オーセンティックなデザインをベースにしたものづくり。
ーこうした〈アントラック〉の機能は、生本さんが日常を過ごす上で得られたアイディアがベースになっているんですか?

生本:もちろんそれもありますし、あとはうちの会社で働く社員に「どういったバッグが欲しいか」「どういった機能が必要で、何が不必要か」、そうしたことをひとりひとりに聞いて回ったんですよ。〈アントラック〉でターゲットにしているのが20代後半から40代の方々なのですが、対象となる社員80名に聞いて、その声を形にしています。
ーそれをまとめるのは大変そうですね。
生本:そうですね。バッグは機能が多すぎると、かえって使いづらくなるので、まとめるのはかなり頭を使いましたね。サンプルをつくって、それを自分で実際に使ってテストをして、気になる部分を修正して。それをずっと繰り返しながら、最終的には必要な機能だけに絞れたと思います。

こちらは日本製にこだわった「パーク」のカテゴリーのトートバッグ。生地は明治21年に創業した倉敷の帆布メーカー「TAKEYARI」の一級帆布。ベルギー製のシャトル織機を用いて、ゆっくりと丁寧に織られた生地にパラフィン加工を施している。高密度で堅牢、さらに雨にも強いキャンバスになった。セルビッチを活かした風合いのよさも魅力。
トート ¥19,800
ー生本さんはバッグ業界にずっといらっしゃるんですか?
生本:カバン屋一筋でかれこれ16年になりますね。私自身、このブランドを立ち上げる前はずっと営業をやっていたんですよ。仕事をする中で、自社はもちろん、他社のバッグもたくさん見てきて、「こういうバッグがあったらいいのにな」という想いを〈アントラック〉に詰め込んでいますね。
ー営業職だったからこそ見えている部分もありそうですよね。
生本:このブランドで一番表現したかったのは、オーセンティックなデザインをベースにしたものづくりなんです。そこに現代的な機能を与えたかった。そうしたバッグがなかったし、そこにニーズがあると思ったんです。だから実際に使っていただければ、生活への馴染み方や、使い勝手のよさなど、さまざまな魅力を理解していただけると思います。
ー〈アントラック〉はどういったところで発売するのでしょうか?
生本:基本的には自社のECで販売していきます。ただ、やっぱり実際に見て触れることが大事だと思っているので、たくさんの場所でポップアップイベントができるように企画しています。今月末から渋谷の「レイヤード ミヤシタパーク」、京都の「ジェイアール京都伊勢丹」で行う予定です。今後のイベントに関してはインスタグラムで情報を発信していく予定なので、ぜひチェックしてほしいです。
ー最後に、これからの目標を教えてください。

生本:ブランドが上手く軌道に乗れば、ショップをつくりたいですね。いまお話したように、目で見て、手で触れる場所が必要なので、旗艦店をつくって、フルラインナップを揃えられるようにがんばっていきたいと思います。