〈ジル サンダー(JIL SANDER)〉のクリエイティブディレクターを務めるルーシー&ルーク・メイヤー夫妻がこのメゾンでやろうとしていることは、いってみれば原点回帰への挑戦である。
オーセンティックなデザインをベースとした、ブラックとシルバーだけで構成されるカラーパレット。ストイックなデザインワークで確固たる存在感をみせつけるその手腕は、すでに原点回帰を成し遂げているといっていいすぎではない。
たっぷりとった腕まわりに比して極端に着丈が短いブルゾンや、ジッパーやボタンのバランスに顕著だが、メイヤー夫妻にはパターンやバランスを創造する力がある。そのさじ加減はジル・サンダー女史のそれを想起させずにはおかない。仕立てたファブリックも往年の〈ジル サンダー〉に負けず劣らず上質のひと言である。
ガーメントウォッシュが施されたファブリック、あるいは世界最古の薬局「サンタ・マリア・ノヴェッラ」で使用されている薬草をモチーフとした刺繍。どこか自然へのオマージュが感じられるあしらいが、巧妙なアクセントになっている。
MA-1を思わせる一着は極端にゆとりのあるアームホールに特徴がある。
ブルゾン ¥209,000+TAX
ジャケットの内側には世界最古の薬局「サンタ・マリア・ノヴェッラ」で使用されている薬草をモチーフとした刺繍が施されている。
ガーメントウォッシュを施すことで、こなれた風合いに仕上がっている。
バイカージャケット ¥256,000+TAX
前身頃はジッパーとボタンのダブルの仕様。こちらもガーメントウォッシュによる独特の風合いが魅力。
ブルゾン ¥200,000+TAX
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa