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渋川進の夜でも部屋でもシャングラス。vol.02 長谷川くん、セパバスどうですか?(中編)
Midnight Sunglasses at The Room

渋川進の夜でも部屋でもシャングラス。
vol.02 長谷川くん、セパバスどうですか?(中編)

「カツラを被ったり、サングラスをするのが面倒臭くなっちゃった」。開口一番、そんなことを口にして、自身が〈セパバス(SEPARATE BATH&TOILET)〉のディレクターであることを暴露した現代美術作家の加賀美健さん。前回に引き続き、今回もスタイリストの長谷川昭雄さんをゲストに迎えて、二人の対談をお届け。ファッションの話題を切り口に、クリエイションのスタイルについて、お互いのアイデアを共有します。

PROFILE

加賀美健

1974年生まれ。東京都出身。ドローイングや彫刻などの作品をリリースし、国内外問わ ず多数の美術展に出展。アパレルブランドとのコラボレートも積極的に行ない、自身が運 営する代官山の「ストレンジストア」では、自作のTシャツなどグッズ類を展開している。
Instagram:kenkagami

PROFILE

長谷川昭雄

1975年生まれ。スタイリスト、ファッションディレクター。大学在学中に喜多尾祥之氏に師事した後、スタイリスト/ライターとして独立。2012年には、『POPEYE』をリニューアルさせ、2018年までファッションディレクターを務めた。現在は『フイナム』と制作している『AH.H』のディレクションをする一方、4月末から『CAULUMN』という新しいメディアをスタートさせたほか、「andreM hoffwann」という自身のお店をオープン。 Instagram:stylistakiohasegawa

作り手も、受け取る側も、インテリジェンスが必要。

ー〈セパバス〉も今季で3シーズン目ですが、つい先日、偽物が発見されたんですよね。

加賀美: そうそう! 「SEPARATE MIND&REASON」っていうロゴモノのパクリが発見されたの。

加賀美: まだ流行ってないんだけど、もうパクられちゃった(笑)。

長谷川: 姉妹ブランドみたいだね(笑)。でも、文字変えただけだと、どっちが本家かわからないよね。

ー受け取る側のリテラシーも求められますよね。

加賀美: そうそう。だからセンスの問題だよね。真似の仕方にセンスがあれば、いいじゃんってなるんだけど。

長谷川: ストリートブランドでもいろんなオマージュが見られるけど、あれも見せ方のセンスがいいからかっこいいとされるわけじゃない?いわゆる“模倣”って言われるものは、使い方も仕上げ方も全然魅力的じゃないよね。ダサい。俺も散々真似されて、うちのアシスタントが探してきた素人のモデルをSNSで呼びかけて探し出して、同じモデルで同じロケーションで撮影されたこともあって、マジでムカツいてたことあるよ(笑)。インスタ程度の小さい画像だと、クオリティの差がわかりにくいからマジで迷惑だった。俺がやってると思ってるヤツまでいたし。大きな画像でよく見れば、そいつのスタイリングとかは全然ダサいんだけどね。作り手も受け取る側も、知性が必要だと思うよ。カガミくんのアート作品も、真似されたりしないの?

加賀美: 俺の作品を真似してもなんの得にもならないからね(笑)。たぶん難しいと思うよ。

長谷川: みんなそこまでのレベルに達してないんだろうね。アートこそ知性が必要だから。

加賀美: いちばん真似しやすそうで真似しにくいんじゃないかな。人物の絵とか、そういうのじゃないからね。

長谷川: だけど、あるとき偶然に生まれそうだよね。付箋に書いた字が、たまたまカガミくんっぽいフォントだったことがこの前あってさ(笑)。

加賀美: 何年か前に渋谷の駅前で、有名人の手書きメッセージが書かれた広告が掲載されてたんだけど。白地に黒い文字で書かれていたから、それを俺の作品だと思った人が結構いたみたい。インスタグラムでタグ付けとかされたりしちゃって。

長谷川: それは腹立つね。最悪なやつ。それをやったアートディレクターって、どんなつもりでアートの世界で生きてるのか、意味わかんないね。

加賀美: 現代アートはすぐ簡単に搾取されちゃうから。下手したら裁判沙汰になることもあるからね。

ー〈セパバス〉はパクられてどう思いました?

加賀美: 面白いなぁと思ったよ(笑)。

長谷川: 実際にその商品、どうだったの?

加賀美: 生地が薄くて安っぽい感じだった。〈セパバス〉って「ちょいサステナブル」って言いながらオーガニックコットンを使ってるんだけど、偽物はポリエステル100%だった(笑)。

ー長谷川さんは、加賀美さんのクリエイションというか、アート作品はお好きだったんですか?

長谷川: カガミくんって学年がひとつだけしかかわらないし、誕生日も1日違いなんだよね。だから他人な気がしなくてさ(笑)。

加賀美: それいっつも言うよね。加賀美フォントを最初にフィーチャーしてくれたのは、たぶん長谷川くんだったと思うんだよね。たしか『ポパイ』にステッカーを載せてくれて。

ー「実家帰れ」とかですか?

加賀美: そうそう。それでモデルにも俺がやってる〈“C”〉っていうブランドのTシャツを着せてくれたりして。

ーあのちょっと抜けた感じというか、そうしたムードがよかったんですか?

長谷川: まぁ直感的に面白いなっていう。この帽子もLAで買ったんだけど。

ー以前『AH.H』でも紹介されてましたよね。

加賀美:タルティーンベーカリー(Tartine Bakery)」のやつね。

長谷川: サンフランシスコのパン屋さんなんだけど、LAに初出店するっていうことで、できたばかりのタイミングで行ったらこれを見つけて。なんかカガミくんっぽいなぁって思ってたら、本当にそうだったんだよね。

加賀美: インスタで直接オファーが来てさ、ピンバッチもつくったんだよね。

ー加賀美さんはサンフラシスコに行かれていた時期があったと思うんですけど、それは関係あるんですか?

加賀美: どうなんだろう? でも、サンフランシスコのお店にはよく行ってたよ。当時はそうでもなかったけど、いまは有名になったよね。

長谷川: 美味しいし、すごくいいお店だよね。

INFORMATION

SEPARATE BATH&TOILET

https://sepabath.com/

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