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FEATURE|WTAPSデザイナー「西山徹」 ⇔ テキスタイルデザイナー「シグ・ゼーン」 往復書簡。

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WTAPSデザイナー「西山徹」 ⇔ テキスタイルデザイナー「シグ・ゼーン」

往復書簡。

今だから聞きたいことがある。手紙だから聞けることがある。クリエイター同士の「往復書簡」。今回手紙をしたためてくれたのは、東京のストリートシーンを牽引し続ける〈WTAPS〉デザイナーの西山徹さん。相手は、彼の尊敬するクリエイターのひとりであり、友人でもあるシグ・ゼーン氏だ。“手紙”という限定されたコミュニケーションの中で、冷静に、そして丁寧に交わされた二人のやりとりから見える、仕事への姿勢とその向こうに見据えるヴィジョン。

  • Photo_Taro Hirano (Tetsu Nishiyama)
  • Edit & Text_Jun Namekata

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西山徹(にしやま てつ)
1993年にFORTY PERCENT AGAINST RIGHTS®、1996年にWTAPS®をそれぞれスタート。TOKYOのストリートシーンを牽引し続けるキーマン。2015年からはDESCENDANT®もスタート。独自のアプローチでライフスタイルを提案している。

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Sig Zane(シグ・ゼーン)
ハワイを代表するテキスタイルデザイナー。アパレルブランド〈シグ・ゼーン〉プロデューサー。ハワイの自然や伝統的なモチーフを用いデザインを展開。正統的なハワイアンスピリットを尊重し、本物のハワイアンウエアを作り続けている。

Tetsu Nishiyama → Sig Zane.

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DEAR Mr. Sig

ALOHA。
先日はシャツをありがとうございます。
プレゼントしてくれた上にわざわざアイロンまでかけてくれて!
ご自身でもシワひとつないシャツを着こなしている姿を見てこだわりを感じたし
あんなすばらしいおもてなしは僕も見習いたいなぁと思ってました。
そんなMr. Sigに聞いてみたいことがあって今回手紙を書きました。
ご存知の通りぼくは日本人です。

東京で生まれ育ちました。
物心が付いてからはアメリカのカルチャーにのめり込み
ストリートブランドというファッションのジャンルで生計を立ててきました。
今ある自分の感覚はカルチャーがあったからこそだと思っています。
SigさんはHawaiiのHiloで生まれて育ち
今なおHiloで活動をされていると思います。
先日お会いしたときにHawaiiについて色々伺った際に思ったことがあります。
Sigさんのデザインは正統でインスピレーションは
とてもヘルシーでナチュラルなところからきていると感じています。
僕の場合は先に話したようにアメリカのユースカルチャーと呼ばれるところからの影響が大きく
どちらかというとアンダーグラウンドでカルト的なインスピレーションがコアな部分です。

40歳を超えた今、子どもを授かり、自らが育てる立場になって
ようやく日本人としてのアイデンティティを持って、
正統ではありませんが、生活やこれまでの人生がインスピレーションとなってきているのは
ヘルシーなことかなぁとと考えていた最中、
まるでアプローチも年齢も住む国も違う我々ですが今回の出会いでSigさんたちから
影響を受けたことをきっかけに、今回10の質問をさせていただきたいと思いました。

1. Sigさんが思う本当のHawaiiを教えてください。
2. Alohaスピリット、アイランドスピリットについて聞かせてください。
3. Sigさんの子どもの頃、物心が付いた頃に思った「憧れ」とはなんだったのでしょうか?
4. 好きなことを仕事にする」。Sigさんはそうしてきたと思います。今でも好きでいると思います。その「好き」は当初と何が違いますか?
5. Sigさんたちは正統なHawaiiのカルチャーを自分も含めてあらゆる人々にEducateしShareすることを続けてきていますが、その逆にSigさんたちが影響を受けた(ているこ)とはどのようなことでしょうか?
6. 60年代、70年代、80年代でのHawaiiのOahuってどんなところだったのでしょうか?
7. その続きですが、その頃からフェイバリットなハワイアンミュージックのアルバムを教えてください!
8. Sigさんが今考えるアロハシャツのセオリーを教えてください。また年代によってその変化はどうあるのですか?
9. ぼくの子どもたちはまだ3~5歳です。彼らのこれからの将来をいろいろ考えはじめています。igさんはこれからの将来子供たちに何を願っていますか?
10. ご自身のアイデンティティとは?

長々とありがとうございます。
Sigさんたちに出会えたことで影響を受け
これからのモチベーションに変えることもできました。
ハワイにリスペクトを。
お返事お待ちしてます。

敬具

Tetsu Nishiyama

Sig Zane → Tetsu Nishiyama

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DEAR Mr. TET

手紙をありがとう。

1. Sigさんが思う本当のHawaiiを教えてください。
ハワイ島は、ハワイ州の中でも一番若い島です。火山が噴火を続け土地が進化し続けていることから、誕生から成長まで、不毛地帯から高い山の偉大な森に至るまで、視覚的に数世紀遡る頃と変わらぬ様子を目の当たりにすることができます。特に島の東側、土地開発が行われていない地域はまだ魂が宿ったままの手付かずの自然が残っており、それは私たちにとっての幸いです。祖先たちとは彼等とコミュニケーションを保っていることから毎日のように導きを受けています。生命の誕生、成長、そして死に至るまで、火山という土地柄が本当のハワイと言えるでしょう。人生のサイクルは実際に見て捉えることができるのです。

2. Alohaスピリット、アイランドスピリットについて聞かせてください。
ハワイに生まれた子供は「ケイキ・オ・カ・アイナ」と呼ばれます。島々に生まれた子として私たちには島をお世話する責任が与えられます。この故郷へ対する愛情はこの土地特有のスピリットを吸収することを可能にします。私たちが土地とスピリットに対し持つリスペクトが、この土地と人々と持つべく関係を導いてくれます。私たちは生命のサイクルを理解し、この土地が持つ驚くべきパワーをはぐくむのです。

3. Sigさんの子どもの頃、物心が付いた頃に思った「憧れ」とはなんだったのでしょうか?
私の幼少時代はとてもカラフルでした!遠く離れた外国へ旅をし、そこで多くの体験をしたお陰でデザインや建築への目を肥やすことができました。小さいころからいつも何かを作ったりするクリエイティブな子供でした。建築家になりたかったのですが、ヒロに住むようになり伝統的なフラやチャント、特にハワイ語に触れるチャンスを得えました。そして妻と彼女の家族に出会ってから、(ハワイの伝統的)文化の維持とその知識を私が出会う人々全員とシェアしていくことに人生を捧げる決意をしたのです。

4. 「好きなことを仕事にする」。Sigさんはそうしてきたと思います。今でも好きでいると思います。その「好き」は当初と何が違いますか?
私たちの文化を取り入れた作業や仕事は本当に急増してきたと思います。古代のチャントに深く関われば関わるほど、どれだけ自分たちが知らないか、ということが明らかになり、どれだけまだ勉強しなければいけないことがあるか、ということが分かってきます。次世代のハワイアンたちに対してどれだけ大きな責任があるか、ということがわかってきた今、以前に増して自分の仕事に従事しなければいけないという念に駆られとても活気を感じています。私の息子が伝統を受け継いでいてくれています。なので今日、今できるときに私たちの風習や習慣等全てのニュアンスや深い意味を彼に伝えることが大切なのです!

5. Sigさんたちは正統なHawaiiのカルチャーを自分も含めて、あらゆる人々にEducateしShareすることを続けてきていますが、その逆にSigさんたちが影響を受けた(ているこ)とはどのようなことでしょうか?
伝統的なチャントやフラはすべての質問に対する答えを提供してくれます。比喩を勉強することは私たちの文化に対し洞察力を養います。祖先からの深い知識が私たちを導いてくれる、と自信を持ってその導きに委ねることができるのです。

6. 60年代、70年代、80年代でのHawaiiのOahuってどんなところだったのでしょうか?
ハワイが合衆国の州として迎えられてから最初の十数年、その時代に育ったことで多くの変化を目の当たりにしてきました。小さな町から国際都市になる様相を、自身をもって体験してきました。一昔前のホノルルやその周辺の地域での思い出から未だにインスピレーションを受けていますし、多くのストーリーの軸になっています。そのような時代を経ていまの自分があるのですが、私は近代の世界に属す市民である、と信じています。州になる以前の経験もあることから、私は自分のことを「昔のハワイ」と近代の時代の両方によって形成された人間であると思っています。

7. その続きですが、その頃からフェイバリットなハワイアンミュージックのアルバムを教えてください!
レイナアラ・ハイリの歌声は未だもって私を感動させますね。ポップス・ギャビー・パヒヌイも変わらずに大好きですし、ジェノア・ケアヴェも本当にエクサイティング。さらにクルヴァイマカのチャントは最高です。昔のフラ・マスターを聴いていると脳が刺激されますね!

8. Sigさんが今考えるアロハシャツのセオリーを教えてください。また年代によってその変化はどうあるのですか?
シャツが)私の芸術の「カンバス」であることを踏まえ、常にクリエイティブであることを心掛けています。私たちの文化の事を知れば知るほど、それがデザインに深く反映されます。私の過去30年は深い造詣を理解するにほんの入り口に立ったにすぎません!

9. ぼくの子どもたちはまだ3~5歳です。彼らのこれからの将来をいろいろ考えはじめています。Sigさんはこれからの将来子供達になにを願っていますか?
親としての最大の責任は子供たちに誠実であることと誇りをもつことを教え込むことです。そして厳しくあり、尊敬と道義心をはぐくむことも大切です。その他に子供の周りで起こっていることに敏感であることも大切ですね! 自然に対し愛情をもって接すること、そして森羅万象とコミュニケーションをとることを教えてあげましょう!

10. ご自身のアイデンティティとは?
私はハワイの子、であるということです。

Sig Zane

Afterwords from Tetsu Nishiyama

お答え頂きありがとうございます。

回答の中にあった、ご自身のことを「昔のハワイ」と近代の時代の両方によって形成された人間』と評されたその言葉が、深く印象に残りました。自分も、過去、現在、未来という連続した時間軸を経ることによって、人格が形成される、その人の生き方が作られてゆくと思っています。その時間軸の中で、皆それぞれ生きてゆく実感を重ね、これからの子供達と接し、さらに新しい未来を形作る世代を送り出すのだと改めて感じました。

人生のサイクルを見据え、あるがままに生きているハワイの人たちのことをリスペクトします。
またハワイでお会いできるのを楽しみにしています。

西山 徹

WTAPS
www.wtaps.com

FORTY PERCENTS AGAINST RIGHTS
www.fparmg.com

DESCENDANT
www.descendant.jp

Sig Zane
sigzanedesigns.com

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