FEATURE
WONK × Jinmenusagi コラボレーション楽曲『Here I Am』リリース記念、特別座談会。このカオスな世の中で音楽をつくること。
Lazy and so hazy.

WONK × Jinmenusagi コラボレーション楽曲『Here I Am』リリース記念、特別座談会。
このカオスな世の中で音楽をつくること。

唯一無二のクリエイティブと圧倒的な音楽性で、独自の存在感を放つWONK。今回、このバンドがラッパーのJinmenusagiに声をかけ、コラボレーション曲『Here I Am』をリリースしました。WONKの重厚感に満ちたサウンドがJinmenusagiのペンを走らせ、出来上がったという作品のテーマは“カオス”。さまざまな感情を揺さぶり、ときには鋭利に我々の耳へ突き刺さる、ヒップホップファンのみならずとも必聴の曲となっています。これほどまで強くすべてを吐き出したことはなかったと語るつくり手たちに、その胸の内を聞きました。

自分の作品でもやらないぐらい掘り下げて書いた。

―今回インタビュー前に、皆さんに事前アンケートに答えていただきましたが、Jinmenusagiさんは業界などに対して、お金のフラストレーションもすごくありそうだなと感じました。

Jinmenusagi: そのアンケート、確かめっちゃイライラしたときに書いていたと思います(笑)。今話していたようなことがある世の中で、広い意味で出版するものをつくるという仕事は、リスクも高いですし持続させるだけでも大変。でも、今回の曲でかなり細部まで書いたので、今は逆にスッキリしていますね。

―WONKの皆さん的には、気に入っているフレーズなどありますか?

江﨑: 「あいつは買った再生数フォロワー そろばん弾いてる音だ セフレ探すみたく避けたリスク」などは、かなりリアルでいいですよね。

井上: 我々つくる側からすると、作品をそうやって商業的に軌道に乗せようとしてる人たちが、そのことをどう思ってるのか、すごく興味あります。再生数やフォロワーを買って初速をつけるアーティストって今無限にいると思うんですけど、実際そういうことについて面と向かって話したことはないので。誰も明言せず、話さないまま進んでしまっているのがヤバいなと思いますね。

江﨑: そうだね。あと、フォロワー数で色々なものの金額が決まったりとかするじゃないですか。あれもマジでやばいことだなと思う。

Jinmenusagi: 30万フォロワーがいるアーティストがいて、そのフォロワーから100人しかライブに来ないのか、3万人フォロワーしかいないアーティストだけど、フォロワーが1000人ライブに来るのかという、ちゃんと開いて中を見ることが大事ですよね。

荒田: いいですね…、すごい業界批判の話になってきた(笑)。

江﨑: たくさんのアーティストたちがメジャーデビューして、それら全部にフォロワーや再生数を買って、ひとつでも当たれば回収できるというのは、構造上は理解できる。経済的に見ればそうなんだけど、やっぱり文化的なことをやっている人間からすると、とても違和感があるんですよね。

井上: 明言すればいいと思うんですよ。ウチのバンドは多くの人に聴いてもらいたいからそうしていて、儲かるためだけど、曲もいいでしょ? と言えばいい。経済活動としては、それが正しいことだから。でも、その蓋を開けずに聴いている人のミスリードを誘っちゃいけないなとは思います。

Jinmenusagi: 言わないのは、本当は実力とかカリスマ性で人が集まる方がカッコイイと心の奥底で思っているからですよね。

―そうですよね。アーティストの場合はそれがより強くある…。そういう状況の中で、自分たちのスタンスはどうありたいと思いますか?

Jinmenusagi: フォロワーはどこで買うのが一番いいのか教えてもらいたい。

一同: (笑)。

井上: 微々たるものですけど、経済活動の中にいる身としては、きっぱりそこを駄目だと言える自信もないというか。今の時代、みんなその危機感はあると思うし、日々悩みますね。

Jinmenusagi: 最近人に対して悪い態度をとることが増えました。明らかに相手が悪いときは、不快感を露わにするとか逆にそういう風にしています。嫌なことを嫌と言わないとサバイブできない世の中なので。それは正直になったとか、いい話だけじゃなく、我慢できないストレスもあるんだと思います。

―今回の曲は、そういった感情を吐き出す場としての役割も大きかったのだと感じます。

Jinmenusagi: 自分の作品でもやらないぐらい掘り下げて書いたので、リアルだと思いますし、聴く人にはぜひ楽しんで欲しいですね。

江﨑: WONKは、カッコイイ音だったらそれでOKというようなサウンド志向なつくり方をするところがあるから、ある側面では強さを持てないときもありますけど。今回Jinmenusagiさんとご一緒させていただいて、より力のある曲ができたと思います。

井上: 笑顔でこの曲を聴いて欲しいですね。

Jinmenusagi: 私たちがちゃんと表現するから、みんなは笑顔で聴いてください。

INFORMATION

WONK, Jinmenusagi『Here I Am』

リリース日:8月7日(水)
フォーマット:デジタル配信
楽曲はこちらから。

ライブ情報

EPISTROPH presents - WONK × cero
日時:8月12日(月・祝)
会場:Zepp Shinjuku
時間:OPEN 16:00 / START 17:00
LIVE:WONK、cero
チケット:前売 ¥5,500 (税込 / D代別) 整理番号付き
詳細:https://www.wonk.tokyo/live/2024/8/12/epistroph-presents-wonk-cero