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【FOCUS IT.】三軒茶屋の新進気鋭の古着屋が集まりポップアップストアを開催。いま着たい古着ってどんな感じ?

連載「古着サミット」に始まり、古着のアンティークモール「フイナムズ」の運営、そして最近始まったニュー・ヴィンテージにフォーカスを当てる新連載など、『フイナム』と古着の関係は切っても切れない関係です。

いままでアメカジブームやファッションブランドの元ネタとなり価値が上がったアイテム、近年の90年代ファッションの流行など、さまざまなムーブメントから古着にフォーカスが当たってきましたが、最近はどこか違うムードも感じられます。

それは嗜好性の高いヴィンテージを探し集めるといった考えではなく、年代を制限せずに、近年ものでもファッションアイテムのひとつとして古着を取り入れているひとが増えたということ。

今回はその傾向が強い三軒茶屋に店舗を構える新進気鋭の古着屋「エクレ.(Ecle.)」と「ペルアア(per-aah)」、そしてつい最近まで下北沢の老舗古着屋でバイヤーを勤め、「コンテニュー(CONTiNUE)」を主宰し始めた定常さんを加えた、合同ポップアップストア「スーパーハウス(SUPER HOUSE)」が、9月25日(金)から28日(月)の4日間で開催されます。

下は数千円から、上は十数万円のヴィンテージも登場するこのポップアップ。30歳のオーナー達に、イベントについてや最近の古着事情についてお話を伺ってきました。

「コンテニュー」主宰 定常匡史さん(左)、「ペルアア」オーナー 野田将太さん(中)、「エクレ.」オーナー 安部和真さん(右)

-まず最初にみなさんの店舗について教えてください。

安部和真(以下、安部):「エクレ.」では、アメリカを始めとする世界各国のヴィンテージ・レギュラー古着を、デザインやディテール、素材にも拘り、大人も楽しめる現代のスタイルで提案しています。いまファッションとして楽しめるものを基準に置いていて、メンズとレディースは半々ぐらいのバランスです。

野田将太(以下、野田):「ペルアア」は三軒茶屋(以下、三茶)と下北沢の間に位置していています。アメリカ古着を主軸にヴィンテージからレギュラー古着まで、色味や柄にフォーカスして そのときに面白いと思うものをセレクトしています。メンズ:レディースの割合は7:3程なのですが、ユニセックスとしてアイテムを打ち出ししています。

定常匡史(以下、定常):ぼくは6月に7年間努めた古着屋を辞めたばかりで、まだお店を持っていません。それまでは、下北沢で30年近く営業している古着屋のバイヤーとして働いていました。好きなのは60〜80年代あたりですが、変わったものなら年代や国問わずピックします。ベーシックだけど遊びが効いたデザインが好みです。

ブランドの展示会や撮影で使われることも多いポップアップ会場は、光が程よく入る心地いい空間。

-今回の合同ポップアップストア「スーパーハウス」はどのように始まったのでしょうか?

定常:まず、来年あたりに自分の古着屋を来年オープンできたらと、資金を貯めながらお店の下準備をしたいなと考えていました。そうしたら、中目黒で水タバコのお店をやっている友人がポップアップをやらないかとお誘いをくれて。スペース的に少量しか置けなかったから、またやりたいなと考えていたんです。

安部:ちょうどぼくも久しぶりにポップアップをやりたいなと考えていたので一緒にやろうかとなりました。もともと、いまのお店をオープンする前は、イベントなどでポップアップの古着屋をやっていた過去がありまして。今回は3店舗合計で150点ぐらいを考えていて、売れたら随時商品を追加する予定です。

野田:ぼくはサダ(定常)さんに誘っていただいたんですが、最初はすごくラフに言われたから、本当にやるのかな? って感じでした(笑)。

定常:個人的に三茶の古着屋を盛り上げたいって想いで誘ったんですが…。

安部:野田とぼくは同じ東北出身で、年齢も一緒。お店のオープンも同じタイミングで、見せ方は違うけど扱う服も近い。三茶の古着屋といったら「バンク(BANK)」さんとか「ジグ(zig)」さんが知られていますが、ぼくらがお店を始めたタイミングから徐々に古着屋が増え続けているんです。まだ2年半ですが、勝手に三茶の古着第2世代の走りになれたのではと(笑)。

-最近はお近くの下北沢でも古着人気が復活していて、またお店が増えてきていますよね。近いのにどこか雰囲気が違うイメージですが、三茶の古着ってどのような感じなのでしょうか?

安部:年代を重視するよりも、ファッションアイテムの一部として捉えていただく方が多いです。古着ってフィルターを通した、ファッションっていうのかな。自分からしたら、年代違いであったら古い方に手が伸びるんですが、そうではないというか。

野田:うちも似た感じです。美容師の方も多いので、服を楽しんでるなって印象があります。そのひとなりの個性を出したいってお客さんが多いです。あと、三茶の古着屋って遅くまでやってるのも特徴かな。仕事帰りやお酒を飲んだ後に立ち寄ってくれたり、21時に来たひとが23時に再来店されるみたいなこともあります(笑)。

安部:確かに、23時閉店は三茶の古着屋では早めみたいなイメージですね。うちもご近所さんが寄ってくれることが多いのと、スタイリストの方たちが来ることも多くて。閉店時間が遅いから、リースに来られる際も最後の砦みたいな感じでお越しいただいています。

定常:下北沢は若いひとがすごく増えていますね。ぼくはその中でどう他のお店と差別化していくかを考えていました。それは、以前から下北沢にいた大人のお客様が他のお店で浮いちゃっているなと思っていたから、その方向で勝負するのは辞めようと切り替えていたんです。どちらかというと、三茶や中目黒、祐天寺のお店を意識していたかな。

-たしかに定常さんがいたお店は、下北沢に新しくできている古着屋とは少し毛色が異なりますよね。どのようなひとがよくいらしてましたか?

定常:他の地域で満足できていないひとが来ていたかな。いまっぽいけど、新品にない面白いものを求めてというか。古着といっても、よりファッション的でいまの空気感をもっているもの。古着は安いって考えではなく、いい服を求めに来ている感覚がありましたね。

-古着の入り口として、新品に比べてお財布に優しいというのはもちろんありますよね。そもそも、みなさんが考える古着の良さってどんなところにあるのでしょう。

定常:古着を着ると他のひととかぶらないというのもありますが、自分から合わせにいかないといけないのも醍醐味ですよね。個性的なものを着るというのではなく、服に合わせて着るっていうのが個性に繋がると思っていて。年代のズレとか、狙っていないのに自然とそうなる感覚が好きなのかな。自分のやり方でどうやって着るかみたいなところは魅力ですね。

安部:このサイズ感をどう着るかみたいなね。ぼくはルールがないところ。買ってくれたお客さんの捉え方で無限にコーディネートできて、無限に広がっていく。どう着たらいいんだろうと考えて、次に合うものを買ったりとか。それこそ、ボロの退廃美とか新品には出せないですし。質はいまの方がいいと思うんですが。

定常:ぼくは古いものの方がいいと思うんだけど…。独特なネップ感とか魅力的だし、丈夫だったりしない?

安部:それは絶対に古着屋フィルター入ってるでしょ!(笑)。

一同:(笑)

野田:でも、それも一理あるかも。自分の場合は素材が好きなんですが、いまつくろうとしたら相当高価になってしまう生地とかあるんで、そんなところも古着ならではの良さですね。

安部:そういえば、最近はコットンポリのペラいTシャツとかが好きなひとも多いんですよ。やっぱり古着を買いに来るひとって、古着にしかないものを求めにきているのかなって。定番の50/50 Tシャツとか、透けないか心配になることもあるんですが。

定常:特に女の子はその傾向です。あれは着ると雰囲気出るんだよね。

-なるほど。今回お三方には販売を予定している古着を数点持参してもらいました。簡単にどのようなアイテムか説明をお願いします。

野田:ヴィンテージじゃないけどあまり出ない面白いものがいいかなと思い、ジップアップが珍しいピンクのメキパ(メシカンパーカ)。意外と出ない90年代のレオパードジージャンは、50年代ものじゃなくてレギュラーってところが逆にツボです。そして、チェックシャツが好きなんで、白と黄色のシンプルチェックのシャツ。これはLサイズですね。

安部:70505ベースのレオパってところがいいね。

定常:現状仕入れに行けないので、今回は私物を放出します。90年代〈ノースフェイス〉の「TNFX」は、少しレアなスノボジャケット。配色がかなりイケてます。ブラウンのパーカとネイビージャケットの2点は、〈イッセイミヤケ〉で知られる「ミヤケデザインスタジオ」と「ワコール」が共同開発した〈スポルティング ギア ハイ(SPORTING GEAR HAI)〉の80年代のアウターですね。オーバーオールは80〜90年代の〈ウールリッチ〉です。カモフラ柄でしかもウールのゴブラン織! カラーもブレイズオレンジ。ダブルターンナップで履いていました。

野田:折り返すとレオパードみたい。長いのが逆にいいんだ。

安部:70年代のナイロンジャケットとレディースのトップス。〈キャンパス(CAMPUS)〉の50年代のジャケットは、裏地も透けるほど弱そうなシースルーの生地を表に使っていて用途がわかりません(笑)。この時代で黒っていうのも珍しいですね。一時期〈アディダス〉のATPジャージが流行りましたが、あまのじゃくなので着てるひとが減ったいまなら面白いかなと。スポーツ系ではなく90年代〈マクレガー(McGREGOR)〉のジャージってところもグッときました。

定常:シースルーのは、ロカビリー的な感じで着てたのかな?

-みなさんバラバラで面白いですね! この中で何か1つフォーカスするとしたら、どれになりますか?

安部:ナイロンジャケットですかね。特別古くないんですが、色味とデザイン的にフリーダムスリーブになっているところが面白いんじゃないかなと。サイズはSなんですが、小さめにバシッと着るのもいいですよね。女性がこのアウターにトレンドっぽいレース系のトップスを合わせて、襟を出して着てもかわいいのかなと。

定常:レディースのトップスは何年代くらい?

安部:縫い糸を見ると70年代頃なんじゃないかなと思います。

野田:どうしても見方が男になっちゃうね。

定常:1977年にスタートした〈スポルティング ギア ハイ〉のアウターは、スポーツというよりもカジュアルウェアとして提案されていたんじゃないかと。当時はリアルクローズ寄りの服にこういうブランド名を付けられていたようです。これは見たことないよね?

野田:ないですね。これはディテールがいいよね。80’s「ワコール」か。

安部:同じくないですね。このデザインにさらに〈イッセイミヤケ〉っぽさを感じさせてたら最高です。

野田:このメキパは、ピンクなんだけどオールピンクにならずにポイントは抑えていて。ロカビリー的なテンションで着てもいいし、女の子がワンピースの上からパーカー代わりにきるのも可愛いんじゃないかな。ジッパーは「IDEAL」ですね。

定常:現地だとスエットのインにメキパ着てるひととか見かけたよ。女子ならこれにデニムショーツに合わせるでしょ!

安部:カリフォルニアかよ!(笑)。

-これらの古着は、いわゆるヴィンテージとして価値のあるものとは異なる視点ですよね。いまの気分ってどんなものなのでしょうか。

定常:個人的にはカッコよくレギュラーものを着たいなって。ヴィンテージとか古いものが好きだったんで、ぼくにもいままで無かった感覚なんですが。

野田:ですね。ボロボロな服が好きだったんで、自分自身もいままで持っていなかったんですが、気分がそっちに向いていて。

安部:お客さんはシルエットを気にしてる傾向があります。というのもビッグサイズの流れがありましたが、ブランドもフレアパンツを出したり、ただ大きいというだけじゃなくなってきて。うちのお店はエクレクティック、つまり折衷って意味から「エクレ.」になったんですが、それを古着で噛み砕いて、ヴィンテージとレギューラーや流行と定番のミックスなどで提案しています。

野田:フレアパンツは三茶ですごい人気だよね。それこそオシャレな美容師の子とかは、それに透け感のあるシャツ合わせたり。

定常:以前フレアが流行ったときはヒッピーライクな印象でしたが、今回は80年代のディスコ乗りな気がしてます。クラブカルチャーが出てきたけど、まだスニーカーって感じではなく、センタープレスありでめかしこんでいこうという時代性みたいな。

安部:前のブームのときは646、684みたいなわかりやすいシルエットでしたね。最近はもっとゆるめなシルエットでワイドフレアとか人気です。スキニーは減った印象ですが、最近はサイズ感がすごく多様化されてきていて、トップスは少し小さめでもいいってひとも増えています。

野田:多分、三茶はそれが顕著に出ているんじゃないかと思います。

安部:最近のサイズ感からすると大丈夫かな?って思うんだけど、いまの子たちが着るとまとまって見えるんだよね。

定常:グッチ的なね! 最近はアイテムによってサイズ感を変えたりするひとが増えた気がします。

-では、最後にそれぞれがこれから打ち出したいと考えているものをお聞きしてもいいですか。

野田:沢山ありますね(笑)。トップスは透け感のある素材とか柄でいきたかったんですが、どうなのかなって考え中です。それに合わせるチノパンも併せて推していきたいなと。そんな風にベーシックだけど、古くていいものも提案したいです。

安部:うちはサイズ感でいまっぽくなるようにかな。60’sの下ピチピチで上ゆったりとか。トップスは90’sとかもいいですよね。シルエットの提案をしていきたいです。

定常:ぼくは80年代って開かずの扉みたいなところあるのかなって思っていて。その辺のモードとクラシックが融合したアイテムやクセのあるものですね。それらをベースにして、ベーシックを混ぜるみたいな。ベーシックは、例えば今日履いている60年代のスタプレはテーパードシルエットで生地はホップサックなんですが、この仕様は初期の頃しか存在しないんです。そういう細かな部分と言いますか。

安部:ベーシックの底上げはしたいよね。このアイテムなのにこの素材とか。この年代なのにこんなシルエットみたいな細かな違いで。本当は店頭で伝えたいことがたくさんあります。

定常:いままでと違う目線で古着を提案したいよね。アメカジとかストリートを通した、僕らの着方を出したいです。今後、古着屋はセレクトショップ的な要素が必要になってくると思います。

安部:いまの提案とは時代の変化とともに変わっていくと思うんですが、他のエリアと違う感じで三茶発信のおもしろいことをやっていきたいですね。

INFORMATION

Ecle. × per-aah × CONTiNUE 合同POP UP STORE「SUPER HOUSE」

会期:9月25日(金)〜28日(月)
住所:東京都世田谷区上馬2-33-1 Aスペース 302
時間:13:00〜20:00

定常さんが主宰するCONTiNUE インスタグラム

Ecle.
住所:東京都世田谷区三軒茶屋1-35-27 営業時間:15:00〜23:00 ショップインスタグラム

per-aah
住所:東京都世田谷区太子堂3-25-6-1F 営業時間:16:00〜25:00 ショップインスタグラム

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