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ディレクター吉川基希と共に編む、BEAMSの解体新書。第6章「真柄尚武と振り返る、Y2Kのカルチャー」

ディレクター吉川基希と共に編む、BEAMSの解体新書。第6章「真柄尚武と振り返る、Y2Kのカルチャー」

いま再び盛り上がりを見せる2000年代のファッション。今季の「ビームス(BEAMS)」も「Y2K」をテーマに、90年代を経て生まれた2000年代のカルチャーに焦点を当てたものづくりがされています。そうして誕生したウェアの数々には、どんなビハインドストーリーがあるのか? メンズカジュアル部門のディレクター、吉川基希さんとともに、今季のオリジナルアイテムの攻略法を探ります。
今回のゲストは、古くから原宿のファッションやストリートシーンを牽引してきた「A-1 CLOTHING」の真柄尚武さん。90年代を経て生まれた2000年代のカルチャーについて、当時のことを振り返りながら、今季の「ビームス」のアイテムについて深掘りしていきます。

  • Photo_Houmi Sakata
  • Text_Yuichiro Tsuji
  • Video Director_Udai
  • Edit_Yuri Sudo

とにかくサイズ感がいい。バランスがしっかりと整えられている。

ーそうした当時のカルチャーからインスパイアされた服が今季の「ビームス」にはラインナップしていますが、5月のリリースアイテムは、アメカジ色が強いですね。

吉川:そうですね。今回は「ビームス」らしさを強く反映させています。ワーク、スポーツ、ミリタリーなど、ぼくらがいちばん得意とする要素を濃くしたのが、今回のラインナップの特徴です。

ーでは、各アイテムのご紹介をお願いします。

吉川:真柄さんに着ていただいたシャツは、ヨーロッパのパジャマシャツがベースになっています。古着でもこうしたアイテムがちょこちょこ出てくると思うんですよ。

真柄:着てみて、すごい新鮮でした。普段、こういう服はあまり着ないので。だけど、柄物なのに着やすかったですね。

吉川:すごく似合ってましたよ。大人が着ると、より一層色気が出るなと。

ートラックパンツを合わせているところにも、2000年代っぽさを感じました。

真柄:ヨーロッパでトラックジャケットとパンツを着たスタイルが流行ってましたよね。

吉川:ジャミロクワイとかも、セットアップで着てましたね。90年代後半から2000年代初頭にかけて、そうしたスタイルが流行っていたイメージがあります。

ーシャツのサイズ感もよかったですね。

吉川:現代的なシルエットを意識していて、身幅をゆるくしたり、アームホールを広げたりしながらバランスを調整しています。柄は古着からサンプリングをして、それをさらにデザイナーがいじって、オリジナルの柄としてアップデートしているんです。

ー生地も特徴的ですか?

吉川:古着のパジャマシャツはレーヨンでつくられているものが多いんですけど、扱いづらい素材なので、ぼくらがつくったオリジナルアイテムはポリエステルを採用してますね。レーヨンっぽい見え方するんだけど、イージーケアできるっていう。

ITEM2

ーでは続いて、メッシュのトラックパンツですね。

吉川::これは気温が高い時期でも穿きやすいようにメッシュ素材でつくったアイテムです。ようはバスケットボール用のパンツのロングバージョンみたいなイメージですね。ただ、メッシュ1枚だと透けちゃうので、裏地をつけてますね。

ーこちらも真柄さんにセルフコーディネートしてもらっています。

真柄:バスパンのロングバージョンってなんか新鮮ですね。

ー落ち感のある生地で、シルエットもおもしろいですね。

吉川:生地感とかに“Y2K”というテーマが反映されていますね。今季の象徴的なアイテムのひとつです。真柄さん、片方の裾を上げて穿いていたじゃないですか。あれがかっこいいなぁと思いました。音楽のカルチャーを感じたというか。

真柄:そうですね。2000年よりちょっと前くらいから、ウータン(クラン)のメンバーとかがみんな、パンツの裾を片足だけ上げて穿いてましたよね。

吉川:こういうパンツも普段あまり穿かれないですよね? だからすごく新鮮に感じたというか。古着のカバーオールを合わせているあたりも、かっこよかったです。

真柄:サイドにスナップボタンがたくさんついているスポーツ用のパンツがあったじゃないですか。あれを穿いていたひとはこれ、結構刺さるんじゃないですかね?

ー次はカーディガンですね。

吉川:昨今のカーディガンブームの流れを今季も引き継いで、春夏用にアレンジした1着です。強撚糸で編んでいるので、肌触りがシャリシャリしていて、肌離れがいいんです。日中は暖かくなってきましたけど、朝晩冷えるときにこうしたアイテムが重宝すると思います。

真柄:この柄がトラッドな印象ですね。ハンチングとか被ったら合いそうです。

吉川:50’sまではいかないんですけど、ちょっと男らしい柄を表現していますね。真柄さんのような大人の方が着ても、違和感がないと思います。

ーでは、こちらの半袖のスエットはいかがでしょうか?

吉川:これもヴィンテージからインスパイアされたものを、現代的なサイズバランスに整えたものです。グラフィックに関しても古着を参考にしながら、デザイナーがいちから考えたオリジナルのデザインです。

真柄:昔(サイズを調整するために)〈チャンピオン〉のスエットの袖を切って着ているひとがいましたよね。現行だったら、やっぱりサイズ感がすでに調整されているからいいですね。

吉川:ありがとうございます。どうしても古着だと自分に合うサイズを見つけるのが難しいので、「ビームス」に来ていただければ、こうした着やすいアイテムも見つかるよっていうのをみなさんに知ってもらえたらうれしいですね。

スエット繋がりだと、〈チャンピオン〉のベストも別注で仕込んでいます。リバースウィーブのデザインをしっかりと踏襲させつつ、浅めのVで上品さを演出しています。胸元でTシャツとのレイヤードもここで表現できるし、カラーコーディネートも楽しめるかなと。

ー最後にこちらのカーゴパンツはいかがでしょうか。

吉川:これはもう定番アイテムですね。特徴としては、通常6つのポケットなんですけど、腰の両サイドと、カーゴポケットの中の小さなポケットもプラスしていて、合計10個あるんです。

ーそれにはなにか理由があるんですか?

吉川:すごく個人的なことなんですが、ポケットに手を入れたときの角度が、腰の両サイドについているほうが男らしくて様になるからなんです。あと、カーゴポケットは大きいがゆえにモノを入れると、歩いたときに邪魔になったりするじゃないですか。だから小さなポケットをつけて収まりをよくしているのと、荷物も整理しやすいということでつけました。

真柄:ポケットがいっぱいあるのはいいことですね。

ー夜遊びにも使えそうです。

吉川:クラブって手ぶらで行きたいじゃないですか。そういうときに便利ですよね。軍パンだとタフだし、汚れてもきにならない。とくに屋外のパーティへ行くときなんかは、こういうアイテムが役に立ちます。

真柄:自分もカーゴパンツはよく穿いてますね。これはもう本当に定番です。

吉川:ベルトループも一応つけているんですが、ドローコードを内側につけているので、イージパンツのようにも穿けます。なので、元々はサイドにアジャスターがついているアイテムなんですが、それは排除しました。そういった部分も現代的なアップデートとして見てもらえるとうれしいです。

ー一通りアイテムをご覧になられて、真柄さんはどんなことを思いましたか?

真柄:とにかくサイズ感がいいですね。コーディネートしたときのバランスがしっかり整えられているなと感じました。重ね着をすることや、1枚で着ることがしっかりと考えられていて、いまっぽいシルエットになるなと。

2000年代に自分は海外に買い付けに行って、2XLとか、めちゃくちゃデカいサイズの服をピックアップしてたんですよ。いま考えると、なんでそんなデカいの着てたんだろうって思いますけどね(笑)。その頃のことを思うと、やっぱりサイズバランスがいいなと思います。

ー今回2つのアイテムをコーディネートしていただきましたが、他に気になるアイテムはありましたか?

真柄:やっぱりカーゴパンツですかね。なんでも合わせられるし、使い勝手が本当にいいので。

吉川:自分でもカーゴパンツはよく穿きますね。Tシャツ1枚でもいいし、ブレザーにも合わせやすい。カジュアルでも、トラッドでもいけちゃう万能さが魅力ですよね。

INFORMATION

BEAMS 23SS COLLECTION

公式サイト
Instagram:@beams_official @beams_mens_casual

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