ロゴやグラフィックが人気だ。SNSが生活の一部になり、そこで自己表現をしようと思えば分かりやすい記号が主役に躍り出るのは当然だろう。しかし、それを無駄に目立たせたり、いくつも配置するようなデザインはこのブランドのコンセプトとやや異なる。実際、クリエイティブ ディレクター、ルーシー&ルーク・メイヤー夫妻もそう感じたのかもしれない。
〈ジル サンダー(JIL SANDER)〉の定番ライン「エッセンシャル」に撥水性も備える滑らかなコットンを使ったコートとコーチジャケット。あえてブリーチを施していない、不揃いの糸ならではのナチュラルな風合いを有するコットンのシャツ。
いずれもロゴは背中にひとつ。あくまで脇役としてのあしらいながら、よくよく見ればアイテムによって位置を微妙に変えているのが分かる。このこだわりは隅々にまで美意識が息づく〈ジル サンダー〉ならではであり、ミニマルなデザインだからこそ生きてくる。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa