
「ニューススタンドとか、キオスクのような役割を果たしたい」
ー〈Mēdeia1.0〉のコンセプトを教えてください。
Mēdeia1.0:写真とファッションの力を組み合わせて、人々の社会課題であったりとか、世界でなにが起こっているのかを伝えるというのが〈Mēdeia1.0〉が掲げているコンセプトであり、ミッションです。
SNSによって世界中のひとたちと簡単にコミュニケーションができる世の中になってきているのに、自分たちの国で起こっていること、海外で起こっていることに対して無関心なひとが多い。それってどうなのかな?
という気持ちがあって。
それで世界最高の写真家集団と言われている「マグナム・フォト」の写真をアパレルに落とし込んで、最初にそれをリリースしたんです。
ーただ単に社会課題を扱うのであれば、他にも方法があると思うのですが、写真とファッションという2つの要素を交わらせるのには、どんな理由があるんですか?
Mēdeia1.0:我々はジャーナリストではないので、彼らのようにシリアスかつダイレクトにそれを伝えるつもりはないんです。どちらかというと、ニューススタンドとか、キオスクのような役割を果たしたい。だから気軽に手に取れるように、写真をアパレルに落とし込んでいます。ファッションにはもっと世の中の役にたつ力があると思っているし、それを芸術性のある写真と絡めることで、いいバランス感で社会で起こっていることを伝えられるんじゃないかと思ったんですよね。






「銀座 蔦屋書店」で8月10日から9月10日の1ヶ月間、前後期にわけて開催されたフェアの様子。〈Mēdeia1.0〉のマーチャンダイズ的なアパレルに〈Mēdeia2.0〉としてのZINEの販売、さらに「二手舎」選定による社会課題を取り扱ったヴィンテージ写真集と、「銀座 蔦屋書店」の写真コンシェルジュにより厳選したロバート・フランクのプリント作品 & ブルース・デビットソンのネガフィルムの展示&販売も行われました。



ーファッションにはもっと世の中の役に立つ力がある、という言葉の背景にはどんな想いがあるんですか?
Mēdeia1.0:自分はすごくファッションが好きなんですが、その背景には労働の搾取とか、環境汚染など、たくさんの問題を抱えています。ブランドものの服を着て得られる高揚感って、果たして本物なのかな? という想いがあって。それだったら、その高揚感を手に入れる代わりに、なにかひとの役に立つ要素がほしい。いまの最先端のファッションとはちがう立ち位置から、ファッションに関わる仕事がしたいと思ったんです。
ースタートはいつ頃ですか?
Mēdeia1.0:2021年の秋頃に「マグナム・フォト」の写真を使ったTシャツをリリースして、そこからゆるりとスタートしました。
ー「マグナム・フォト」の写真を選んだのはどうしてなのでしょうか?
Mēdeia1.0:すごくわかりやすい存在だからです。“世界一の写真家集団”と呼ばれていて、社会課題やドキュメンタリーの要素がすごく強いから。〈Mēdeia1.0〉はゼロからのスタートだったので、こうした象徴的な存在と手を取り合うことがまず必要でした。
ーはじめにリリースしたのは、どんな写真家の作品だったのでしょうか。
Mēdeia1.0:はじめは人種差別の問題から入って、イギリスのイアン・ベリーという写真家の作品と、“BLACK LIVES MATTER”に関する写真を取り上げました。“BLACK LIVES MATTER”に関しては、「マグナム・フォト」が写真家の名前を公表してくれなかったんですよ。テーマを自分で選んで、それに該当する作品の候補をもらって、そこからいいなと思ったものを選びましたね。
ーテーマから先に入ることが多いですか?
Mēdeia1.0:そのときどきですね。テーマから入るときもあれば、写真家から入るときもあります。あるときはアントワン・ダガタという写真家の作品だけに絞ってアイテムをリリースしたこともあります。そのときは『NO BORDER NO NATION』というテーマをベースに、彼の写真を扱わせてもらって。





〈Mēdeia1.0〉としてアパレルを、〈Mēdeia2.0〉ではZINEの出版を行いプロジェクトの棲み分けを行っています。写真のセレクトからページネーション、装丁にまで徹底的にこだわったZINEは、ぜひ手にとってもらいたいクオリティの高さです。