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進化を止めないモノリスのロジカルなものづくりと店づくり。
MONOLITH OSAKA

進化を止めないモノリスのロジカルなものづくりと店づくり。

フイナムはこれまでも、アイテムが持つ端正な顔立ちや確固たる考えに惹かれ、〈モノリス(MONOLITH)〉を注目ブランドとして追いかけてきました。〈モノリス〉は東京・丸の内、南⻘山に続き、この度都内を飛び出し大阪・梅田の「グランフロント大阪 南館」に出店。魅力溢れるロジカルなバッグや、土地柄や店内の構造を生かした店舗デザインなど、改めて〈モノリス〉を探るべく、開店日に大阪店を訪れました。できあがったばかりの大阪店を実際に見ながら、ブランドのディレクターを務める中室太輔さんに、「モノリス オオサカ」のこだわりを聞きました。

  • Photo_Yuichi Akagi(eightpeace)
  • Text_Hisamoto Chikaraishi(S/T/D/Y inc.)
  • Edit_Naoya Tsuneshige

それは、他にはない機能と驚きに満ちた格納庫。

PROFILE

中室太輔

ファッションを中心としたさまざまなブランドのPRやブランディング、企画を手がける「ムロフィス」の代表。セレクトショップのプレス時代より、その真摯な仕事ぶりとユーモア溢れる語り口で、業界で有名なスペシャリストであり人気者。2020年11月、自身がディレクションするバッグブランド〈モノリス〉をスタートした。サウナ好き。この日も一汗かいてから登場。

─モノリス大阪のオープン、おめでとうございます。

中室:ありがとうございます。

─東京・丸の内、南青山に続いて、3店舗目を大阪・梅田に選んだ理由を教えてください。

中室:これまで大阪の「阪急メンズ大阪」さんなどでもポップアップをさせていただいた際に、大阪出店を望まれている多くのファンの方の声を聞いていたので、近いうちに要望にお応えしたいという気持ちがありました。そんななか、ご縁があって「グランフロント大阪」さんと出店のお話を進めさせていただくことになったんです。

既にファンになっていただいている方々のご期待に応えるのと同時に、潜在的な〈モノリス〉ユーザーを開拓するために、「グランフロント大阪」はぴったりでした。良いお店がたくさん入っていますし、性別年齢問わずしっかりとした価値観を持っているお客様が多いイメージがあり、駅と繋がっていてアクセスも良いということで、出店を決めました。

─店舗面積は約9坪ですが、そこは高いハードルに感じませんでしたか?

中室:確かにお店としては広くないかもしれませんが、いまお伝えした場所の魅力もありますし、天井が高いので面白いコンセプトやデザインを考えられるんじゃないかと直感で思ったんです。

─そこで生まれた「格納庫」というコンセプト。何か着想源はあったのでしょうか。

中室:限られた空間なので、プロダクトも内装もぎゅっと詰め込んだ見せ方をしたくて。ストックルームの空間を確保すると壁面にしかアイテムを置けなくなってしまい、他と同じような既視感のある店しかつくれない。だから、ストックルームも鏡も、なんならレジ機能も収められる格納庫にすれば解決すると考えました。

また、〈モノリス〉の名前はもともとは「一枚岩」という意味の言葉ですが、日本語の「もの」という言葉が含まれている音の響きや、スタンリー・キューブリックの映画『2001年宇宙の旅』で登場する、ヒトの進化につながる石板モノリスなどからつけました。そういうSFっぽいイメージと格納庫に親和性を感じて、ぼくの中ですごくしっくりきたんです。そして、今回も丸の内店、青山店に引き続き、店舗デザインは、「スモールクローン(SMALLCLONE)」の佐々木一也さんにご依頼して、このメインの什器と内装の設計、デザインを担当していただきました。いやぁ、生で見るとビビりますよね(笑)。

─存在感に圧倒されますね。実際、ここを通る方たちの目を釘付けにしています。

中室:無垢のスチールで組まれた半円状の格納庫は、ディスプレイの各棚が前へ引き出すことができ、その裏がストックスペースの役割を果たしています。それと、佐々木さんの事務所にある天井の大きなファンが好きで、どうしてもつけたくて。より格納庫感が増していますよね。SF好きの人は特にぐっとくると思います。

─見ているだけでワクワクします。中室さんが気に入っているディテールはどこですか?

中室:全部好きだから難しい……。段差を変えられる棚を支える柱には目盛が入った目地が施されていたり、青山店みたいに什器の間から引き出し式の鏡が出てきたり、佐々木さんのこだわりを随所に感じて、見るたびに感動します。

中室:とはいえ、お店の主役はプロダクトであり働くスタッフでもあります。ぼくと佐々木さんの思いやエゴを詰め込んでしまうと、販売、運営するための機能が削がれてしまうことがあるので、接客やオペレーションを実行しやすいことが大前提。店頭に立つスタッフとディスカッションをして、要望をすべてクリアできるように設計しています。

例えば、下の棚を引き出すと物を置ける接客台になったり、必要な時だけ鏡を取り出せたり、機能性とデザインをうまく両立させた上でこの什器を制作できたことがすごくうれしいですね。

─まさに、〈モノリス〉が徹底しているロジカルなデザインですね。

中室:ぼく、すごい文系なんですけど、〈モノリス〉は理系なブランドにしたいんです。理系なブランドと聞くと、ちょっと気難しくて、理屈っぽいイメージがあると思いますが、道具としてはその方がいい。〈モノリス〉のが発信するデザインはすべて、機能が決定していて、プロダクトのデザインから店舗の設計まで、すべてに理由がほしいんです。大阪店もプロダクトを説明する前に、店の雰囲気や世界観を見てくださって〈モノリス〉を理解してもらえる、そんなお店になっていると思っています。

─店舗ごとに内装が違うのは、何か意味があるのでしょうか。

中室:「機能がデザイン決定している」というのと同時に、一方で驚きも大切にしています。〈モノリス〉のデザイナーにもよく話しているんですが、ブランドの軸を守りながら、新鮮さや驚きを提供していきたいと。ぼく自身、ひとりのユーザーとして、ブランドのファンになるきっかけって、そういう部分。プロダクトだけではなく、店も同じなんです。

中室:丸の内の「新丸の内ビルディング」さんも「グランフロント大阪」さんも、ショッピングビルのひと区画の店って、他の店から良くも悪くも干渉や影響を受けます。その中で、ブランドのメッセージを届けるために、浮く存在になりたい。出店が決まった瞬間に、「どうしたらグランフロント大阪で浮くことができるか、佐々木さんに相談しよう」ということばかり考えていましたね(笑)。

─また、店舗と同様、スタッフのユニフォームも他と違うんですよね。

中室:格納庫がコンセプトなので、スタッフが着る服はワークっぽい要素を入れようと思いました。アメリカではなくフランスの、さらに1940年代がイメージにあって、これまでと同じく〈プロダクト トゥエルブ(Product Twelve)〉の川瀬正輝さんにお願いしました。

中室:川瀬さんから提案をいただき、ラペルの形や全体のシルエット、丈など、各ディテールに凝ってもらって、1940年代のフレンチワークを踏襲して。もちろん腕が上がりやすい脇のカットや物を取り出しやすいポケットの形など、スタッフのスムーズな所作を第一に考えています。素材は、度詰めの麻を使い、上品さもキープ。かなり上質な生地なので、40年代にはワークウェアには使われていないものですけど(笑)。

また、昔の企業のワークウェアのように、背中にロゴの刺繍を入れています。生地と同色の刺繍であまり主張はないのですが、店の天井からのライトが当たると浮き上がって見えます。服が好きな人は見てほしいのですが、襟のゴージライン(上の襟と下の襟を繋ぐ縫い目)が昔のフレンチワークウェアにならっていて独特。緻密でニッチな仕事を感じるディテールですね。川瀬さんは変態です(笑)。

INFORMATION

モノリス OSAKA

住所:大阪府大阪市北区大深町4-20グランフロント大阪南館2F
※営業時間はグランフロント大阪に準じます。
電話:06-6485-0117
オフィシャルサイト

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