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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.130 これってダッフルコートなの? “じゃない方”のグローバーオール。

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

この連載もいつの間にか17シーズン目! 新たにショップがすべて入れ替わり、第130回目に登場するのは、古着屋が続々増殖中の東急世田谷線・松陰神社前の「ペロ(pelo)」。滝さんは、どんなニュー・ヴィンテージを紹介してくれるのでしょうか!?

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


滝 祐輔 / pelo オーナー
Vol.130_グローバーオールのショートジップダッフルコート

ー前職場での登場以来なので、滝さん自身は2度目となります。その当時(2023年)伺った「ニュー・ヴィンテージとは?」という質問に対する答えは、いまも変わらずでしょうか?

基本は変わっていないと思います。

ー「いまや手の届かない“トゥルー・ウィンテージへの憧れ”が前提にありつつ、上質な素材や作りに加え、ブランドやアイテム自体に何かしらのバックボーンが感じられるかどうか。その上で、まだ世の中に“良品とバレていない”アイテム」と仰っていました。「ペロ(pelo)」のセレクトにもその辺が反映されていますか?

ですね。年代に囚われずジャンレスにアイテムをピックしていて、同じ空間にある花屋の「ポストマニ(Postomani)」のお客様には女性も多いため、ユニセックスで楽しんでいただけるよう意識しています。

ー店内はトゥルー・ヴィンテージとニュー・ヴィンテージが区別されず、同じラックで並んでいますよね。

スペース的にゾーニングが難しいというのもありますが、そもそもそういった垣根なく“服”として捉えているので、違った年代のモノ同士を組み合わせる方が楽しいし、格好いいんじゃないかなって思っていて。サイズなんかも世間一般のゴールデンサイズでなくとも「このバランスで取り入れたらおもしろいんじゃないか?」と考えてピックしていたりするので、それぞれが自由に古着と付き合ってもらえればと考えています。

ーそんな滝さんが、今回紹介してくれるニュー・ヴィンテージとは?

学生時代にお世話になった方も多いであろう〈グローバーオール(Gloverall)〉が気になっていまして。といっても、定番のダッフルコートではなく、ちょっとズラしてショート丈&ジップアップのダッフルコートを取り挙げたいと思います。ここんちでトグルボタンじゃないのって、ぼくが知っているのはこのタイプだけ。

グローバーオールのショートジップダッフルコート ¥22,000(ペロ)

ートグルボタンではなくジップアップとなると、かなりイメージが変わってきますね。

ですよね。フロントがトグルボタンでショート丈のダッフルコートはさして珍しくもありませんが、それがフロントジップ。しかも〈グローバオール〉メイドというところがおもしろくてピックしました。ですが実を言うと、最初に手に取った際に「これ本物?」と疑ってしまったのは事実で(苦笑)。

ーそもそも、これってダッフルコートなんですか?

一般的なダッフルコートの定義を調べると、“起毛仕上げされた厚手で二重綾織りのダッフル生地が使われたフーデットコート”とあるので、その観点でいえば、コレも間違いなくダッフルコートに分類されると。

ーなるほど。トグルボタン以外にも通常のダッフルコートとの差異が随所に見受けられます。

ショルダー部分の切り替えは変わっていませんが、ポケットが上から手をいれるフラップ付きのパッチポケットではなく、サイドからアクセスするウェルトポケットになっていますし、袖口からの風の流入を防ぐストラップが無いことで、よりアクティブな印象に。感覚的には〈カーハート(Carhartt)〉の「アクティブジャケット」のノリと言いますか。

ー素材に目を向けると、決して厚手ではなく結構ライトというのも違和感を覚えると言いますか。

たしかに「本当にダッフルコート…なのか?」と疑問が生じるワケですが、タグにはしっかり“DUFFLE COAT”と記されているので、そうなんでしょうね(笑)。あと、首裏のタグにも記されているように“MADE IN ENGLAND”という点も見逃せないポイントです。

ー昨今はロング丈よりも圧倒的にショート丈が人気ですし、そういう意味では旬なのかも。で、もう1着は?

グローバーオールのショートジップダッフルコート ¥29,700(ペロ)

こちらはまた違って、袖ストラップが無いのは同様ですが、ショルダー部分の切り替えが無く、ポケットはフラップなしのパッチポケット。そして最大のポイントは素材。表地には光沢のあるPVC(ポリ塩化ビニール)とポリエステル、ポリウレタンの混合生地で、裏地は化繊のフリース生地。なので見た目の割に非常に軽快な着心地が特長となっています。

ーこれまた意外性のある1着! というか、さすがにこれはダッフルコートではないような…。

素材がダッフル生地じゃないですもんね(苦笑)。ここまでいくとダッフルコートの定義を逸脱していますし、もはや〈グローバーオール〉である意味もないように思えますが、そこが逆にイイんです! 裾裏にネーム入りテープがあって手も込んでいるので、さすがにニセ物ではないのでしょうが、ライセンス生産された日本企画の可能性も…。何より〈グローバーオール〉なのに“じゃない方”という、他とは被らない感じが楽しいじゃないですか。

ー絶対に被らないと思います。近年、ダッフルコートを着ている人が昔よりも減ったなという印象があります。実際どうなんでしょうか?

昨年の冬時期も街ゆくオシャレな人“は”着ていましたが、ほとんどが大人っぽいロング丈。そういう意味では完全に逆行していますよね、2着とも(笑)。ぼくが大学生の頃、セレクトショップのオリジナルなんかでこういったデザインのフーデッドコートが大量に出回っていて、当時は「子どもっぽいなぁ」と避けていたんですが、最近は「これもアリかも」って思うように。イギリスの普通のオジさんがスラックスに合わせて適当に羽織っている、あの感じで着こなせるとイイんですよね。

ーそう考えると、MADE IN ENGLANDというのが俄然意味をなしてきます。

正直、クオリティは大して変わらないんでしょうが、MADE IN USAよりもちゃんと作っていそうなイメージがありますし(笑)、それ以上の特別感があるのはたしか。“普通そうなのに、実は変でヒネくれている感じ”もイギリスっぽいといえば、ぽいですしね。

滝 祐輔 / pelo オーナー
前職の某古着屋では、カナダで約2年間仕入れを担当。さらにPRなどの店舗運営とイベント企画なども経験したのち独立し、2025年9月に松陰神社前に「ペロ(pelo)」をオープン。同じ空間内にパートナーの芽吹さんが営む花屋「ポストマニ(Postomani)」が共存し、花とヴィンテージに囲まれた、日々を少しだけ豊かにする特別な空間を提供する。
インスタグラム:@pelo_shoinjinja

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