単純にみなさんに淡路島に来て欲しい。
天井が高く、居心地のいい店内は、淡路島のスロウな空気と相まって、非日常的な気分にさせてくれます。近くに海があるというのもこの立地のアドバンテージ。ゆったりとした時間が流れる一方で、気持ちの片隅では確実に高揚感を感じていて、現実と非現実が共存した不思議な感覚に陥るのです。
「イメージしていたのは、アメリカのマーファにある〈プラダ〉のインスタレーションスペース。だけど、あんな風にいきなり異空間をつくるんじゃなくて、街に溶け込んでいるけど、どこか違和感を感じる外観にしたかったんです。それを淡路島に置き換えて、焼き杉板っていう材木を使っています。店内からの眺めもこだわって、窓は大きめ。そこから見える隣の家の瓦屋根や、山の景色なんかも楽しんでもらえたらうれしいですね」

とはいえ、“淡路島”と“ファッション”というキーワードはなかなか結びつきにくいのも正直なところ。この場所で、こうしたお店をオープンすることの意味について、西野さんが心の中で考えていることを教えてもらいました。
「ぼく自身が淡路島で生まれ育って、かっこいいお店をここにつくりたかったというのがいちばんなんです。ぼく自身は基本的に東京にいて、そこでキャッチしたものをこのお店に反映させたい。ある意味地元に媚びないスタイルでやっていきたいなと(笑)。それが後々、地元の方々にはもちろん、なにも知らずにここに来てくださったお客さんにも『このお店って実はすごかったんだ』と思ってもらえたらいいなと考えていて」
10代の頃の西野さんがファッションに興味を抱き、地元のアメカジショップに足繁く通いながら感性を磨いたように、いま淡路島に住む若い世代にも同じようなインスピレーションを与えたいと続けます。
「むかしはこの辺りに島内で唯一のアメカジショップがあったんですよ。90年代くらいの話なんですけど。そこではアメリカ製のアイテムがたくさんあって、そういうものに触れていたからこそ、神戸に行って買い物をしたいなと思ったんですよ。だから『エヌ&エヌ ストア』でも、そういうきっかけをつくりたいんです」

「あとは単純にみなさんに淡路島に来て欲しい。そういう気持ちですね。このお店をきっかけに淡路島に来て、いろんなアクティビティを楽しんで欲しいし、またその逆も然りで、淡路島に来たついでにこのお店に寄ってもらえたらうれしいですね」
