PROFILE
兵庫県淡路島出身。小学校教師を経てファッション業界に転職。〈ブルックス ブラザーズ〉で販売員、PR担当を経験。同社退職後、2015年にパンツ専業ブランド〈ニート〉を立ち上げる。現在はプレスオフィス「にしのや」の経営も手掛け、今夏には地元である淡路島に「N&N STORE」をオープン予定。
PROFILE
バイヤー。セレクトショップ「エディフィス」にてバイヤーを務めた後に独立。自身の活動を経て、2015年に「レショップ」を立ち上げる。現在は同ショップのバイヤーを務めるとともに、さまざまなブランドやレーベルの監修も行う。

「ニートとはなんだろう?」ってずっと考えてたんですよ。
ー金子さんが西野さんのことを「大ちゃん」と呼ぶようになったのは、いつからですか?
西野「WEEKEND」を始めた頃なので・・・。
金子:いつ頃でしたっけ?
西野:2019年の11月が初回です。だから、大体4年前くらいですね。
金子:そうですね。それからずっと大ちゃんと呼んでます。でも、〈ニート〉と「レショップ」の付き合いはもっと長いんです。
西野:2016年、〈ニート〉のデビュー当初から取り扱ってもらっていましたね。
金子:厳密に言うと、自分は展示会には行くけれど、実際にアイテムを選ぶのは別のスタッフでした。ぼくの中では「スラックスはこう」っていうイメージが明確にあって、ダイレクトに魅力が入ってくるのは自分ではなくもっと若い世代だと思っていたんです。だから「〈ニート〉とはなんだろう?」ってずっと考えてたんですよ。
ー魅力を感じつつ、金子さんにとってのスラックス観とのギャップがあったんですね。
金子:そうです。だから、ずっとわかりたかった。そのためには〈ニート〉を自分自身のストーリーに乗せる必要があったんですね。
ある時、大ちゃんと飲みに行って、「アメリカが好き」っていう話をして、そこでピンときたんです。アメリカで〈ニート〉がつくれたら最高なんじゃないかな? むしろ、そうしない理由がないよな、と。そこから〈ニート〉が自分の中に入ってきたんですよ。海外別注シリーズのはじまりがぼくと大ちゃんの関係性的にも、〈ニート〉と「レショップ」の取り組みとしても、重要なポイントになっているんです。

ーそれが2018年のこの記事に繋がるんですね。
西野:飲みの席だったので、正直、本当に実現するとは思っていなかったんです。当時のぼくはアメリカの工場も知らないし、金子さんにすべて頼るしかない。実現できたら嬉しいけど、絶対忙しいじゃないですか(笑)。そうしたら、ある日金子さんから連絡をいただいて、急ピッチでアメリカに行くことが決まったんです。
ーそうして生まれた〈NEAT USA〉。大好評でしたね。
金子:凄まじかったですね。並びもかなり出て、大変な騒ぎでした。
西野:なぜこんなに反響があったのかわからないくらいでした。アメリカ製だからどうしても価格が高くなってしまうし、そもそも自分たちにとって利益が多く出る商品でもない。原価が上がるので。それでもなぜ〈NEAT USA〉をつくりたかったか、そして受け入れてもらえたかって。それはロマンでしかないんですよね。
金子:ロマンを追い求めるということこそ、自分たちのやるべきことなんだなと思います。アメリカまで行って、生地を探して、いろいろ試してつくってゆく。興味がない人からしたらどうでもいい話だけれど、そこにはぼくらの文脈と、情熱がある。物理的な距離を隔てた別の文化と接続するおもしろさもある。それが伝わるべき人にはきちんと届いていくし、実際にそれらを理解して手に取ってくれた方の服装にも反映されてゆく。ファッションはスペックの話だけでは語れない。着た人の思考や行動にも影響を与える、奥の深いものだなと思います。
その情熱は〈NEAT PARIS〉を手がけた今回まで全く変わりません。ぼくらのくだらない物語にお客さんが一緒に乗り込んでくれることが嬉しいんですよね。
