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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.134 “ラフに着こなすのが粋(イキ)”。 シルクシャツは身幅大きめが気分。

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

この連載もいつの間にか17シーズン目! 新たにショップが全て入れ替わり、第134回目は東急世田谷線・松陰神社前の「ペロ(pelo)」の2巡目。滝さんは、今回どんなニュー・ヴィンテージを紹介してくれるのでしょうか!?

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


滝 祐輔 / pelo オーナー
Vol.134_オーバーシルエットのシルクシャツ

ーさて、今回はどんなニュー・ヴィンテージをご紹介いただけるのでしょうか?

ウチで買い物してくださるお客さんの約半数が、ヴィンテージだけを着るというよりかは、新品も着れば古着も着るっていう方々で。そんな“古着を特別なモノではなく、デイリーな服”としてフラットに捉える方々にご好評いただいている“シルクシャツ”をピックアップしたいと思います。

ー古着で見つかるシルクシャツって、すごい派手な柄だったりやたらと小さかったり、もしくはアームホール細すぎ&袖長すぎだったりと、やや着づらいイメージがありますが……。

たしかにシルクシャツ=派手柄のイメージはすごく強いですよね。そこで狙うべきは無地。なおかつポイントとなるのがサイズ選びです。アイテム自体でいえば、まだまだ古着市場に数はありますが“いま着られるモノ”となるグッと遭遇率は下がります。なので、そこの見極めが重要です。

ーそもそもシルクシャツに良し悪しってあるんですか?

まず生地に関しては生産国やブランドで品質の違いはありますが、いわゆるレギュラー古着の場合はどれもそこまで大きな違いはありません。ぼくはそれ以上にシルエットがポイントだと考えています。その中で袖の長さやアームホールの太さ、着丈なんかももちろん大事ですが、もっとも重要なのが身幅。

ーほう、身幅ですか。

ですね。身幅がないモノは買い付けないくらい意識してチェックしています。今回用意した個体がまさにそうで、袖の長さも着丈の長さもちょうど良く、サイズ感も絶妙。

ー肩幅とかはあまり気にしないでイイんですか?

そもそも、シルクシャツ最大の魅力というのが、柔らかく滑らかなタッチの素材感から生み出されるドレープ感です。これがあるおかげで、身幅が広く大きめシルエットを選びさえすれば、肩はドロップショルダー気味になるし、シルエットのごまかしも効きやすい。逆に身幅狭めで細身の場合、ウィメンズを着ている感が出ちゃうので、“あえて”そこを狙うでもしない限り注意が必要です。

ー襟の形や裾のカットなどのデザインに関して、年代による違いってあるんでしょうか?

ぼくの経験則的に、買い付けの際に圧倒的に多いのが1980〜90年代のモノ。なので襟の形は基本的にレギュラーカラーが多い印象です。ただ胸ポケットに関しては結構、個体差があります。ポケットの角のカーブだったり下部の形状しかり。片胸だけの場合もあれば両胸だけもあるし、フラップの有無も含めると意外に様々なバリエーションが見つかるなと。また、シルクシャツで知られるブランド〈グーチ(GOOUCH)〉なんかは個性的な切り替えが施されている個体もあるので、探してみるのもおもしろいかと。

ーシルクシャツが有名なブランドというのもあるんですね。

まさに有象無象というに相応しいくらい、たくさんのブランドが存在しています。〈グーチ〉以外だと〈ロバートストック(ROBERT STOCK)〉もよく見つかる……のですが、今回はそういった有名どころをあえてハズしてみました。まずはこの〈プロテストクロージング(PROTEST CLOTHING)〉

ー初めて聞きました。

ですよね。実際、“シルク素材のレギュラーカラーのシャツ”という以外には取り立て語りどころがあるワケでもなく(笑)。要はブランドがどうこうではなく、素材感やシルエットで選ぶのが正解だということをお伝えできればなと。なので、極論ネームバリューがあろうがなかろうが、シルエット・質感・雰囲気の三拍子が揃えば買い付けています。

プロテストクロージングのシルクシャツ ¥11,000(ペロ)

ー2着目は〈ジーン・マセリック(Jean Maseric)〉。これまた聞き覚えのないブランドですが……。

タグに“PARIS”と記されているようにフランス発祥のブランドなので、現地風に読むと〈ジャン・マセリック〉ってとこでしょうか。人物のイラストが入ったタグも素晴らしいのですが、全体を見ると比較的カッチリめの雰囲気。最後の3枚目は〈ステディオ(STUDIO)〉。正直なところ、ブランドについての詳細は不明。この辺は、相当なコダワリを持ってセレクトしているお店でない限り、いわゆるノーブランド扱いでしょうね。

ジーン・マセリックのシルクシャツ ¥13,200(ペロ)

ステュディオのシルクシャツ ¥11,000(ペロ)

ーたしかにどれも聞き覚えがないけれど“なんか雰囲気が良い”ルックスだし、そもそもシルクは肌に触れると涼しく感じられる接触冷感素材なので、これからの時期にもバッチリなんじゃないでしょうか。

ですね。逆に冷房対策としてもオススメです。ウチの店でも、妻が「ポストマニ(Postmani)」という名前で花の販売もしていて冷房を常に効かせているため、薄手の羽織りモノは重宝しています。

ーそういえば、裾のカッティングってラウンド型とスクエア型がありますが、シルクシャツではどちらがオススメですか?

あまり意識していませんでしたが、タックインするにしろタックアウトするにしろ、ラウンド型の方がトップスとボトムスのラインも自然と繋がるので全体的に一体感が生まれやすいかと。ラウンドのカーブは緩めだと、なお良しで、個人的にもいまの気分ですかね。

ーもうひとつ、シルクって手入れが大変なイメージがあるのですが……。

たしかに、繊細で丁寧に扱わなければならない素材ではありますが、だからこそ普段着としてラフに着こなすのがすごく格好いいと思うんです。着用する際も、タックインではなくタックアウトし、フロントは開けつつ羽織り感覚で着ていただけるとよろしいかと。

ー“シルクシャツをリアルクロージングに”ということですね。滝さんはどのようにケアしていますか?

基本的には家庭用洗濯機で洗っちゃっています。よく洗濯時にボタンが破損するというトラブルがありますが、ネットに入れて回してもらえれば破損の確率もグッと下がるので、ぜひ試してみてください。あと乾燥機は絶対に使用NG。むしろすぐに乾くので、シワを軽く取って陰干しすればOKです。

ーそう聞くと、グッと身近に感じられますね。

先ほども話しましたが、レギュラーものであれば1万円前後の価格帯で楽しめるっていうところも魅力で、レザージャケットなんかと立ち位置的には近いかもしれません。誰かの手に一度渡ることでエイジングだったりアジが出ていて、さらに新品よりも安く手に入る。シルクシャツは、そんな“古着で買う意味のある”アイテムのひとつだと思っています。

滝 祐輔 / pelo オーナー
前職の某古着屋では、カナダで約2年間仕入れを担当。さらにPRなどの店舗運営とイベント企画なども経験したのち独立し、2025年9月に松陰神社前に「ペロ(pelo)」をオープン。同じ空間内にパートナーの芽吹さんが営む花屋「ポストマニ(Postomani)」が共存し、花とヴィンテージに囲まれた、日々を少しだけ豊かにする特別な空間を提供する。
インスタグラム:@pelo_shoinjinja

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