キャプテンサンシャインのデザインと通じる空間設計。
ー空間設計は「ケース・リアル」の二俣公一さんが担当されたそうですね。
児島: 二俣さんは住宅から商業施設まで幅広い案件に携わって来られた方で、設計されたお店に行くと、いつも居心地の良さを感じるんです。素材の使い方や、空間の活かし方が本当に上手で、それで今回依頼をしました。
ー『フイナム・アンプラグド』で一度取材をさせてもらったのですが、居心地の良さや機能性を重視して設計を考えていると話されていたのを覚えています。そのときは住宅に関する取材だったのですが、どちらにしても長く付き合うものとしてそうした工夫をしたい、と。
児島: 本当にそうなんですよ。ヴィジュアル重視ではないんですよね。この物件を見てもらったときも「複雑で難しい」と話されていたんですが、「それを逆手に取ってやりましょう」とも仰ってくれて。

児島: お店の入り口の脇に広々としたフィッティングスペースがあるんですが、あえて天井を低くしてプライベートな空間にしたのも二俣さんのアイデアなんです。


児島: もうひとつはエントランスをあえて狭くしました。
ーこの広いスペースを考えると、もっと大きくてもいいですよね。
児島: あえて狭くすることによって、この広々とした空間が際立つと仰っていました。窓も本当はもっと大きかったんですけど、「それだと外が目立ちすぎる」ということでガラスの面積を減らしたり、天井も本来なら剥き出しにするところをあえて一層増やすことによって、絶妙な落ち着きをプラスしてくれています。
ー充足した空間の中であえて制限を設けたわけですね。
児島: そうですね。制限する考え方って〈キャプテンサンシャイン〉のデザインとも通じる部分があって、二俣さんと自分の共通点を一緒にお仕事する中で感じました。一方では、畑が違うからこその驚きのアイデアもあって、それもすごく勉強になりましたね。ぼくは店舗をつくるのが今回はじめてなので、すごく楽しい作業でした。