Chapter.3 アロハシャツの黄金期
1950年代のアロハシャツへのこだわり。
1940年代後半から1950年代にかけてのアロハシャツ黄金期のビンテージ・アロハシャツに魅せられて、その時代のスタイルのアロハシャツを作り続けている「コナベイハワイ(KONA BAY HAWAII)」のKC木内さんを訪ねました。一番かっこよかった頃のアロハシャツってどういうものなんでしょう。
―木内さんがアロハシャツを作り始めたのはどういうきっかけだったんですか?
木内:アロハシャツが好きで、元々ビンテージを集めていました。1999年にハワイに住み出した頃、たとえば「メイシーズ(MACY’S)」とかでアロハシャツを買おうとすると、ほとんど別の国で作られているような状況だったんです。当時、欲しいと思えるハワイ産のかっこいいアロハシャツがなかったから作ってしまおうと思ったわけです。1950年代の黄金期のアロハシャツと同じ生地、同じ工程での生産を目標に掲げてスタートしました。
―50年代にこだわるのはどうしてなんでしょう?
木内:形もいいし、柄も素材も全ていい。アロハシャツのかっこよさが詰まっているんです。この時代のものに見られる大きな特徴として抜染というプリント技法があります。昔から日本が得意とする分野の素晴らしい技術です。
―50年代のアロハシャツのシルエットや素材にはどんな特徴がありますか?
木内:開襟で襟が大きくて、裾は真っ直ぐというスタイルですね。そして素材はレーヨン。その後60年代にコットンが出てきます。70年代になるとポリエステル素材のアロハシャツが出てきて、それでもうアロハシャツがかっこよくなくなったから、みん着なくなっちゃったというわけです。
レーヨンのアロハシャツは風を着るシャツなんです。
―着心地もアロハシャツの魅力なんですね。
木内:とても大事ですね。レーヨンのアロハシャツは風を着るシャツだと思っています。あと、とても大事なのはハワイで作られていること。アロハシャツはメイドインハワイでなくてはならないと思うんです。
―アロハシャツのかっこいい着こなし方ってどういうものなのでしょう?
木内:僕にとっての憧れはずっと映画『ビッグ・ウェンズデー(BIG WEDNESDAY)』のジャン・マイケル・ビンセントなんです。高校生のときに見たんですけど、映画のなかでアロハシャツを着た彼の姿が最高にカッコいいんです。ぜひ参考にして欲しいですね。
―ハワイ産のアロハシャツが減っていくなかで、伝統と文化を伝える役割も担っているんですね。
木内:確かにうちがやめたら、抜染プリント生地を使ったメイドインハワイのメーカーはなくなっちゃうのかもしれませんね。文化を守らなきゃとかいう大袈裟なものではないけど、面白いことをやらないととは思っています。人がやっていないことをやった方が面白いでしょ。
“風を着るシャツ”って、いい言葉ですよね。ホノルルの空港に降り立った瞬間に感じるあの風の心地よさ。いつでもそよいでいる風こそが、ハワイの魅力だなんて考えたりもします。その風を着るアロハシャツは、ハワイの自然や文化、そしてこの土地に受け継がれてきた日系移民の歴史も纏うことができるのです。だからこそ魅かれるんでしょうね。
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KONA BAY HAWAII
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