CLOSE
FEATURE
ホワイトマウンテニアリングがパリで魅せた “等身大” のクリエイション。
White Mountaineering 2024-25 AW Collection

ホワイトマウンテニアリングがパリで魅せた “等身大” のクリエイション。

「自分自身でつくった服を身につけ、多くの旅をした」と語る相澤陽介さん。〈ホワイトマウンテニアリング(White Mountaineering)〉の2024-25年秋冬コレクションは、“Destination” をテーマに彼が世界で目にした景色からイメージを広げています。その底流にあるのは、46歳になったデザイナーが考える理想の男性像。メンズウェアの品格や装い、トラッド、アウトドアといった要素に加えて、ファッション以外にもデザインの領域を広げる彼の経験がそこに厚みをもたらしています。18回目となるパリでの発表の直後、興奮冷めやらぬバックステージでつくり手本人に声を掛け、今回のクリエイションと今後のブランドの展望について話を聞きました。

ジェントルマンリーかつコンフォータブル。多彩なコラボレーション。

ー確かに自分が一番のユーザーになるというのは、服づくりの上で理にかなっていると思います。その視点から見た今回のキールックを教えてください。

相澤:序盤に登場した〈グローブ・トロッター〉のラゲージを持っているルックは、現在の自分が着たいもの、つくりたかったもの、影響を受けているものを表現できたと思います。もともとイングランドのフットボールが大好きだったこともあり、イギリスの旅をイメージしていて。〈グローブ・トロッター〉をはじめ、〈アンブロ〉や〈リーボック〉など、イギリス発祥のブランドとコラボレーションしたのも特徴のひとつです。自分の好きな国の好きなものをよりよい形で提案できたと感じています。

デザイナー自身が実際に使っているという〈グローブ・トロッター〉のラゲージにはオリジナルのグラフィックをプリント。

〈アンブロ〉のポロシャツはベロア素材を使うことで大人な印象に。

かつて相澤さんが履いていたという〈エアウォーク〉との一足も登場。

〈リーボック〉は「CLUB C」をスリッポン仕様にカスタマイズ。

ーイギリスのブランドを中心に、今回は本当にさまざまなブランドに声を掛けていますね。

相澤:スニーカーだと〈リーボック〉をはじめ、〈ティンバーランド〉〈エアウォーク〉〈メレル〉と組んでいます。移動するときは脱ぎ履きしやすい方が便利だから、ジップアップやスリッポンの仕様にカスタマイズしています。

〈エアウォーク〉は自分が若いときにこのモデルをよく履いていたんです。今回はボアを使って柔らかくしているので、冬場でも履きやすいものになっています。〈メレル〉のスニーカーは我々の基本であるアウトドアのフィールドを強く意識しています。

そして、〈ネクサスセブン〉とのジャケットはデザイナーの今野さんとの長い付き合いの中から生まれました。ブランドの年数やぼくと今野さんの年齢が近くてシンパシーを感じています。彼とはファッション以外の部分でもよく話をするのですが、いわゆる共通言語があるんです。その他に〈ショット〉のブルゾンはバイクに乗るときのスタイルなど、どれも現在の等身大の自分が反映されています。

デザイン際立つ〈ショット〉のライダースジャケットは柔らかなシープレザーを使用。

〈ティンバーランド〉のブーツはシューレースを廃し、ジップアップの仕様に。

相澤さんは〈ネクサスセブン〉のデザイナー今野智弘さんと以前から付き合いがあり、この驚きの取り組みが実現した。

グラフィカルな一足に仕上がった〈メレル〉のシューズ。

ーショーのはじまりを告げるゆったりとした音楽が会場のムードづくりに大きく貢献していたと思います。

相澤:今回は男性がひとり旅をするときに、BGMとして聞くようなイメージで、ジャズやラウンジの要素を取り入れました。ひとりでゆっくり本を読むときに聞くような、自分のライフスタイルとリンクする曲に仕上がりました。音楽をつくってもらったのは、現在活動休止中のバンド「D.A.N.」の櫻木大悟さんです。コロナ禍以降、ランウェーの音楽は、過去3回すべて彼にお願いしました。彼が備える音楽性とか、ぼくの頭の中にあるイメージへのフォーカスの仕方が好きなんです。

ーランウェーで描かれた男性像は一貫して知的かつ品がありました。見ていて興味深く、コレクションの世界観が我々にもよく伝わってきました。つくり手としても納得のいく内容だったのではないですか。

相澤:正直なところ自己採点は難しいですね。評価は見たひとがすることなので。ただ、今シーズンは最初からやりたいことが明確で、迷いはゼロでした。いらないと思ったものは潔く省いて、やりたいことができたと思います。

パリでコレクションを発表しはじめた頃は正直、何が正しいのか分かりませんでした。いま考えると、おそらく大きな間違いなんですけど、当時はパリで発表を続けるためにもインパクトを残さないといけない、アップデートし続けないと退化しているように受け止められると思っていました。だから常に何かにチャレンジしなくてはいけないと焦っていましたが、今シーズンは新たなチャレンジというのがあまりありませんでした。以前だったら、もっとショーピースとして映えるものを入れていたかもしれないけど、今回はシンプルです。見たひとが欲しいと思うもの、自分が使いたいと思うものを軸に考えたので。すべてがリアルクローズであり、どこにでも出かけることのできる服です。

ショーの舞台はパリ3区にある学校の体育館。

INFORMATION

ホワイトマウンテニアリング

電話:03-6416-5381
オフィシャルサイト
Instagram:@whitemountaineering_official, @blk_whitemountaineering

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事#White Mountaineering

もっと見る