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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.132 “酒の肴になる古着”もいいけど、 隙間を狙って釣るなら、こんな魚T。

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

この連載もいつの間にか17シーズン目! 新たにショップが全て入れ替わり、第132回目に登場するのは、シーズン4以来となる下北沢「ウェドストア(WED STORE)」。オーナーの原さんは、どんなニュー・ヴィンテージを紹介してくれるのでしょうか!?

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


原 悠太 / WED STORE オーナー
Vol.132_魚モチーフのTシャツ

―以前ご登場いただいた際にお聞きした「アナタにとってのニュー・ヴィンテージとは?」という問いへの回答はいまも変わらずですか?

はい! “自分の価値基準のもと新たな発見がある”のがニュー・ヴィンテージとして捉え、その中で隙間のアイテムを探すという行為そのものが楽しいという感覚は変わっていません。

ー随分とお久しぶりですが、最近はあまり古着を扱っていないとか。

ですね。雑貨類のヴィンテージは店で扱っているんですが、ウェアは結構ご無沙汰かも。ただ海外には行っているので、その中で個人的に楽しむために買っていたモノを用意しました。近々、ポップアップ的に販売しようと思っているので、そちらを紹介できればなと。

ーどんなアイテムなのか気になりますね。

Tシャツなんですが、ぼくの趣味が釣りで、釣りがコンセプトのブランド〈ユエン(Yuan)〉と〈コネット(Connett)〉をやっているというのもあるし、単純に魚のデザインが好きっていうのもあって。

ー釣り好きって、魚を身に着けたくもなるものなんですか?

もちろん、魚は好きですが(笑)、古着好きとしては結構見かけるモチーフで馴染みがあるからっていうのはありますね。

ーたしかに、魚モチーフはよく見かけます。ユーモラスなジョーク系からリアルなフィッシング系まで色々ありますが、今回用意いただいたのはどんなタイプ?

ニューヨーク スポーツフィッシング フェデレーションのTシャツ ¥6,600(ウェドストア)

まずはコレ。洒落たデザインですよね。フロントにはNEW YORK SPORTFISHING FEDERATIONの文字がサークル状に配置され、センターには写実的な2匹の魚が描かれています。シンプルにデザインがイイですね。「ニューヨークで釣り?」と思う人もいるかもしれませんが、周囲に海もあるし車で郊外に行けば山や河といった自然もありますからね。

ーこれは釣りサークル的な団体のモノでしょうか?

調べてみたところ、アメリカのニューヨーク州にある海釣りコミュニティを支援する非営利団体みたいですね。ちなみにボディは〈スクリーンスターズ(SCREEN STARS)〉。カラーはネイビーが基本のようで、このホワイトは珍しいパターンかもしれません。

ーボディにもこだわりがありそうです。

Tシャツのボディといっても本当に沢山あるじゃないですか。それらを全部をOKにしちゃうと探し出す楽しみから遠のいてしまうので、ぼくは“シングルステッチ縛りで探す”という遊びをしています。

で、2枚目はこちら。ご機嫌な極彩色の魚にCABO MEXICOとデザインされています。CABOというのはカリフォルニア湾と砂漠に囲まれたメキシコ屈指のラグジュアリーリゾート、ロスカボスのこと。なので結構ローカルな1枚です。ボディは背タグにSMと記載されていて結構肉厚。おそらく90年代後半ですかね。沖縄や南の海にいるよう魚と海藻の色使いがなんともハッピー。すごく好きな1枚です。

カボ メキシコの魚Tシャツ ¥6,600(ウェドストア)

ーまさに“ツラがいい”ってやつですね。お次は?

背タグには〈ビーチクラブ(BEACH CLUB)〉と入っているので、ブランド名かボディのメーカー名なんでしょうね。素材はコットン100%のヘビーウェイト。おそらくアメリカのコチカネット州のミスティックという街にある水族館のスーベニア。これまた極彩色の魚が主役ですが、よく見ると中央にホタテのような貝がボディと同色でプリントされているという、実に手の込んだデザインになっています。

ビーチクラブの魚Tシャツ ¥6,600(ウェドストア)

ー掠れて割れている感じがまた良い雰囲気で。

自分でも服作りをする人間の観点からいえば、シルクスクリーンでこんなに色数を使っているという時点ですごいなっていう。とんでもない枚数を刷れば違いますが、いま作ると相当高くなっちゃうはず。しかも水性の染み込みプリントっぽいじゃないですか? 今だと確実にインクジェットで作るところなので、そういう意味でも古着で探す意味のあるアイテムです。

ー次は…サメですかね。というかサメって魚なんですか?

ドルフィン シャツ カンパニーのサメTシャツ ¥6,600(ウェドストア)

まぁ、そこはイイじゃないですか(笑)。ツッコミどころ多数ですが…まずはボディ。背タグに〈ドルフィン シャツ カンパニー(DOLPHIN SHIRT CAMPANY)〉とありますが、プリントはサメです。しかもホオジロザメだったりシュモクザメだったりと、それぞれ種類が違うという凝りよう。あえて水を描かないというのがサメの不気味さや異様さを際立たせています。

ーたしかにこのデザインは珍しいし、なんだったら戦闘機みたいにも見えてクールです。

この手のデザインでサメってあまり出てこないので、ぼくの中では結構レア。激レアな有名バンドTなんかよりも見つけづらいんじゃないでしょうか。

ー探している人の数自体も少なそうですし。

それでイイんですよね。価値基準なんて自分の中で決めればイイし、別にみんなが知ってるから・みんなが欲しがる=いいモノとかじゃないですし。そして最後は〈フルーツ・オブ・ザ・ルーム(FRUIT OF THE ROOM)〉のBESTボディ。ブラックバスがユーモア溢れるタッチで描かれています。

ーかなり分かりやすいデザインで、釣り好きっぽい!

フルーツ・オブ・ザ・ルームのブラックバスTシャツ ¥6,600(ウェドストア)

このコミカルなタッチのシリーズは色々なタイプが見つかります。例えば、船の上から釣り人が糸を垂らしていて、下からバスが覗いてたりとか。古着としてはユニークだしおもしろいですよ。ぼく自身、ブラックバス釣りをするので気恥ずかしさもあって直球デザインはちょっと……と避けていたのですが、久しぶりに見たら懐かしさも手伝ってアリかなと。

ーたしかに「スポーツモノや音楽モノ、カルチャー系は着る際に覚悟がいる」と、オジサン世代はどうも身構えてしまいます。

コミカルよりも写実的なタッチで、色数は少ない方がベター。あくまでツラが良いTシャツとして受け入れやすいと思います。あとはサイジングも重要。 最近はジャストめが主流になっていますが、それだと本気感が出てしまうので、普段よりも大きめのXL以上がオススメ。あとサメはOKですが、カジキとかはちょっと…。イルカだとクリスチャン・ラッセンのあのイメージがあるので難しいかもですが、クジラは大いにアリ! サーモンも美味しいしアリです(笑)

ーそうやって自分自身に縛りを課すことで、狙いも明確になって集めやすくなりますね。

そう。シングルステッチといっても、別に高騰しているワケでもありませんし。魚好き・釣り好きでなくとも気軽に探して、気楽に付き合える。ヴィンテージ界隈のマネーゲームに参戦しないでいいので、そういった古着との付き合い方に疲れた方にオススメ。すごくラクで楽しいですよ!

原 悠太 / WED STORE オーナー
古着屋でありながら、古着の販売と同時にオリジナルウェア〈ユエン(Yuan)〉と〈コネット(Connett)〉を不定期にリリースし、多くの熱狂的ファンを獲得している下北沢の秘密基地的ショップ「ウェッドストア(WED STORE)」のオーナー。自身のモノ作りにも反映させるほどの釣り好きとしても有名。
インスタグラム:@wed_store

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