02.山下丸郎

PROFILE

フリーエディター、執筆家として活動する傍ら、ファッションブランドのコンテンツディレクションなども行う。2021年夏には奥渋谷に書店「スタックス ブックストア(stacks bookstore)」をオープン。2024年からはフイナムにて新連載をあの人とスタートさせるとか。
Instagram @maruroyamashita
「雑多さを楽しむためのインテリアを」

渋谷区の古めなマンションに住む山下丸郎さん。各部屋には、これまでに協業してきたアーティストの作品や本がところ狭しと置かれており、さながら図書館と街のアートギャラリーがミックスされたような空間が広がっていました。大きな窓からは陽射しがたっぷり差し込み、気分を明るくしてくれるリビングを中心に、もともとの仕様で床が全面カーペット張りになっているのも特徴的。インテリアにも山下さんらしいミックス感が投影されます。


ー本棚には雑誌や書籍、アートブックがぎっしり。これは山下さんならではの光景ですね。
山下:これでも増え過ぎないように気をつけているんですけどね(苦笑)。大きめの棚には〈USMハラー(USM Haller)〉を使っていますけど、アートブックは重いものが多いので、頑丈な棚じゃないとすぐにダメになっちゃうんですよ。そういう現実的な理由もあって使っています。このラックは背面のパネルの色が異なっているところも気に入ってるんですが、ここまで本が詰まっちゃっていると見えないですね(笑)。ちなみにテレビ台も同じく〈USMハラー〉のものです。定番ですがやはり便利です。けど、全部が〈USMハラー〉だと、部屋の広さ的に少し重たいので、いろんな棚を混ぜて使ってます。
ー並べている本は規則性があったりするんですか?
山下:特にないですね。ほしいもので手に入るものであれば買っています。あまり処分できない性格なのでそのまま所有していることが多いですね。
ー本は紙で所持したいタイプですか?
山下:そうですね。できる限り紙の本で持っていたいですね。やはり、紙の質感も良いですし、読書をしている!っていう感じがするので。でも、漫画や雑誌は泣く泣く電子書籍に切り替えていますよ。雑誌もできれば紙でほしいんですけど、雑誌や漫画は際限なく増えていくので…いよいよ部屋に入りきれなくなりそうで。


廊下には数えきれない作品と、〈イームズ(Eames)〉の名作として名高い『ハング・イット・オール』が。ラフに帽子やトートバッグにコートなどがかけられ、見た目と機能性を兼ね備えています。
山下:このソファはデンマークの〈アイラーセン(eilersen)〉というブランドのものです。もう8年以上使っているんですけど、座り心地も寝心地もいいしすごく気に入っています。お酒を飲んでるときなんかは、よくここで寝落ちしてしまいます。寝心地もよいです(笑)。
ー壁にはスクリーンが貼られていますが、これは映画用ですか?
山下:映画だけでなく、NBAの試合も観たりします。映画はできるだけ映画館で観たいって思うのですが、配信のみの作品などでもなるべく良い環境で観たくて使っています。〈エクスジミー(XGIMI)〉というブランドのホームプロジェクターなんですけど、〈ハーマンカードン(Harman Kardon)〉のスピーカーと一体化したものですごく調子いいです。
ーホームプロジェクターは憧れですね! リヴィングにあるヴィンテージ感たっぷりのテーブルについて教えてもらえますか?
山下:このダイニングテーブルは詳細不明なんですけど、自分の父方の祖父母宅で使われていたものを貰って使っています。少なくとも50年以上使われているものですね。真ん中から伸びる作りをしているんですよ。
ーそんなに長く使用できるわけですから、かなり頑丈に作られているわけですよね。
山下:そうだと思いますよ。以前、そういう家具や建築関係の仕事をしている人に「使っている木が全然違いますね」って言われたことがあるんですけど、見た目以上に重たいんです。よい木が重たいのかどうかはわからないんですけど、きっと頑丈にしっかり作られているのかなと。事務所で使っている〈イームズ〉のラウンジチェアとオットマンも元々実家にあったものですし、両親や祖父母から受け継いだ家具は多いかもしれませんね。家具に対しての好みは子供の頃からそんなに変わっていないのかも。

左手の扉がリビング、右が寝室で奥が仕事部屋。ご覧の通り廊下には大量の作品がディスプレイ。基本的に友人のアーティストのものばかりで、アート作品が日常の中にあるのも山下さんならでは。

仕事部屋にもアート作品が所狭しと飾られています。それにしても気になるのが本の多さ! 小説などを収納する本棚には〈イケア(IKEA)〉のものをメインに使っているそうですが、それでも収納しきれずにどっさり床に積まれているものも。ちなみに事務所にも大量の本が置かれているそうです。
ー廊下はアート作品でいっぱいですね。「スタックス ブックストア」としてアーティストと関わることも多いと思いますが、家にあるのはどういうアート作品なんですか?
山下:大体が「スタックス(ブックストア)」でご一緒したり、他の何かしらの仕事をご一緒させてもらったアーティストの作品かもしれません。色々なジャンルの作品があるので、なんとなくテイストがミックスされるようにレイアウトを常に入れ替えながら飾っています。
ー改めて、自宅のインテリアを揃えるうえで重視していることを教えてください。
山下:正直、特にないんですが、ものが多いので、その雑多さを楽しめるようにっていうところですかね。あとは洋服でもそうですが、ある程度しっかりしたものは長年使えるので、ちょっと背伸びしてよい家具を買うっていうのも大切だと思います。あくまで肩肘張らない感じで、暮らしやすさを第一に。
1_〈ピート・ヘイン・イーク(PIET HEIN EEK)〉のスクラップパイリングテーブル

¥2,310,000(シボネ)
オランダの家具デザイナー、ピート・ヘイン・インクによる廃材を使用したテーブル。「リビングで〈ピート・ヘイン・インク〉のスツールを使っているのですが、このテーブルも存在感が凄いので、いつかは使ってみたいですね」
2_〈ノル(Knoll)〉のイーストサイドソファ

¥ASK(東京リサイクルインプション)
ミッドセンチュリーを代表するブランド〈ノル〉の名作家具として名高い『イーストサイドソファ』は、やはりデザイン性が抜群。「これもいつかは所有したい家具ですね。デザインが美しい」
3_〈ヴィトラ(vitra)〉のコンパス ディレクション

¥356,400〜(ヴィトラ)
フランスのデザイナーのジャン・プルーヴェがデザインした〈ヴィトラ〉の『コンパス ディレクション』のテーブル。「事務所で同じくプルーヴェがデザインした〈ヴィトラ〉の椅子を使っていて、使うほどに名品だなーと思うので、新しい作業場にはこの机を使いたいなと思っています」