いい意味で背景にあるカルチャーが薄まってきている。
ー履いた時のイメージとして、「イエローブーツ」は硬いという印象があるのですが、そこはなにか改善策というか、機能性は付与されたんでしょうか。
国井: インソールに衝撃を吸収する「アンチファティーグ テクノロジー」のフットベッドを搭載しているので、履き心地もかなりよくなっています。だからブーツにはつきものの“硬い、痛い、重い”という3拍子もなくて、フィッティングもいいしスニーカーのように最初から心地よく履けます。

インソールには疲れを軽減し衝撃を吸収する「アンチファティーグ テクノロジー」のフットベッドを搭載。ブーツにあった“硬くて重くて痛い”というイメージを払拭した。
ー下野さんは完成品を履いてみて、どのように感じました?
下野: 実はもうすでに3週間ぐらい毎日履いています。早く汚したいので。でも履き心地はかなりいいですね。ただ、アッパーのスエードが上質すぎて汚れない(笑)。ちゃんと上手く履かないと汚れてこないですね。
国井: 逆に「イエローブーツ」のクオリティは素晴らしいなと、改めて感じましたね。昔だったら、クラブに行ってフロアで踏まれたら、アッパーに汚れがついていたのは懐かしい思い出です。
ーアジが出てくるのは、本当に何年後とかになりそうですね。完成してみて〈ティンバーランド〉側からはどんな評価でしたか。
国井: 〈ティンバーランド〉としては、コラボに期待するのは、カルチャーとの結びつきが強い「イエローブーツ」の既成概念を壊してほしいということ。だから、今回仕上がったものを見て“下野くんらしいブーツだね”と好評だったようです。あとは発売してみて、ユーザーの皆さんがどう評価するかですね。

キルティングジャケットにピンストライプのスラックスというスタイルに、今回のコラボ「イエローブーツ」を合わせた下野さん。東京のストリートブランドらしい解釈の着こなしは、当時の「イエローブーツ」のイメージを知る人には斬新に映る。

デニムのスソをブーツに入れる往年の90年代ヒップホップスタイルで、今回の「イエローブーツ」を履きこなした国井さん。シューレースもホールを一個飛ばしにしているのも見逃せない。
ー今回のコラボで実現するのに大変だったことや、苦労したことはありましたか?
国井: 今回、ぼくはすごくラクでした(笑)。プロジェクトによっては大変なものもありますけど、今回のコラボでは下野くんがデザインで、ぼくが生産担当みたいな感じの役回りで。ブーツとしての機能性やライニング、付属などの細々したものをフォローする感じ。今回はコンセプトも明確で、ブーツなのでいじるところもほぼなかったので、本当にラクをさせてもらいました。
下野: とにかく、アッパーのスエード(ベターレザー)がすべてでした。最初のサンプルのカラーがちょっとよくなかっただけで、この素材さえよくなればOKだったので、上手くコンセプトに落とし込めてよかったです。


ー下野さんは古着のデニムに合わせるように…とおっしゃっていましたが、国井さんはどう合わせるのがカッコいいと思います?
国井: ぼくは靴屋なのでファッション的な分野はわかりません。ただ最初に言っていたように、新品の「イエローブーツ」をステータスシンボルみたいに履くのもいいけど、ハードワーカーの人たちが早朝にバックパックにぶら下げて現場に行く人を、リアルに海外で見てそれがずっとカッコいいなと思っていました。海外の人とはカルチャーもライフスタイルも違うから何とも言えませんが、道を掃除している人がNYヤンキースのキャップを被っているのがカッコよく見えるように、本来ギアとしてつくられたモノが街に溶け込んでいる様を見るとそれが洒落て見えるので、今回のコンセプトのようにちゃんとエイジングを堪能できるまでタフに履きこなしたいですね。
ー今回のコラボは、「WHIZ TOKYO」と「ミタスニーカーズ」と他はどこで展開される予定ですか?
国井: 〈ウィズリミテッド〉の取扱店でも発売されますし、〈ティンバーランド〉の直営店でも発売されます。
ーぼくたちは90年代の海外ヒップホップシーンもみていましたが、最近の若い世代は、そういったカルチャーが背景にあったことを知ってか知らずか、上手く履きこなしていますよね。下野さんは、そういった若い世代が「イエローブーツ」を履きこなしているのを見て、どう感じますか?
下野: 女子とかも履いてますよね。カルチャーが男女関係なく、いい意味で薄まってきているのかもしれないですね。あまり何も気にしないというか…。バンドTもバンドのファンじゃなくても着ているし。昔あったサブカルのよくも悪くも強いイメージが薄まっている感じがします。そんな感じでカルチャーだけではなく「イエローブーツ」を楽しんでほしいですね。