ジギーだから知る、ボブ・マーリーのファッション。

―ついに『ボブ・マーリー:ONE LOVE』が日本でも公開されました。いまの率直なお気持ちを聞かせてください。
ジギー: とても嬉しいです。父は日本ツアーを開催したことがあるし、私も日本を何度も訪れていて、大好きな国のひとつ。日本のみなさんは、レゲエを含めジャマイカのカルチャーを受け入れてくださっていて、ジャマイカ人も日本のことが大好き。愛で強くつながっている関係だと思っています。
ロンドンとパリ、そしてジャマイカでプレミア上映を予定していましたが、日本でもやらないわけにはいかない、ということで来日させてもらいました。

シャーリー: はじめまして。日本で〈ラムロフ〉というファッションブランドのデザイナーをやっているシャーリーです。映画、最高でした! とくに当時の衣装の再現度には驚きました。
ジギー: シャーリー、よろしくね。そしてありがとう! ボブはかっこよくておしゃれだったから、その洒落っ気をきちんと描きたかったんです。衣装を担当したアンナ・B・シェパードがしっかりとリサーチしたうえで、我々に相談しにきてくれて。彼女のアプローチはとても気に入りましたよ。


シャーリー: お父さんの世代とジギーさんの世代で、ファッション観に違いはありますか?
ジギー: ぼくたちの世代は服装を全然気にしていなかったけど、父の世代はみんなファッションにこだわっていて、おしゃれだったと思います。
シャーリー: 劇中で、パンクロックが盛り上がっているイギリスへ亡命してから、ボブがレザージャケットを着ていたのが印象的でした。当時ボブは、どんなところで服を買っていたんですか?

ジギー: 父はショッピングが好きでした。アートワークを担当していたネヴィル・ギャリックやザ・ウェイラーズのメンバーと一緒によく買い物へ行っていましたよ。ハイブランドではなく、古着をね。そして、自分に似合うものを見つけるのが上手でした。
シャーリー: ボブが古着好きとは知りませんでした。ジャマイカにも古着屋があったんですか?

ジギー: いや、ジャマイカに古着屋はなかったから、世界中をツアーで回りながら、各地で古着を買っていました。ミリタリーの要素をはじめ、さまざまな背景を持つ服をやりすぎない程度にコーディネートに取り入れるのが好きだったみたい。なかでも、とくに父が好きだったのがスポーティな服装。いつでもサッカーができるようにね。
シャーリー: たしかに、ボブのやりすぎないバランス感のコーディネートが、すごくおしゃれ。ジャージでサッカーしている、ボブの有名な姿も劇中に登場していましたね。


ジギー: 本当にボブはスタイリッシュで、かっこよかったですよ。
シャーリー: 映画のクライマックスで、ハイレ・セラシエから贈られた指輪が登場しましたが、それまでボブはアクセサリーを付けていませんでした。それにはどんな想いを持っていたと考えますか?
ジギー: ボブは物質主義じゃないので、アクセサリーにあまり興味がなく、たまにネックレスを付けるくらいでした。でも、指輪は尊敬するセラシエに認められた証として、特別な意味を持って着用していました。あれだけは、つねに付けていた唯一のアクセサリーです。