着ている本人の個性が見える服が一番おもしろい。
―ここまでショーについて伺ってきましたけど、冒頭でお話に出た旗艦店オープンの経緯についても聞かせてもらえますか。
川上:やっぱりちゃんと見てもらう空間は必要かなと思って。これまで卸メインでやってきて、それはそれでありがたいことなんですけど、やっぱりピックアップされるのはコレクションの一部で、世界観を全部は見せられないじゃないですか。それに、もともとぼくもお店をやってた人間だからその楽しさ、おもしろさもわかってはいたので。だから、楽しんでもらえるお店というか、行ったら何かある場所にしたかったので自分でピックした古着も置いたり、そういうこともいろいろやっていこうと思ってます。お店に行ってこれ(〈セブン バイ セブン〉のコレクション)だけが並んでたら、つまんないじゃないですか。
ショップの内装は川上さんのサンフランシスコ時代の住まいがイメージソース。白とウッドを基調とした、心地よい空間だ。
―いや、そんなことはないですけどね(笑)。
川上:でも、(ブランドを始める前に)もともとやってた「7×7」っていうお店にしても、オリジナルでも古着でも、そこから発信するものはすべて同じように捉えてました。今回のお店も、古着もヴィンテージなどにこだわらず、その人の個性が出る服とか、そういうものが見つかる場所にしたいです。
―そうですよね。もちろんヴィンテージ自体は魅力的ですけど。
川上:全然いいと思います。でも、そんなことよりも着て格好よくなれる服が一番よくないですか? 着てる本人の個性が見える服が一番おもしろいと思うから。
―現代だとみんなが同じものを血眼で探す光景をよく見ますけど、たまたま出会った服でそういう楽しみ方ができたら素敵ですよね。
川上:今年の3月にインドに行ったんですけど、そこで見つけた生地なんかで刺激を受けるものがあってそれが今回のショーにも活きていて、ぼくにとってはその感覚って古着と一緒なんですよ。何か引っかかるものは無いかな? って常に探していて、“現状の自分にとって、何が価値があるのか?”っていう意識をいつも持ってる。古着にしたってみんなが見てないものでも、自分が見つけてあげられたならそこに価値はあるんだと思います。
店内には、今期のアイテムや一点モノのショーピース、川上さんが買い付けた古着などが並ぶ。
―インドを旅されたのも、そういう発見を求めてだったんですか?
川上:いや、単純にどっか行きたいなと(笑)。毎シーズン、機屋さんとか工場とか、何かしら技術がある所には絶対行ってますね。そこで何が自分の中で引っかかるのか。そこからものづくりをしてきます。
―自分の感動や高揚感が第一歩なんですね。
川上:やっぱり楽しいっていう気持ちが重要なんだと思います。こっちが楽しいと思ってないと、きっとお客さんにも楽しさは伝わらないと思うし。結局、そういうことなんだろうなって。