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新しい10 アイヴァンから学ぶ、美しいデザインの在り方。
Making Elation by Design

新しい10 アイヴァンから学ぶ、美しいデザインの在り方。

“美しい道具”をコンセプトに、2017年に誕生した〈10 アイヴァン(10 eyevan)〉。シーズンごとにコレクションを発表するのではなく、あくまで納得のいくものが生まれたらアイテムをリリースするというストイックな姿勢を貫いています。そんなブランドから、約2年ぶりに新作のアナウンスが届きました。今回フィーチャーしたのは、シートメタル。クラシックな素材使いや製法を得意としてきた従来のクリエイションとは一線を画す、意外なアプローチ。そこにはデザイナーである中川浩孝さんの意識の流れのようなものが存在していました。このブランドのPRを担当するムロフィスの中室太輔さんと共に、中川さんのデザインに対するアイデアに触れていきます。

こういうパーツがあれば、余計なことはしなくていい。

ー〈10 アイヴァン〉にはこれまで4つのシリーズがあって、今回新たに5つ目が加わったんですよね。

上から、「スタンダード」、「リムウェイ」、「セルロイド」、「サーモント」。

中川: ひとつは「スタンダード」と呼ばれるクラシックなメタルフレームのもの。ふたつ目は「リムウェイ」という縁なしのメガネ。3つ目は「セルロイド」のシリーズで、4つ目は「サーモント」というブロータイプのものですね。それで今回2年ぶりに「シートメタル」というシリーズをつくりました。これはチタンの板をカットしてフレームにするんです。

ーすごくインダストリアルな感じがしますね。

中川: 2000年代初頭くらいに生まれた製法で、割と近代的なつくり方なんです。当時はステンレスを素材に使用していたんですが、このシートをチタンでつくることに成功して。日本ではじめにつくられたんですよ。

中室: シートメタルというと、ちょっとモダンなデザインのものが多いですよね。

中川: そうかもしれないですね。こういったインダストリアルでモダンなイメージの素材に、〈10 アイヴァン〉で使っている洗練された有機的なパーツをを組み合わせたらおもしろいものができあがるんじゃないかと思ったんです。とはいえ、ぼく自身があまりにも革新的なデザインというものを求めていなくて、そこはチャレンジでもあったんですが。

No.5 v ¥99,000

No.3 v ¥99,000

No.15 v ¥99,000

中室: だけど、実際にできあがったものを見ると、いい意味でシートメタルっぽくないというか、これだったら普段クラシックなメガネを好んで掛けているひとも気に入りそうなデザインですよね。

中川: 自分自身、シートメタルのメガネって掛けたことなかったんですよ。クラシックなものが好きだから、どうしても昔からあるものばかりを選んでしまって。メガネに限らず時計や靴もそうなんですけど、真新しいものを敬遠しがちなんです。だけど、あるときにシートメタルもクラシックなカテゴリーのひとつと捉えられるようになって。 そこからデザインの作業がはじまりましたね。

ー先ほどメガネのデザインを建築に例えてお話されていましたが、シートメタルで“美しい道具”をつくるための技術は整っていたんですか?

中川: 先ほどリム線という針金のような素材でつくったシリーズを紹介しましたが、あちらは面ではなくて線なので、綺麗な状態にすることが容易なのですが、シートの場合は面だから、面積が多く綺麗な状態にすることが難しいんです。そこがずっと引っかかっていたんですが、最初から美しくて強い板をつくってしまえばいいんじゃないかと思いついたんです。

中室: それをつくっちゃったわけですね。

中川: もともと〈アイヴァン 7285〉でシートメタルを使っていて、そのときにいろいろと試行錯誤したデータがあるんですよ。それを基に今回は〈10 アイヴァン〉のために適正なレシピをこしらえました。厳密にいうと金属を素材からつくるのは、クルマ業界ならあり得るけど、メガネ業界では難しいんです。規模がまったく違うので。だから今回は金属をつくっている会社に掛け合って、どういう工夫をすれば目指すものができるかということを相談したという感じですね。

ーもともとある素材を加工したという考えた方なんですか?

中川: そうですね。すごくマニアックな話になるんですが、シートにプレスをかけて圧縮するんです。そこからフレーム状に切り抜いて、さらにその状態でいろんな角度から、いろんな力加減でプレスをかけます。それによって表面がきれいになって、強度も増すんです。このように2段階のプレスによって、美しく剛い〈10 アイヴァン〉だけの特別なチタンの板をつくりました。

ー言葉にすると簡単に聞こえますが、きっとすごく細かな作業になるんですよね?

中川: そうですね。コンマ何ミリの調整になります。だけど、そこまでできてしまえば、あとは組み上げるだけというか。特別な素材なので、余計なことをしなくても成立するんです。すこし昔のことなんですけど、〈10 アイヴァン〉で使っている真珠貝の鼻パッドをあるひとに見せたときに、「こういうパーツがあれば、余計なことはしなくていいもんね」って言われたんですよ。

中川: そのときに「余計なことはしなくてもいい」ってどうゆうことだろう? って思って。すごく含みのある言葉にちょっと戸惑ったんですけど、いまならその意味がわかるんです。

ー料理の世界で言われるような、食材の味を活かすみたいなことなんでしょうか?

中川: まさにそういうことですね。美味しい食材なら塩だけで十分っていう。その言葉がずっと残っていて、〈10 アイヴァン〉は常にそれをモノづくりの考え方のベースにしています。

INFORMATION

EYEVAN PR

電話:03-6450-5300
http://10eyevan.com

EYEVAN 7285 TOKYO

住所:東京都港区南青山5-16-2
電話:03-3409-7285

EYEVAN 7285 OSAKA

住所:大阪府大阪市西区新町1丁目22-14
電話:06-6534-7285

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