足元にボリュームが欲しいファッション業界人のなかで近ごろ注目されているのが〈パラブーツ(PARABOOT)〉の「ティエール」。本国ではお馴染みの一足ながら、これまで日本での露出は多くなかった。
丸みを帯びたフォルムに、甲のエッジを攻めたモカ縫いはワークシューズを彷彿とさせるが、装飾を削ぎ落としたソリッドなデザインはモダンのひと言だ。クッション性に富んだロケイドソール、トップラインとシュータンに充填したクッション材により履き心地は至福の域にある。
まずは鉄板を手に入れたい、というのであれば「シャンボード」かモカシンコインローファーを。
前者は拝みモカをそのアイコンとする自他ともに認める〈パラブーツ〉のマスターピースだ。登山靴の底付け技法として誕生したノルヴェイジャン製法、ワックスの含有率が高く、耐久性に富んだリスレザー、そしてコンディションの悪い路面をものともしない自社生産のテックスソール。頑強無比なスペックをまといつつ、その靴は履きおろしからしなやかだ。
後者はこれもまた定番となる一足だが、今シーズンはいつものマリンソールからレイドソールに履き替えた。肉厚なラグソールで、ミッドソールを加えた構造と相まってスニーカーと見紛う履き心地を手に入れている。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa