解決の唯一の方法は話し合うこと。それを怠らないようにしなくちゃね。
―今日こうしてふたりと話すとビジョンを共有しながら尊重しあってるのが伝わってくるんだけど、意見が衝突したり、ケンカしたりもするの?
エステル: そんなの毎日よ(笑)。
ブレンドン: いつもだね(笑)。
エステル: でも、人生ってバランスが大切だからね。そういう意味では私たちの好みや価値観は一致してると思うわ。
ブレンドン: 意見が割れたら、それを解決する唯一の方法は話し合うこと。ときにはケンカも必要だけど、やっぱりそれを怠らないようにしなくちゃね。
―意見を口にするとか、話し合うとかって、パートナー間だけじゃなく世の中に対してもきっと必要なことだよね。日本人はその主張を控えがちだったりするから、余計に。
エステル: 日本の女性に、「もっと平等について主張して!」って伝えていくわ。
ブレンドン: (笑)。
―エステルは自立した強い女性像そのものだね(笑)。〈ノア〉では内装はエステルが手がけてるんだよね? 原宿のショップに飾られた方舟もシンボリックで素敵だよ。もちろん、“NOAH”っていうネーミングに由来するんだと思うけど。
エステル: 〈ノア〉のストアのデザインには航海や北欧とかっていう象徴的なものをリファレンスにしているところが必ずあるの。スケートボードだとか、アートだとか音楽だとか、〈ノア〉と直接リンクした要素もね。スケートボードの隣にカシミヤのコートがあるストアなんて、他に無いでしょ?
ブレンドン: ぼくは神話に興味があってさ。アカデミックな部分でも、スピリチュアルな部分でも。だから〈ノア〉には聖書の物語を参考にしたグラフィックがあったりするんだ。ダビデとゴリアテの戦いとか、宗教的な文脈を離れてもおもしろい話がたくさんあるよ。
―いまはまだ航海の途中なんだね。それを取り巻く環境は決して順風満帆とは言い難いと思うけど、これからのファッションの世界はどう変化していくと思う? その中で、〈ノア〉はどうありたい?
ブレンドン: 他がどうかは関係ないよ。ビジネスだって個人だって、各々が正しいと思うことをやるだけ。自分の考えを、信念を保てているなら、心配なんて無いからね。
エステル: 私たちはみんなポジティブであるために進化していくものだと思うの。それは自然なことで、他のブランドが何をやっても影響されたりはしないわ。
ブレンドン: 業界がどんな方向に向かったとしても僕たちは変わらないよ。僕たちのやるべきことをやるだけ。
―そう信じてるよ。最後に、今後の〈ノア〉の動きについて聞いてもいいかな?
エステル: 今年はソウルに、来年はLAに素晴らしい場所ができるの。だから、その2ヶ所の出店が大きな出来事ね。本当はもっと他の都市にもクラブハウスをつくれたらとは思うけど、どれも本気でやってるからそれに見合ったペースになっちゃうわね。
ブレンドン: プロダクトの面では今後はもっともっとリファインして、全部のカテゴリーでベストなものをつくって無駄をなくしていきたい。今はまだそこまでたどり着けていないけど、きっとそうなると信じてるよ。それで、デザインもクオリティも、もっと良いものにしていきたいね。それがもっとも大事なことで、いつだって僕らが目指しているものだから。