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あの企業のオフィスって、どんなインテリア?
Interior for Office

あの企業のオフィスって、どんなインテリア?

職場で過ごす時間は1日の多くを占めるのだから、その環境は居心地がいいに越したことはありません。仕事の意欲が上がったりリラックスできたり、働く空間はモチベーションに繋がる大きな要因です。そこで今回注目するのは、オフィスのインテリア。住むのではなく働くことを目的にすると、なにをどのように配しているのでしょう。気軽に踏み込めない3社に潜入してみると、自宅のインテリアのヒントも見え隠れしていました。

ITOKI 自分らしく働けるオフィス空間をデザイン。

オフィスのインテリアや空間づくりで働き方改革を図っている企業があるらしい。それは1890年に創業したオフィス家具メーカーの老舗「イトーキ」です。オフィス家具の製造や販売をしながら、オフィスの空間デザインも提案していて、東京本社を研究開発ラボと位置付けています。WORKの頭文字、Wを次の文字のXに置き換えた“XORK Style(ゾーク・スタイル)”と銘打った次なる新しい働き方で、労働時間や場所、仕事の仕方を自分自身でデザイン。そのワークスタイル最大のポイントは、ABW(Activity Based Working)の採用。高集中、コワーク、アイデア出し、リチャージなど10の活動に分類した仕事の目的に応じた作業エリアを用意して、高い自己裁量をもとに自律的に働けるオフィスをつくっています。

ちなみに、10の活動はオランダのABWの創始者であるワークスタイル変革コンサルティング企業Veldhoen+Company社の研究に基づいた考え方だそう。

まず注目したいのはオフィスのレイアウト。「イトーキ」のオフィスは3つのフロアに分かれていて、移動は待ち時間が掛かるエレベーターではなく、中央に位置する内階段を使用します。ひとの往来が多い階段付近はコラボレーションエリアで、コミュニケーションを取りやすい大きなデスクなどが置かれています。フロアの隅のほうはひと通りが少ないので、ひとり用デスクなどを配置した集中エリアに。多様性のある空間を作ることで、自分の作業に適した居場所が見つかるんです。

使用しているチェアにも工夫が。「イトーキ」が作るチェアは、推奨する作業時間が異なっているので、作業エリアに応じて使い分けています。例えばコワーキングスペースにあるチェア、「バーテブラ03」は長時間の使用にも適した機能を搭載。座面のスライドや前傾などで、体への負担を軽減します。ちなみに「バーテブラ03」は、プロダクトデザイナー柴田文江さんによるデザイン。リビングにも馴染むワークチェアに仕上がっています。〈カリモク家具〉とコラボレーションした新作「バーテブラ03ウッド」も登場しました。

折り紙から着想を得たフリップフラップチェア。肩をホールドする折り目の屈曲性が高く、体を捻りやすくなっているため、横を向くことが多い会議室に導入されています。さまざまな体勢に対応し、背もたれは最大135度まで倒れてリフレッシュすることも。幾何学模様はスタイリッシュで、従来のワークチェアのとは一線を画すデザインです。

こちらはオープンスペースでイヤホンを使わずにオンライン会議ができる「サウンド ソファ」。ヘッドレストにスピーカーが内蔵していて、座った範囲に音声が聞こえる仕組み。テーブル中央のマイクは半径1m以上離れた声を集音しにくくなっています。丸みを帯びた形状が柔らかい印象で、優しいカラーリングがオフィスに馴染んでいます。

視界にグリーンが入るとストレスが緩和されるといわれていることから、随所へ植物を配置。そして、職場の環境に木を取り入れると集中力の向上やストレス・不安感の軽減、アイデアが出やすくなるというデータもあり、木を使ったデスクやチェアなどを積極的に取り入れているそうです。さらには、照明が太陽のように時間とともに明るさと色温度が変わるサーカディアンリズム照明や、川の流れや鳥がさえずる音をBGMとして流すサウンドマスキングなど、自然のなかで働いているかのような居心地の良い空間にデザインされていて、気持ちよく働けます。

とくに集中したいときのために、ひとり用のブースも用意。周りの音が気にならず、ガラス張りなので窮屈感はありません。使用時間は決まっているので、短時間で集中して作業に取り組めます。

瞑想して集中力を高められるマインドフィットネスゾーンも人気。頭を空っぽにして深呼吸すると心身ともにリラックスできるんです。落ち着いた空間は心地よく、リフレッシュに最適。朝や夕方に足を運ぶ社員が多いそうで、リチャージするのもXORK Styleの大切な要素です。

会社に来たいと思えるような居心地のよさを生み出している「イトーキ」のオフィスづくり。その根底には社員同士のコミュニケーションの活性化があるそうで、コラボレーションによる新しいアイデアや価値観の創出を目指しています。仕事とプライベートが充実した個人の幸せを実現するために、毎年オフィスのアップデートを繰り返し、空間による快適な職場環境をつくり上げていくそうです。

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