スティーブ・ジョブスみたいですね。
ー先ほどゴローさんが仰ってた加賀美さんの服のサイジングがいいと話していましたが、こだわりがあるんですか?
加賀美: 鏡を見たときに、しっくりくるかどうかなんだよね。やっぱりしっくりこないとイヤだから、そういう服しか着なくなる。
ートップスが大きめでボトムは細めっていうイメージがありますが、それは昔からですか?
加賀美: 結構昔からだね。自転車にも乗るし、パンツが太いと裾が引っ掛かるでしょう。
中津川: それってつまり生き残ったってことですか? たくさん服を着てきた中で淘汰されていったというか、加賀美さんのワードローブに残っているのは、激戦をくぐり抜けた服だけなんですか?
加賀美: そう、 激戦をね。服はすごくいっぱい持ってて、タンスを見たらビックリすると思うよ。

ーコレクションもあるんですか? 着なくても買った服とか。
加賀美: 昔はよく着なくても買ってたね。あわよくば着ようと思ってたんだけど、もう50代だからさすがに厳しくてさ。結局いつも同じ格好になっちゃう。自分の中でしっくりくる服があるとまとめて買うようにしてて、だからいつも穿いているジーパンもたくさん持ってるよ。年代によって色とかサイズ感が微妙に違うんだけど、それがバッチリはまるとまとめて買っちゃう。
中津川: スティーブ・ジョブスですね。
加賀美: そうそう! よく言えばだけど(笑)!
ーそのジーパンは何本くらい持っているんですか?
加賀美: 20本弱くらいかな? こんだけ穿いているのに、そのブランドからお声がかからない。おかしいなぁ〜。
一同:(笑)。
ーその20本弱の中からゴローさんがいいやつを選んでサンプリングしたんですか?
中津川: 加賀美さんのお気に入りを何本か持ってきてもらったんです。
加賀美: 色落ちがいいやつね。
中津川: それをベースにぼくでも穿けるようにシルエットを調整しました。加賀美さんがどうしておしゃれかというと、ご自身で似合うシルエットを知っているからなんですよね。だからぼくたちがそれをそのまま着ても、加賀美さんみたいには着こなせない。なので腰回りはゆったりとさせて、ある程度誰でも加賀美さんぽくなれるようにしたんです。
ールックに起用されたモデルさんも加賀美さんそっくりでしたね。
中津川: ハラくんっていうんですけど、友達に紹介してもらったんです。大阪出身のモデルで、上京するから「仲良くしてやって欲しい」と言われてインスタを交換してたんです。それで今回こういう企画があったから、バッチリだと思って連絡をして。
加賀美: めちゃくちゃ似てるよね。
中津川: 息子さんって思われてもおかしくないですよ。
加賀美: 実は息子もいました! ってね(笑)。俺は若いときに目が吊りあがってて、本当にハラくんみたいな感じだったの。だけど歳をとるごとに重力に負けてどんどん垂れてきちゃって。
中津川: むかし加賀美さんがモデルとして雑誌に出てたときとか、まさにあんな感じでしたよね。

ー写真ではゲレンデに乗ってましたけど。
加賀美: あれも全部ゴローさんのアイデア。
中津川: 加賀美さんが絶対にやらないことを、加賀美さんの格好をしたモデルにやってもらうっていう(笑)。
加賀美: ゲレンデじゃなくてループに乗るっていうアイデアもあったよね(笑)。
ー帽子の被り方まで加賀美さんですよね。
中津川: ちょっと斜めですよね。
加賀美: 子どものときからこれだよ。実家に帰って写真を見たら、いまとまったく同じ被り方してた(笑)。

ーその角度がしっくりくるってことですか?
加賀美: そうそう! しっくりね! なんかここじゃないと落ち着かなくてさ。真ん中でもダメだし、逆側に斜めにしてもダメなの。野球をやってたから、ずっとこう被ってたんだけど、「真っ直ぐ被れ!」って監督に怒られたりもしたよ。でも結局こうなっちゃうんだよね。たぶん真っ直ぐ被って歩いてたら誰も気づかないと思う。
ーその帽子もつくったんですよね。
加賀美: つくりました。これもジーパンと同じブランドで、25年くらい前のやつ。黒とベージュを買ったんだけどボロボロになっちゃったから、友達に渡して同じものをつくってもらったの。
ー何個つくったんですか?
加賀美: 20個。
ーさすがに多すぎませんか(笑)?
加賀美: そうだよね(笑)。
ー加賀美さんってTシャツも色褪せたものを着てますが、新しいのに取り替えようとは思わないんですか?
加賀美: この感じが好きなんだよね。新品からここまで育てるのって時間がかかるでしょう。あと真っ黒い新品のTシャツ着るのが逆に恥ずかしいから、このままがいい。Tシャツも同じブランドのやつを13枚くらい持ってて、Tシャツコーナーに積んであるんだよね。
中津川: その13枚ってローテーションするんですか?
加賀美: 上に積んである2~3枚しか着てない(笑)。ゴローさんもそういうこだわりある?
中津川: ありますね。パーカの下に着るTシャツはこれがいい、とか。洗濯は毎日していて、自分の場合は乾燥機に入れちゃっているんです。さすがに一丁羅の服はちゃんと干しますけどね。ぼくは白いTシャツが好きなので、薄汚くなってきたら新しいのに交換するようにしてます。同じものをずっと着るという意味では加賀美さんと一緒ですね。
加賀美: たしかにゴローさんって昔から変わらないよね。
中津川: 時期によって気分は変わるんですけどね。でも服は好きなのでたくさん買いますし、着てない服もいっぱいあります。着る服だけしか持ってなかったら、なんか不安になるかもです。