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日本一の古着屋を目指して。山田和俊が振り返る、ベルベルジンの25年とトゥルーヴィンテージ。
BerBerJin 25th Anniversary

日本一の古着屋を目指して。山田和俊が振り返る、ベルベルジンの25年とトゥルーヴィンテージ。

古着激戦区の原宿で98年にオープンして以来、名実ともに日本だけでなく世界一のヴィンテージショップとの呼び声も高い「ベルベルジン」。そんな同店が25周年を祝うべく、スペシャルヴィンテージを大量にストック中という情報をキャッチ。ファッションのトレンド目まぐるしく移り変わるなか、古着というアイテムはどう変わったのか。いまも変わらずとんちゃん通りに店を構え続ける「ベルベルジン」のこれまでの歩みや25周年に向けて用意した珠玉のスペシャルヴィンテージについて、オーナーの山田和俊さんにたっぷり語っていただきました。

  • Photo_Takeshi Kimura
  • Text_Shunsuke Hirota
  • Edit_Yosuke Ishii

古着業界の構造が変わりゆくなか、それでもアメリカ買い付けにこだわるワケ。

買い付け地としてタイをはじめとした東南アジアが注目を浴びるようになったり、逆に海外のディーラーが日本のショップへ買い付けに来るようになったりと、25年の間に古着を取り巻く状況は大きく変わりました。そのなかで「ベルベルジン」は創業当時から一貫してアメリカで仕入れて現地で洗い、値付けをしたものを日本に送るという姿勢を崩していません。その真意とは、一体どこにあるのでしょう。

―25年の間に「ベルベルジン」の買い付け体制が整った一方で、古着業界の在り方も変わっていったように思います。

山田:そうですね。いまは情報がすぐ手に入ることもあって、全米中のキッズたちが古着に参入してきました。東南アジアが仕入れ先として注目を浴びるようになったのは支援物資として送られた古着のなかにヴィンテージが混ざっていたからだけど、最近はキッズたちがスリフトショップやラグ屋でヴィンテージを見逃さずにピックするようになってきた。だから、むしろ昔よりもアメリカから出てくる量が多いかもしれません。 ローズボウルもいままででいちばん規模がデカくなってます。若い子たちは凄いよ。

―価格面はどうですか?

山田:高いよ。でもディーラーによりますね。たとえばキッズたちはTシャツの相場は知っているけれど、ぼく達が扱っているトゥルーヴィンテージの相場は分からなかったりする。何十万円もするようなアイテムを5ドルで売ってることもあるぐらいだから、そういうのを見つけた時はアドレナリンが出て手が震えますね(笑)。

―古着の知識や情報が行き渡ったことで掘り出しは過去の話になってると思っていましたし、だいたいどの古着屋さんに聞いても「本当にモノが出なくなった」と言うので、意外でした。

山田:ありますね。この前も〈スーパーペイデイ(SUPER PAYDAY〉〉のチンスト付きのカバーオールがアメリカのキッズのインスタにアップされてて、値段を聞いたら50ドルだって言われたから即決しました。インスタで買い付けるのはどうなのっていう思いもあるけれど……、そうでもしないとモノが集まらないし、アメリカ人とやりとりしてアメリカ行ってお金を払ってるからアリかな、と(笑)。それまで散々高く仕入れしてるわけで、たまにそういうのが無いとバランス取れないじゃない。有名なディーラーからオファーされて凄くいいデニムを買っても、全然嬉しくないもんね。むしろ「あぁ……、買っちゃった」って感じで(笑)。

―他国での仕入れが一般的になりつつあるなかで「ベルベルジン」がアメリカ仕入れにこだわっているのは、なにか理由があるんでしょうか?

山田:アメリカ古着なんだから現地で買ったほうがロマンがあるじゃないですか。ウチはアメリカで仕入れて現地で洗ってから日本に運ぶんですが、やっぱりカリフォルニアの日差しを浴びた古着を着たいじゃない。完全に気分の問題ですけど。

—ここ数年で急激にヴィンテージデニムの価値が上がったのは「ベルベルジン」の存在が大きいですし、トレンドセッターやプライスリーダーとして自覚して動いているように思います。

山田:そんなことないです。いま店でデニムの値段を付けてるのは(藤原)裕だし。裕が店頭でいちばんお客さんとやり取りしてるから肌感覚で分かっているし、彼は安易に安売りせずに適正価格で提供したいという思いがあるみたいですね。25周年記念で売り出す予定の〈リーバイス®︎〉Tバックだってモノによっては1000万近い値段だけど、数年前なら150万円ぐらいだったじゃないですか。デニムの値付けに関しては、変化が激し過ぎてもうぼくはついていけないですよ。

―先ほどの「フェイクα」の在庫を売って後悔した話ではないですが、安売りしないことがヴィンテージデニムが価値を持ち続けている要因なのかもしれないですね。

山田:いや、いまのデニム相場はぼくの本意ではないし、そもそもぼくは安く売りたかったんです。本店に置いているレギュラーはぼくが値段を付けてるんだけど、他店と比べても安いはずです。スタッフから「メルカリで15万で落札されてたから12万ぐらいで売りましょう」って言われても「この前は4万で店に置いてたんだから、6万ぐらいにしとこう」って感じで、相場よりも抑えた値付けを心掛けていますから。そうしないとずっと通ってもらってるお客さんが離れていきますし、流行ってるからと言って便乗して値上げはしたくない。

―当時はレギュラー扱いだったものがヴィンテージとして認められるようになったり、古着の在り方も変わったように思います。次の25年間はどうなると思いますか?

山田:さっきも言ったけどアメリカでは若い古着好きが増えてて、最初はTシャツから入るんだけど、その中の一部の子たちがトゥルーヴィンテージの魅力に気づいて探すようになってきています。いまは日本でも古着が流行ってるけど、最初はファッションとして古着を探しはじめた子のなかから、10人にひとりでもトゥルーヴィンテージに興味を持ってくれるようになったら未来は明るいんじゃないかな。

INFORMATION

BerBerJin 25th Anniversary

販売日:2月23日(木)、25日(土)、26日(日)
場所:BerBerJin 本店
住所:東京都渋谷区神宮前3-26-11
電話:03-3401-4666
整理券配布:9:00〜(23日、25日のみ)
時間:11:00〜20:00(23日、25日)、12:00〜19:00(26日)
Instagram:@berberjin_harajuku
berberjin.com
こちらに掲載されている商品は、2月23日(木)、25日(土)、26日(日)の3日間、ベルベルジン本店の店頭のみで販売されます。23日と25日は整理券を配布いたします。詳細に関しては以下のInstagramよりアナウンスされます。
@berberjin1

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