生粋のハワイアンたちがハワイから世界へ。
〈サルベージ パブリック〉のバックボーンにはデザイナーたちの出身地であるハワイがあるわけですが、具体的にどのような形でローカリズムを表現しているのでしょうか? 今後の展望なども踏まえ、地元のチームと共にブランドをディレクションする小野寺武人さんにお話を聞きました。場所は駒沢に位置するショップの「スローテンポ(SLOW TEMPO)」で。
PROFILE

駒沢のセレクトショップ「スローテンポ」のオーナーであり、今年20周年を迎えたブランドの〈メイプル〉や〈メロウピープル(mellow people)〉のディレクター。また、ホノルル発のブランド〈サルベージ パブリック〉のディトリビューションや、ブランドのプロモーションを行うなど幅広く活躍中。プライベートではゴルフにハマっているそうです。
高校の同級生+兄弟でブランドをスタート。
ー〈サルベージ パブリック〉はどんなブランドで、そのデザインを手がける3人はどんな人たちなのでしょうか?
小野寺:ジョセフ(Joseph Serrao)、ノア(Noah Serrao)、ナパリ(Napali Souza)の3人が2013年にスタートさせたのが〈サルベージ パブリック〉。ジョセフとナパリが高校からの親友で、ノアはジョセフのお兄さんですね。ブランドのアドバイザー的な立場で裏方として関わっています。彼らは3人ともカメハメハ・スクールという学校の出身者なんですが、ここはハワイアンの血筋でないと入れないというローカルの名門で、ハワイアンの子供たちの教育を目的としたスクールなんですよ。つまり、それだけ生粋のハワイアンでローカルに根差した生き方をしている人たちだということです。
ーでは、小野寺さんはどのように〈サルベージ パブリック〉に関わっているのでしょうか?
小野寺:ブランドを運営する3人の友人であり、同時にディストリビューターとして携わっています。彼らとの関係は、私が〈サルベージ パブリック〉に興味を持ってコンタクトを取ったところからスタートしました。当時、何社か彼らにアプローチしていたようなのですが、私がディレクションしている〈メイプル〉のプロダクトや展開をみて、我々に任せてくれることが決まったんですよ。



小野寺さんがハワイへ行ってミーティングやハングアウトをしたときに撮った写真たち。ジョセフとノアと海へサンセットを見に行ったり、カイムキというエリアに構える〈サルベージ パブリック〉のオフィス前でポーズを撮るジョセフの姿が。
ー小野寺さんは彼らとどんな形でプロダクトを生産しているんですか?
小野寺:シーズンコレクションに取り組むとき、最初にブレスト的にミーティングをします。そこで彼らのアイディアや思いを吸い上げて、私の方でも何がいいのかを考えてフィードバックしたりしますね。以降は、ジョセフやナパリからデザインが次々に送られてくるので、それを形にしているんですよ。
ーアイテムの展開はシーズンごとのコレクションでの提案がメインなのか、 春夏限定になりますか?
小野寺:ベースとなるのはSS(春夏)やAW(秋冬)のコレクションですが、スポットアイテムが多いのも〈サルベージ パブリック〉の特徴のひとつです。ハワイは常夏のイメージが強いと思うんですけど、ぼくらが思っている以上に実際は四季を感じられるんですよ。だから、それに応じたアイテムが追加で展開されたりしますね。あとはハワイのショップ限定のアイテムであったり。特に配慮しているのは、ハワイ以外の場所でも心地よく着られるようなアイテムをつくるというところです。最近ではNYやLAでも人気が出てきているので、そこも配慮している点ですね。
ーそれでアウターやスウェットなども充実したラインナップになっているんですね!
小野寺:そうですね。でも、ただのファッションブランドとしてトレンドを意識したもの作りを行なっているというわけではなく、純粋に彼らのバックボーンにあるハワイのカルチャーを洋服の上で表現するという意識が先頭にある感じですね。




お店は広大なスペースに、センスよく〈サルベージ パブリック〉のウェアがデュスプレイされています。ハワイの代表的な植物であるセージグリーンや火山が多い土地ならでのグレージュは、ブランドのインスピレーション源であり、ハワイの原風景そのもの。