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フイナム ランニング クラブ♡が振り返る! 2022年のランニングギア10大ニュース。
Running Gear Topics 2022

フイナム ランニング クラブ♡が振り返る! 2022年のランニングギア10大ニュース。

コロナ禍で中止が続いていた大会やイベントがようやく開催されたり、マラソンの世界記録や日本記録が次々に更新されたり、いろんなことがあった2022年のランニングシーン。シューズやウェアをはじめとするギア関連でもさまざまな新しい動きがありました。フイナム ランニング クラブ♡が特に気になったトピックスとは? 部長の榎本一生と副部長の山本博史が今年のランニングギアの10大ニュースをランキング形式で振り返ります!

PROFILE

榎本一生

フリーランスのエディター、ライター。1976年生まれ。SHOES MASTER編集長、Runners Pulse副編集長、フイナム ランニング クラブ♡部長。

PROFILE

山本博史

フイナム副編集長。1978年生まれ。2014年、榎本とともにフイナム ランニング クラブ♡を結成。同クラブの副部長を務める。

第10位:Apple Watch Ultra登場、COROS大躍進。ランニングウォッチは群雄割拠の時代へ!

榎本:今年9月、〈アップル(Apple)〉は「Apple Watch Ultra」を発表。ガジェット好きのランナーのあいだで話題になったね。

Apple Watch Ultra ¥124,800〜

山本:真打ち登場、という感じですかね。

榎本:最大の特徴はスタミナ。通常使用時で最大36時間、低電力モードでは最大60時間使えるという。

山本:本体がでかすぎるという意見もありますが、これまで〈スント(SUUNTO)〉の大ぶりなGPSウォッチを愛用してきた身からすると、それほどでもないかな。

榎本:うん、大きさは特に気にならない。使いやすいインターフェースは〈アップル〉ならでは。

山本:問題は、12万4800円〜という価格をどう捉えるか。

榎本:価格でいえば、リーズナブルな価格を武器にランナーからの支持を急拡大しているのが〈カロス(COROS)〉。

山本:〈カロス〉のGPSウォッチを着用しているランナー、急激に増えた印象がありますね。

COROS APEX 2 ¥57,860

榎本:これまでランニング用のGPSウォッチといえば〈スント〉と〈ガーミン(GARMIN)〉の2強時代が長らく続いてきたけれど、〈カロス〉がその牙城を崩しつつある。

山本:エリウド・キプチョゲやキリアン・ジョルネといったトップ選手が実際に使っていることで説得力も生まれています。

榎本:これからさらに勢力を拡大していくかも。次の一手も気になるところだね。

第9位:「厚底カーボン」がトレイルにも波及。各社から新作シューズが続々登場!

山本:ここ数年、マラソン界ではカーボンプレートを搭載した厚底シューズがトップ選手の足元を席巻してきました。

榎本:〈ナイキ(NIKE)〉の厚底シューズは依然として無双状態。今年も着用選手がマラソンの世界記録と日本記録を更新したね。

山本:厚底カーボンの流れはトレイルにも波及しつつあって。昨年カーボン搭載のトレイルシューズ「ベクティブ」シリーズを発表した〈ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)〉に続き、今年は〈ホカ(HOKA)〉がカーボンプレートを搭載したトレイルランシューズ「テクトン X」を発表しました。

HOKA Tecton X ¥29,700

榎本:「テクトン X」は自分も好きな一足。カーボン搭載ながらクセがなく履きこなしやすい。

山本:いいシューズですよね。あと個人的に気になったのが、今年のUTMBのCCCで優勝したスウェーデンのペッテル・エングダール選手の足元です。

榎本:〈アディダス テレックス〉の厚底シューズ。プロトタイプかな?

山本:プロトっぽいですね。 SNSでバズっていました。

榎本:履いてみたいと思わせるかっこよさがあるね。

山本:ロード用シューズはミッドソールの厚さが40ミリ以内など厳格なルールがありますが、トレイルは比較的ゆるい。UTMBのような世界的に注目される大舞台でプロトタイプを履いて走るアスリートの足元をチェックする面白さもあります。

第8位:高級トレイルシューズ「スピードランド」デビュー。着用選手がハセツネダブルで優勝!

榎本:ランニングシューズは小規模のブランドが新規参入するのが難しい分野。でもトレイルラン業界では新興ブランドがちょいちょい生まれつつある。

山本:ですね。アメリカ発の〈スピードランド(Speedland)〉はその代表格のひとつです。

Speedland SL:HSV ¥59,800(Rufus & Co.)

榎本:〈スピードランド〉はスポーツブランドで経験を積んだデザイナーが創業したとか。ほかにないデザインでかっこいいね。

山本:大手ブランドのシューズとは全然違う贅沢なつくりが特徴で、値段も高い。

榎本:59,800円という強気の価格設定。どんな人が履くんだろう?

山本:今年のハセツネダブルで優勝した小原将寿選手が履いていました。今後さらに注目度が高まるかも。

第7位:上田瑠偉、オリジナルブランド「Ruy」をローンチ。富士山4往復で新記録の偉業も達成!

榎本:新ブランドといえば、日本が世界に誇るプロ山岳アスリート、上田瑠偉が今年、自らのオリジナルブランドを立ち上げたね。その名も〈Ruy〉。

上田瑠偉のインタビュー記事はコチラ

山本:レースに勝つためのギア、という明確なコンセプトが潔い。しかも開発を担っているのが大手ブランドではなく、ガレージブランドの〈アンサー4(Answer4)〉という。

Ruy Race Wind Shell #1 ¥20,800

Ruy 5 Pocket Race Short Pants #1 ¥11,800

榎本:瑠偉くんといえば今年7月、富士山を4往復する「ONE STROKE」に挑戦。ギネス世界記録を達成して話題に。

©So Hasegawa / Red Bull Content Pool

©Suguru Saito / Red Bull Content Pool

山本:1回登頂するだけでも大変な富士山に4回も。しかも10時間切り。瑠偉くんハンパないな。

榎本:トレイルランがこれからさらに盛り上がるためには、瑠偉くんのようなスター選手の存在が不可欠。これからも世界を舞台にどんどん活躍してほしいね。

第6位:カナダ発「シエル」のパフォーマンスウェアがイケてる!

山本:個人的にいま気になっているのが、カナダ発のアスレチックブランド〈シエル(Ciel)〉。そのなかに「エリート」というハイパフォーマンスラインがあって、これがかなりイケてます。

Ciel M FLRJacket – Elite – X-Ray ※日本未発売
画像は本国のサイトより

榎本:ほぅ。〈シエル〉といえばキャップのイメージが強いけれど、アパレルもいいね。

山本:機能的なうえに、見た目もスマート。残念ながら現時点では日本での展開はないのですが、上陸したら人気になりそうかなと。

第5位:カナダ発の新鋭ブランド「ノルダ」のトレイルランシューズが日本上陸!

山本:カナダつながりで気になるブランドをもうひとつ。2021年に創業したばかりの新鋭シューズブランド、〈ノルダ(norda)〉です。

榎本:こう見えてハイパフォーマンスなトレイルランシューズという。

山本:洒落ていますよね。ちなみに先述の〈シエル〉とコラボレーションしたことも。

榎本:フラッグシップモデルの「norda 01」は日本では「ビームス」のみでの展開だとか。なんで「ビームス」だったんだろう?

norda 01 ¥40,700(BEAMS)

山本:スタイリッシュなルックスゆえに「ビームス」のバイヤーの目に止まったのかも。

榎本:ガチなトレイルランシューズでありながら、「ビームス」が目を付けるくらいファッションアイテムとしても魅力的ってことかな。

第4位:イギリスのガレージブランド「CIMORO」に要注目!

山本:あと、イギリスのガレージブランド〈シモロ(CIMORO)〉も個人的に気になっていて。

榎本:〈シモロ〉? 聞いたことないな。

山本:ロンドンを拠点に活動するインディペンデントなランニングギアブランドです。アイテムはトレイルランやスピードハイク用ザックを中心に、アパレルも展開しています。

榎本:ほぅ。たしかにイケてるね。世界観が独特。

山本:ここも先述の〈ノルダ〉とコラボしています。インディペンデントなブランド同士で、国を超えてコラボしているのが面白いなと。

榎本:メジャーブランドもいいけれど、そればかりでは面白くない。こういうインディペンデントなブランドもがんばってほしいね。

第3位:世界初の「マイボトル・マラソン」。湘南国際マラソンが3年ぶりに開催!

山本:ぼくたちが独断で選ぶ今年のランニングギア10大ニュース、残すところあと3つ。第3位は、ぼくたちも参加した湘南国際マラソンにおける「マイボトル」です。

湘南国際マラソンの記事はコチラ

榎本:これは今年を振り返るうえで外せないね。

山本:3年ぶりに開催された今年の湘南国際マラソンでは「マイボトル必携」という新ルールが導入されて。

榎本:紙コップによる給水が廃止され、ランナーは持参したマイボトルに自ら給水するシステムに。

山本:思いのほか快適でしたね、マイボトル。

榎本:自分のペースで給水できるうえに、ゴミも減らせる。ホントいいことづくめ。

山本:給水所付近の路上に紙コップが落ちていない光景は、実に美しかった。マイボトルはマラソンの新しいスタンダードになるかも。

榎本:今回の「湘南国際マラソン」のスペシャルスポンサーは〈ザ・ノース・フェイス〉とゴールドウイン社。マイボトル・マラソンという新しい提案を、環境問題に積極的に取り組む同社がやるからこそ説得力がある。

山本:ゴールドウインといえば今年、オリジナルブランドの〈ゴールドウイン(Goldwin)〉が、アメリカのトップトレイルランナー、ディラン・ボウマンとアスリートサポート契約を結んだことが話題に。

ディラン・ボウマン

榎本:〈ゴールドウイン〉はあまりトレイルランのイメージはないけれど、今後はディランの経験や知見を反映しながらアイテム開発を進めていくのかな。それはそれで楽しみ。

第2位:「アシックス×エルドレッソ」。まさかのコラボレーションが実現!

山本:続いて、第2位。〈アシックス(ASICS)〉と〈エルドレッソ(ELDORESO)〉のコラボレーションです。

榎本:2022年のランニングギアトピックスといえば、これも絶対に外せないね。

〈アシックス〉×〈エルドレッソ〉の記事はコチラ

山本:〈エルドレッソ〉デザイナーのターザンAQZAWAさんを個人的に知る身としては感動すらおぼえました。

榎本:AQZAWAさんはフイナムのインタビューでも語っていたけれど、コラボレーションの話が来たとき、誰よりも自分自身が心底驚いたとか。

山本:AQZAWAさんはかつて陸上競技者として箱根駅伝を目指していて、〈アシックス〉の熱烈な愛好者でもあった。そんな〈アシックス〉と時を経てコラボレーションすることになるとは。

榎本:運命的なものを感じざるを得ないよね。

山本:アイテムも〈アシックス〉と〈エルドレッソ〉の双方の良さが出ていてかっこよかった。話題性も高く、発売後すぐに完売してしまったようです。

榎本:単発ではなく、継続的な取り組みになるといいなあ。

山本:ランニングにはデザインが足りない、ファッションが入り込める余地はまだまだあるはず、とぼくは以前から思っていて。〈アシックス〉と〈エルドレッソ〉のような意欲的な取り組みがシーン全体に波及していってほしいですね。

第1位:世界最強山岳アスリートのキリアン・ジョルネがカンペールと協業。新ブランド「NNormal」設立!

山本:第1位は、キリアン・ジョルネと〈カンペール(CAMPER)〉がタッグを組んで立ち上げた新ブランド〈ノーマル(NNormal)〉です。

キリアン・ジョルネ

榎本:キリアンはUTMBをはじめとするビッグレースで優勝しまくってきたほか、モンブランやエベレストといった高峰のスピード登山で数々の記録を持つ、名実ともに世界最強の山岳アスリート。

山本:そんなキリアンが〈カンペール〉と協業? サプライズにも程がありました。

榎本:どちらもスペイン生まれという共通項はあるものの、意外すぎる組み合わせ。

山本:今年のUTMBで4度目の優勝、しかも20時間を切る大会新記録を樹立。全身〈ノーマル〉をまとったキリアンもかっこよかったです。

榎本:ただ、残念ながら日本での発売は未定という。

山本:公式のインスタではアイテムがいろいろとチェックできますね。

榎本:特にシューズが良さげ。どんな履き心地か気になる。

山本:いやあ、こうしてあらためて振り返ってみると、今年のランニング業界もいろいろありましたね。

榎本:ギア選びもランニングの楽しみのひとつだし、走ることへのモチベーションの支えになる。来年も最新情報を追い続けていきたいね。

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