によく行くんですけど。すごく美味しいです。
藤井:あそこはいいですよね。
ー秋谷を拠点にした生活はいかがですか?
高橋:一昨年くらいから物件を探してたんですけど、内見に行ったときからものすごくいいなと思ってました。東京との距離感とか、あとは自分は走るので、そういう環境が揃っていることも含めて素晴らしいなと。向こうに行ったときに、どこか力の抜ける感じというのは東京では絶対に得られない感覚で、そういうことを自分は求めていたんです。
ーなるほど。
高橋:それに加えて藤井もいたし、行けば行くほど最高だなと。
ーお二人は以前から交流があったんですか?
藤井:ありましたけど、挨拶程度というか。ご飯に行くとかそういう感じではなかったです。ただうちの奥さんはもっと昔から交流があったんです。
高橋:そうそう。自分は彼女が中学生くらいのときから知っていて。

ーそうなんですね。結果的に家族ぐるみのような。
高橋:そういう感じなので、向こうに行くと必ずと言っていいほど藤井宅には行ってますね。
ーそれはかなり密な関係性ですね。
高橋:最初の頃はそこまでではなかったんですけど、最近はそんな感じですね。だんだんと向こうでの過ごし方が見えてくるなかで、藤井とコミュニケーションをとることも増えて、最近自分は和っぽいものに興味があるので、そういうことを共有したりもしていました。
藤井:去年は、京都に何回か一緒に行きました。「河井寛次郎記念館」とか。
高橋:そうだね。で、そうこうしてるうちに「せっかくだったらなんか作ろうか」っていう感じだったよね。
藤井:そうですね、「コラボしよう!」っていう感じではなかったです。
高橋:この話は、自分が作務衣が欲しいというところから始まっています。昔から作務衣で日々を過ごしたいと思っていて、それが似合う歳になってきたのかなと。

ー〈ノンネイティブ〉では、以前に作務衣っぽいものをつくったことがあるそうですね。
藤井:はい、結構昔なんですけど。そのときのアイテムを見ながら、活かすところと変更するところを考えていきました。
ー〈アンダーカバー〉は最近で言うと2020-21AWシーズンの「蜘蛛巣城」のときに、和アプローチのクリエイションを多く手掛けられていました。
高橋:もっと昔だと2000年に1回作ったことがあります。フューチュラとかスタッシュ、カウズなどのグラフィティ系の友達と東京でショーやったときで、そのときに〈ダブルタップス(WTAPS®)〉の(西山)徹と作務衣を作ったんです。リップストップ素材でストリートっぽい感じでした。それはわりと好きだったんですけど、そのときは自分も30歳ぐらいで日本の文化に対してのリンクがまだ浅かったので、日常的に着るような感じでもなかったんです。
ーなるほど。
高橋:ただ、今は和的な要素が自分の生活とすごく絡んできていて、きちんと日常的なものとして取り入れたいと思っています。
藤井:当時はあくまでテーマに沿って作った感じだったんですね。
高橋:そうだね。『スターウォーズ』にもオビ・ワン・ケノービとかが着ているようなものってあるじゃない。西洋的な和の解釈みたいな。今回も、もちろんその要素はあるんだけど、もっと実用的にしたかったんだよね。
藤井:軽いとか、あったかいとか。
高橋:そう。あとはお寺の人みたいに見られないように、日常に馴染む感じに着地させたかった。