「オールスター」の進化とゴアテックス ファブリックス。
田中:インソールも、ネイビーとグレイで細部にまで気が利いてますね。
― そのインソールは、「オールスター アール」で初登場したリアクト2.0。見た目が全然違いますね。
西津:かかとをホールドするE.V.A.ヒールカップでフィット感と衝撃吸収性を高めました。前足部のクッションを1層に変えて少し薄くしたことで、足を入れても窮屈感がありません。

野村:少し高反発になりました?
西津:そうなんです。薄くした分、履き心地を損なわないよう、やや高反発にしました。
野村:確かに、「オールスター 100」は前足部が厚くてクッション性がいいけど、もたつき感は否めなかった。それが気にならないほど、歩きやすかったけど。沈みにくくなったから走りやすくて、急いでいる時にぴったり。いつも駆け足気味なので(笑)。
田中:これなら間に合いそうですね(笑)。
西津:インソールの表地はリサイクルコットンで、裏面のブルーの部分もリサイクル素材。むしろアッパーもソールも、基本的に全部リサイクル素材を使っているのが新たな試みです。

― アッパーとソールも? 気づきませんでした。デザインと履き心地がいいうえに、環境保護を考えられているなら、一石三鳥ですね。
野村:そういったことを意識してモノを選ぶのがカッコいいと思うんです。なにごとも押し付けられると反発したくなっちゃうじゃないですか。でも、押し付けがましさを表に出さず、そっと添えられているのがいい。
― まさに。見た目で「やってます」感をあからさまに出されるのは苦手だけど、「実は…」だったら大歓迎です。
野村:エコな素材を使ったビニール袋は、ややグレイっぽいんですよ。「オールスター アール」のソールも、エコな素材を使っているから、ソールのグレイにはその観点も含めています。
―「オールスター アール」は、ほかにどこがリニューアルしたんですか?
田中:アウトソールのパターンも変わりましたよね? レトロなデザインに戻っていて嬉しい。

西津:ラバーの配合を柔らかく改めて、防滑性と屈曲性を高めています。あと、シュータンに施したスリットに紐を通すことができる構造を採用して、シュータンのズレを防ぎます。
野村:こうならないってことですね(笑)。

田中:「オールスター」あるある(笑)
― それを直すのも好きだったりしますけど(笑)
西津:多くのスニーカーのシュータンに紐を通すスリットが付いていますが、真ん中に1個じゃないですか。「オールスター アール」は、上部の両側に付けているんです。
田中:だからシュータンがズレないんだ。
西津:このコラボではゴアテックス生地を使っているのでスリットが付きませんが、水の侵入を防ぐガゼットが付いているのでシュータンはズレません。そして、ガゼットも改良しています。これまでは厚くて履くとゴワつきましたが、薄くしたうえに伸縮性のある素材になりました。

田中:スタジオで撮影する時は靴の脱ぎ履きが多いから、ハイカットの「オールスター」を履けないんですよ。でも、このコラボモデルは、シュータンにガゼットが付いているから、タンが落ちなくて履きやすい。ラフに履いてもカッコいいと思います。

―〈ナナミカ〉にとってゴアテックス生地は特別な存在ですか?
野村:はい。〈ナナミカ〉を認識してもらえたきっかけ、と捉えています。
―〈ナナミカ〉のゴアテックス生地を使ったアイテムは人気ですよね。
野村:ナナミカのゴアテックスコートは世界で初めてコットンを組み合わせたアウターで、ブランドを代表するアイテムです。
― ゴアテックス生地を製品化するには、厳しい検査があるんですよね?
野村:完成したウエアは量産化の前にレインテストを実施しています。ゴア社の防水基準に合格しないと製品化できません。神経質になっちゃうくらい、厳しいテストなんですよ。でもそれが、品質の保証と信頼に繋がっています。
― このコラボモデルもそうですが、ゴアテックスだけどコットンを使っているから経年変化を楽しめるのがすごくいいと思います。
野村:両方とも表地はコットンなので、経年変化や味を楽しめます。適切なお手入れをすればゴアテックスの機能性も維持できます。この「オールスター アール」も、履き込んで自分色に馴染ませてもらいたいです。
田中:「オールスター」って、汚れが味になるからいいよね。ソールがグレイだから味が出やすいんです。ビジュアルの撮影で少し履いただけなのに味が出たな、と思いました。