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FEATURE
この世界に足りないものを埋め合わせる。スタイリスト梶雄太による、一夜限りのオールナイト上映。
Kajiyu du cinéma changer le monde ?

この世界に足りないものを埋め合わせる。スタイリスト梶雄太による、一夜限りのオールナイト上映。

著名人やブランドのスタイリング、文筆業から自身のブランド〈SANSE SANSE〉まで、多彩にして異彩を放つ、スタイリスト梶雄太さん。そんな梶さんにもうひとつの肩書きが加わるかもしれません。2月25日(土)に下北沢の映画館「シモキタ・エキマエ・シネマ K2(ケーツー)」で、梶さん主催のオールナイトイベント「Kajiyu du cinéma(カジユ・デュ・シネマ)」が開催されます。当然、通常のイベントとは、一味もふた味も違うこのイベントについて、話をたっぷり聞いてきました。そして、新旧お店がひしめき合う下北沢の街を歩きながら、写真家に思うままに撮ってもらいました。2時間ほどの短い時間でしたが、やっぱり梶さん、只者じゃない…

  • Photo_Harumi Obama
  • Text_Shinri Kobayashi
  • Edit_Yuri Sudo

シモキタ・エキマエ・シネマ K2とは?

2022年1月、下北沢の商業施設「シモキタエキウエ」直結の「(tefu) lounge(テフ ラウンジ)」内にオープン。邦画・洋画問わず上映をしていて、トークショーやイベントなども多数開催。ミニシアターならではの距離感を大切にし、映画作品と観客をつなぐ場所として機能している。

Chapitre 1. 映画のトータルコーディネート。

取材に参加したのは、本イベントの主催である「株式会社 weroll」の代表取締役・浅野雄介さん、大村直之さん、そしてデザイナーの深澤秀和さん。

ーまずこのK2という場所で、オールナイト映画のキュレーターとして梶さんに白羽の矢が立った経緯を教えてください。

梶:この企画のお誘いは僕自身、寝耳に水でした。だからまずはお声がけしてくれた「weroll」スタッフにその理由をお伺いしたいなと。

浅野:僕らの会社と僕らの会社を含めた「Incline」というグループでは、映画の製作なども手がけてきていますが、元々ファッションやそのメディアまわりと縁があったこともあり、何かおもしろい企画をしたいなと思ってきました。そんななか、梶さんとは展示会でお会いしたり、会社まわりのひとで梶さんの友人がいたりという縁があったことと、梶さんが映画をめっちゃ好きなのは知っていたので、ぜひお願いしたいなと。

左は梶雄太さん、右は「weroll」代表取締役・浅野さん。

ー今までに監督特集ではなく、キュレーターを前面に出した企画はあるんですか?

浅野:業界的にもほとんどないのかなと。

梶:ピーター・バラカンさんくらい? 「Peter Barakan’s Music Film Festival」は、行ったことあるよ。

ーでは、今回の映画3本はどうやって決まったんでしょうか?

梶:これは来場者には関係ない話かもしれないけど、実際に映画を上映するとなると、権利関係の問題がめちゃくちゃハードルが高いんです。権利を持っているとされている会社の問い合わせ先が見つからないとか。

ー古くてインディペンデントな作品だと、権利を保有している会社自体がもう存在しないということもありえますからね。

梶:だから今回は、外野から言いたいことだけ言わせてもらって、ありがたいことに実際の苦労する部分は「weroll」側に担ってもらったんですよね。結局いろいろ知っちゃえば知っちゃうほど、考えも狭まっちゃう部分もあるから。結果それくらいがちょうどいいのかなって。あとは「weroll」側にうまくコントロールしてください! って(笑)

ーでも梶さんくらい映画に詳しいと、3本選んでくださいと言われると逆に大変なんじゃないですか?

梶:言っても僕、そんなに映画観てないんですよ。

全員:いやいやいや(とツッコミ)。

梶:洋服に例えるとなんとなくわかりやすいんだけど、スタイリストのなかにはいろいろな服を着る方もいる一方で、僕の場合はそうじゃないんですよね。映画も同じ感覚で、いいのか悪いのかは別として、自分の好きなもののゾーンがけっこう決まっている気がします。映画も観てなくはないと思うけど、すごい観ているかと言われるとそんなにかなと。

ー相対的な話になりがちだから、“たくさん” 映画を観ているとはなかなか言いづらいところはありますよね。では、今回の3本を選んだコンセプトはありますか?

梶:本当のことを言ってしまえば、最初に提案した3本は全く入っていないんです。それくらい狭き門というか。最初は、服のトータルコーディネートしかり、DJしかり、僕のなかで一本筋が通ったうえで、バランスとかを考えた3本を提案したんですが、全部NGで。2番手も全部ダメで、逆に構成からぶっ壊して再考しないといけないと。このままだと企画自体がいつまでも進まなそうだったので、OKリストも使って選びました。まずは、やってみましょうということですよね。いちど開催すると、2回目以降は割と話が通しやすかったりするじゃないですか。そういう狙いもありつつ。

Liste de films

N°1

『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』
(1989年, 78分, アキ・カウリスマキ)

最果てのツンドラ地帯を中心に活動していたレニングラード・カウボーイズに “アメリカへ行くことが唯一の希望だ” と仕事を持ちかける悪徳プロモーター。彼らは勢い込んでアメリカへ乗り込む。しかし、そこで見つけた最初の仕事はメキシコでの結婚披露宴の演奏だった。さっそく巨大なキャデラックを準備し、一路メキシコを目指すレニングラード・カウボーイズだが……。

N°2

『ジェラシー』
(2013年, 77分, フィリップ・ガレル)

舞台俳優のルイ(ルイ・ガレル)は、クロチルド(レベッカ・コンヴェナン)と愛する娘シャーロット(オルガ・ミシュタン)と別れ、同じく俳優で新しい恋人のクローディア(アナ・ムグラリス)とパリの小さな屋根裏部屋で同棲生活を送っている。しかし俳優業に行き詰まり貧困生活に嫌気がさしているクローディアの心のうちに、ルイへの嫉妬の炎がともり始める。ある晩彼女はひとりの建築家と出会い、仕事の話をもらう。新しい道を進もうとするクローディアに対し、今度はルイの心に嫉妬の炎が燃え移る。やがて彼らの家で一発の銃声が響き渡る……。
©2013 Guy Ferrandis / SBS Productions

N°3

『聖杯たちの騎士』
(2016年, 118分, テレンス・マリック)

気鋭の脚本家リック(クリスチャン・ベイル)は、ハリウッド映画の脚本依頼を請けたことをきっかけにセレブリティな生活へ溺れていくが、心の奥底にある怯えや虚無感を拭い切れず、進むべき道を探して彷徨う日々を送っていた。そんな彼の前に現れる6人の美しい女たち。リックは彼女たちとの愛の記憶のなかで、自分の過去と向き合いはじめるー。
©︎2014 DOGWOOD PICTURES, LLC

ーこの3本は、どういう組み立て方をされたんですか?

梶:洋服の組み合わせと一緒で、やりながら考えた部分もあります。『ジェラシー』の監督フィリップ・ガレルは、哲学的な監督で、割とフランス映画の王道かなと。他の2作品をフランス映画で固めてトータルコーディネートもできちゃうけど、それは映画業界の方でもできるはず。だから、僕は次に選ぶのは、ダメージジーンズを持ってこよう、こっちはスニーカーを合わせようという、たぶん映画のひとだと選ばないセレクトをしたいなと思ってました。たとえば、最後に決まったのが、『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』。頭に被り物、つまり記号的なものを持ってきたいなと。要は、なんかパンチがあるものがほしいと思っていて、これかなと。

ー服という梶さんのフィールドに寄せて考えたんですね。

梶:今回、コーディネートのように考えたのは、すごくスタイリスト的かなと。映画の文脈というよりは、自分が洋服を楽しむ感覚で選んだというのは、僕しかできないことなのかなと思いますね。

Chapitre 2. やっちゃえばいい。

ー改めて、映画関係者ではなく、スタイリストの梶さんにお願いする意図はあったんですか?

浅野:そこはけっこう明確にありました。僕自身もずっと映画業界ではなく、編集をしたり、ビジネスまわりの仕事などをして来たんです。以前、濱口竜介監督の企画などを手がけた縁で『スパイの妻』の製作企画や広告に携わったんですが、それから5年近くやって来て感じるのは、よくも悪くも映画業界というものは閉鎖的だなと。言い方が難しいんですが、端的に言うとシネフィルがシネフィルのためにシネフィル用の映画館でやる企画がどうしても多くなっちゃう。というのも、シネフィル向けであれば当然一定数のひとは来るんです。でも、広がりがない。だから、ビジネスの観点やひとの集め方などを考えると、別のやり方もあるのかなと。

ーなるほど。

浅野:映画からファッションや音楽を知ることもあるじゃないですか。そういうことがあまり起きないなと思って、それをもう1回やりたいというのが第一。そういう切り口として、映画業界の外から見た映画という世界を組み立てたいと考えて、そこはやっぱり映画にもお詳しい梶さんなんじゃないかと。

さらに言うと、古い作品から選んでもらったのは、古着と同じで、埋もれている古くていい作品はいっぱいあって、そこからピックアップしてもらって、ファッションのように組み立ててもらうのは、おもしろいんじゃないかなと。というのも、映画に対して耐用年数と言っていいのかわからないですが、つくり手側はプロダクトとしての耐用年数を50年や100年で見ているんですよね。濱口監督と話していてもそうだけど、つくり手としては、100年先に残らないような映画でないと意味がないと。でも、売り手側である興行主としては、2週間しか見ていない。100年持つものを2週間の売り上げだけで見てしまうというのは、ヤバいよねって話をしてたんです。

ー今回のイベントでは、映画鑑賞以外のお楽しみ企画もありますよね。

梶:僕が映画占いをするんですが、ある意味今回のメインイベントかなと。映画のセレクトだけだと半分の50点。まあ、映画占いといっても、占いというよりは映画ソムリエに近いと思うんですけど。たとえばお客さんが来て、最近どうなんですか? ふんふん、じゃあこの映画観たらどう? みたいなことですよね。

このイベントの企画自体は、去年の夏くらいからスタートしていたんだけど、その頃に僕の文章の展示をやったら、けっこう若い子が来てくれたんです。そこで教えてもらったのは、今の若い子は情報がいっぱいあるから、逆に提示をしてもらった方が楽だと。映画も同じで、今回3本選ぶということもそうなんだけど、個人個人に映画をおすすめすることが意外と求められるんじゃないかなと。たとえば、仕事でも僕がファッションシュート(撮影)をやりますとなったときには、僕は参考例を見せることはないんです。

ーフォローとして読者に説明しておくと、ファッション業界では撮影するときにわかりやすい共通理解として、参照画像を共有することが多々あります。

梶:僕の場合は今こういう気分で、そのフォトグラファーにかくかくしかじかの理由で頼みたかったんですよと。では逆にあなたはどういう気分ですか? と、パス交換を始めるんです。そのなかで共通言語をもうちょっとつくりたいから、もしかしたらこの本を読んだ方がいいとか、こういう映画が好きかもと投げて、また次の段階に行って…と。そうやってたぶんたどり着くのが僕のファッションシュート。だから、一種の映画占い的なことは日常からやっているんですよね。

お節介ではないんですけど、僕がいいと思ったものを伝えたいという気持ちは割とあるし、日常的にそういうことをやっていたので、同じことをちゃんと看板掲げてやってみようかなと。さらに、どれくらい通用するのかなという楽しみも。ほら、それこそ北方謙三じゃないけど(笑)、悩みに答えるというニーズはやっぱりあるんじゃないかな。

ー具体的なやり方としては、その場に来て、梶さんに相談して占ってもらうと?

梶:そうです。その場で即興で、でもカジュアルにね。ゆくゆくは予約制になって、さらに出張とかね(笑)。最後はテレビにでも出たいですね(笑)。朝の情報番組で映画占いとか。

ー占いの他には、どんなことをするんですか?

梶:2階のオープンスペースで行う古着販売があります。映画鑑賞とは違う、別の時間軸があるとおもしろいかなと。3本続けて観れるひとは観るけど、なかなか大変な部分があるかもしれない。じゃあ、2本目は観ずに占いしようかなとか。初めてのオールナイトだから、ちょっと読めないんだけど。3時くらいにはみんな寝ているかもね、漫喫かよって(笑)。あとは、おいしいコーヒーやクラフトビールを出します。

TAKAHIRO HARAさんによるTシャツのグラフィックのラフ画。いずれかの作品のワンシーンかと思いきや、全く関係ないのだそう。

ーオリジナルのTシャツのグラフィックは、梶さんが描いたんですか?

梶:違うんです。それは〈SANSE SANSE〉でいつもモデルをやってくれている原くん。僕は、彼が高校生ぐらいのときに初めて彼の絵を見に行ったんだけど、すごくかっこよかったからいつかモデルをやってねと。それから6年…いやもっとかな、〈SANSE SANSE〉をスタートするときに、モデルは誰がいいかなと…、モデルは重要だし、今までの顔なじみのモデルじゃなくて誰がいいだろうかと考えていたら、あの高校生だった子がいいなと思い出したんです。で、連絡を取ったら、彼は文化服装学院に入って、自分で作品をつくるようになっていて、改めて今回彼に初めて作品としてお願いしました。

最初にファミレスで会って、今回の企画を相談したときに彼から、「梶さん、ひとついいですか? 僕、映画を全く観ないんですよね」と。いいよ、関係ねえよって。結果、仕上がりとしては、すごいのが上がって来たぞと。かっこいいし、けっこうやばいですよ。そういうことも含めて、みんながノリでどこまで行けるか、みたいなところもあるんですよね。

浅野:うちも会社としては、そういうノリが大事だし、グルーヴィーなんですよね。

梶:でも、本当に今足りないのはそれな気がしているんですよ。何かおもしろいことやろうよと言っているのに、いざやろうとするといろいろなものにがんじがらめになっている場合が多い気がする。おもしろいことをやるんだったらやろうよと。やっちゃえばいいじゃないですか。だから、最初の思いでどこまでいけるかということは、この企画を通して楽しみなんですよね。

Chapitre 3. 夜の映画館のスクリーンでしか得られない。

ー今さらですが梶さんの映画遍歴をおさらいしたいなと。クエンティン・タランティーノに影響を受けたそうですね。

梶:タランティーノは、もろ世代なんです。17、18歳くらいに『パルプフィクション』『レザボアドッグス』とか。そういうものがサブカルじゃなくて、メインの時代でしたね。タランティーノがレンタルビデオでバイトして監督になったという話に影響を受けて、俺も映画好きだからレンタルビデオでバイトしようかなと。ただ映画を観るという地点から、ちょっとだけ映画に踏み込んだわけです。でも、3日でクビになったんですけど…。

ーえ?(笑)

梶:スエットの上下で働いていたら、 30年くらい前の話だからスエットの上下を日常着にするという概念が、レンタルビデオのオーナーにはなかったんですよね。いつも寝巻きでお客さんに失礼だろって。で、クビに。

その話は別として、26、7歳ぐらいでスタイリストになってみたら、当時から今と同じようなことをやりたかったものの、考えていたよりも閉鎖的だったなと。もうちょっとスタイリストというのは、自由にいろいろなことを表現できると思っていたんですよね。今でこそ、こうやって皆さんが耳を傾けてくれるけど、誰も聞いてくれなかったし、話しても意味が通じない。なかなかこれは大変な道のりだなと。その頃、著名人だといきなり本を出版していたから、今思うと安易な考えなんですけど、先に有名人になった方が自由なことができるなと。

で、映画だと思って、当時雑誌の取材を受けるときに、肩書きに俳優と勝手に書きはじめたんですよ(笑)。監督からは出演オファーとかはなかったんですが、すごいことになぜか大手事務所から電話が来たんです。じゃあ、ちょっと話をしましょうとなって、面接を受けて、なんで興味を持ったんですか? と聞かれて、 たとえば、今『anan』で、抱かれたい男ベスト10とかあるじゃないですか、あれはあれでいいんですけど、もう一個別軸のものを提示しなきゃダメになると思うんですよね。だから、そういうことをするために、僕が俳優にならなきゃと思っているとか言ったりしましたね。まあ喧嘩売りに行っているようなものじゃないですか(笑)。向こうは、じゃあ俳優をやるなら、スタイリストはやめますよね? と。いや、スタイリストをやりながら俳優をやるからおもしろいんじゃないですかって。今だったら通用するんでしょうけど、向こうは意味がわからなかったでしょうね。で、結局なんか理由をつけて断られました。その事務所を出たときに、いつか絶対見返してやるよと思いましたけど(笑)。でもその何年か後には、スタイリストとしてお仕事をいただいて、すんなりお受けしましたけど(笑)

ー(笑)。ありえないくらい、おもしろすぎる話ですね。

梶:映画に対する何かしらの思いは、ずっとあったんですよね、きっとそれは今でも。「weroll」や「K2」の方々が映画界を憂いているように、僕もファッション業界を憂いている部分があり、どうやったら変えられるのかなと考えたら、こうやってかき乱していかないとなあと。もちろん全部が変わる必要はないんですけど。

ー梶さんのなかでは、どの時代にいちばん映画を観ていたんですか?

梶:30歳から40歳の10年間くらいかな。映画館によく行ってました。今でもテレビでは映画は観ません。

ー映画の情報には、どうやってリーチするんですか?

梶:ひとですね。直接会ったことがあって、信頼できるひとに教えてもらうことが多い。あとはなんとなく自分のゾーンはわかって来ました。

ー判断するときに、監督を見ますか?

梶:そうですね。監督をまず見ますね。

ー今回の『聖杯たちの騎士』はカンヌも獲ったテレンス・マリックが監督ですね。

梶:このひとつ前のブラピやショーン・ペンが出演していた『ツリー・オブ・ライフ』も好きなんですが、これはちょっと不思議な話なんですよね。僕は全体的に、答えがない映画が好き、余白だらけというかね。ファッションのつくり方もそうだけど、ある意味自分自身を知りたいというのも、どこかにあって、そのあたりも旅のようなもので、どうなるんだろうかというのを楽しみたいなと。とにかく『ツリー・オブ・ライフ』もそうだけど、ダメな男が好きなんです。こういう仕事をしていると、かっこよくないといけないみたいなところがあるけど、そんな大したもんじゃないよとは常に思っています。だから作品を通じて、若い子にちゃんとしていなくてもいいじゃんと伝えたい部分もあります。

ーファッションの視点から観て、3作品の魅力はなんですか?

梶:そこに関しては、自ずと入っているんですよね。具体的に言えば、『聖杯たちの騎士』は女の子が全員綺麗でエロいんです(笑)。ナタリー・ポートマンもすごく綺麗。あとは撮り方もかっこいいし、ロケ場所もファッションもいいから、画としてイケてます。フィリップ・ガレルの『ジェラシー』に関しては、フランス人の昔ならではの何も気にしないような普段の格好がすごいおしゃれ。〈SANSE SANSE〉でも「ガレル」というアイテムをつくったくらいだけど、監督自身がすごくおしゃれだと思っていて、描く世界も全ておしゃれ。登場人物の中に、実の息子が出演しているんですけど、彼も体つきも着こなしもすごくかっこいい。『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』は逆に今っぽいというか、ああいう勢いは、今のファッションにもあってもいいんじゃないかなと。

ービジュアルは、どれもこれも全部おもしろいし、かっこいいから、大きなスクリーンでぜひ観てもらいたいですよね。

梶:物語自体に注目してもらうのもいいけど、物語以外もパッと一瞬見るだけでも違うものを得られるのが映画だと思うから。家のテレビやパソコンで観るのと、劇場で観るのはやっぱり全然違うし、関係ないひとが隣にいて、このシーンで唾を飲み込んだとか、言ってしまうと他のひとがいることで自分の体が変わるじゃないですか。その状態で何かを脳に入れると普段とは全く違う結果になると思うんですよね。だから、映画を映画館で観ることにはそれなりの意味があるんじゃないかなと。そう思っていたいですね。

ーたしかにそうですね。音楽も音量の大きさや音質でも伝わり方は違いますからね。「K2」の設備は、スピーカーの数も多いし、音は良さそうですね。

浅野:「K2」の館長が、ペトロールズの長岡亮介さんと一緒に昔、対バンしていたり、実は長岡さんの所属するレコードレーベルの第1弾アーティストだったりするんです。そんなこともあって、音響には相当こだわってますね。

ーいいですね。先ほどの情報が横溢しているからこそ、誰かがオススメしてくれるのがいいという話もありましたが、セレクターがひとだからこそロマンがありますよね。アルゴリズムはそれはそれで優秀だと思いますけど、セレクターの血肉の通った物語があるからいいなと。

梶:それは嬉しいことですね。そういえば映画で『トゥルーロマンス』のキャラクター二人が出会うのも、映画のオールナイトでしたよね。

ーたしかにそうですね。

梶:出会わなくてもいいけど、やっぱり夜の映画というだけで、ロマンがあっていいなと思うんです。

チケットはこちらから
INFORMATION

Kajiyu du cinéma

【開催概要】
開催日:2023年2月25日(土)
時間:23:30〜29:30(5:30AM)
場所:シモキタ - エキマエ - シネマ「K2」
住所:東京都世田谷区北沢2-21-22 ( tefu ) lounge 2F
※小田急線 下北沢駅 南西改札口から徒歩0分 /京王井の頭線 下北沢駅中央改札口から徒歩3分
主催・企画製作・運営:株式会社weroll
作品調達・運営協力:株式会社Wright Film
※24時以降は、セキュリティの関係上、2階の出入り口が使用できません。1階の裏口をご利用ください。

*株式会社werollとは?
デジタルマーケティングソリューションを中心に、多領域のプロフェッショナルを擁するマーケティングエージェンシー。クリエイティブ・ファームとして、映画・アート・音楽などの企画プロデュースを行う有限責任事業組合Inclineを構成する1社でもある。
公式サイト

【タイムスケジュール】
22:00:古着屋、梶雄太「映画占い」、コーヒー・クラフトビール販売スタート
23:30:「K2」オープン(開場)
24:00:上映スタート(映画3作品+1短編ムービー)
29:30(5:30AM):クローズ

【上映作品】
特別上映『We are always with you』Presented by AQUASCUTUM(2022年, 9分, 梶雄太)
①『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』(1989年, 78分, アキ・カウリスマキ, 配給 ユーロスペース)
②『ジェラシー』(2013年, 77分, フィリップ・ガレル, 配給 ビターズ・エンド)
③『聖杯たちの騎士』(2016年, 118分, テレンス・マリック, 配給 東京テアトル)

【その他コンテンツ】
・梶雄太ディレクション「Kajiyu du cinéma オリジナルTシャツ」販売
・〈OLD FOLK HOUSE〉のデザイナー2人と、エディターtomoeによる私物フリマ
・梶雄太の「映画占い」

・「YOROKOBI BREWERY」提供のクラフトビール、「KITASANDO COFFEE」提供のコーヒー販売

イベント特設ページ
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