馬賊のこだわり。

坦々麺 ¥900
40年という長きにわたって愛され続ける「馬賊」の一杯。「麺がモチモチ」との評判を聞いて平野さんも興味津々。麺の美味しさはどうやってできているんでしょうか? 店長さんに、そのこだわりを聞きました。
「麺は薄力粉と水でつくっていますが、気温や湿度によって水分量を変えたりしています。あとは麺の寝かし方も。麺は打ち終わったら、すぐに茹でます。茹でて10分くらいで伸びちゃうので、オーダーがなければ捨てて、新しく打って…とずっと打ちっぱなしですね(笑)」

鮮度が命の手打ち麺。モチモチとした食感の秘密は、どうやら材料だけではないようです。
「先代が作った味ですが、中国の麺はもっと麺が柔らかいところを研究して、うちはもうちょっとコシのある麺にしてますね。打板の木の種類もヒノキとスギがあるんですが、木が変わると味も変わるんです。ヒノキの方がちょっとだけいい麺ができるんです」
そう聞いて、平野さんも「こだわりを聞くと余計にお腹が空いてきました」と一言。そうこうしているうちに、ゴマ香る担々麺の主役となる麺が完成。ではズズズっと、実食!


「麺がモッチモチでうまいですね! しかも手打ちだからか、透明感がある気がします。スープの色を見ると辛そうですが、飲んでみると辛くないし、むしろゴマの香りが強め。モチモチの麺と濃厚なスープの組み合わせがうまくて、自分の好きな味です」
平野さんも絶賛する麺。聞けば、お客さんに出せるまでに麺打ちは2、3年ほどかかり、そこからさらに5、6年で職人になれるそう。店長さんもここでは20年選手。平野さんは、日々練習に向かうアスリートの自分に寄せてなのか、「毎日の繰り返しの中で、どうやってモチベーションを維持しているのか」という質問を、店長さんに投げかけます。
「もう慣れちゃいました。あとは、打つ仕事も肉体を酷使するので、ちゃんと病院に行って体をケアしたりとかして、モチベーションを維持するようにしています」
アスリートとして、ストレッチは1時間以上入念に行うという平野さんも「わかる、わかる」と言うように何度もうなづきます。

実は、担々麺のほかに冷やし担々麺と餃子まで平らげた平野さん。通常の担々麺と冷やし担々麺との違いについて、「なんだか麺の食感がちがいました。麺の種類がちがうんですか?」とやはりこのお店の麺が印象的だったよう。
「種類は同じなんですけど、水で締めたか・締めてないかで歯ごたえがあれくらい変わるんです」
へえ、なるほどと納得した表情で続けます。
「ラーメンは味のバリエーションもたくさんあって、奥が深い世界ということは知っていましたが、改めてその裏側を知るとおもしろいなと。普段はそんなに担々麺を選ばないんですが、これまで自分が知らなかった新しい担々麺を知るいい機会になりました」
謝辞を表すかのように、一本の麺すら残さずしっかりと完食して店を後にします。

やればとことん突き詰めるタイプの平野さん。アスリートとしての食事管理はどうなっているんでしょうか?
「極端な感じですね。昔からそうですけど。がっつりやるときとまったく気にしないときと。最近は、オンとオフの切り替えを意識して、日本に帰ってきた数週間の間は、なんでも食べていいことにしてます。海外の食事はヘビーなものが多いので、嫌いじゃないけど得意でもない(笑)。好きなものを食べる…そういうこともこれからは大事にしていきたいなと」