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写真家・小見山峻の新作展が開催されます。こんな時代だからこそ、アートに触れていきましょう。

フイナムでもその動向をチェックし続けている写真家である、小見山峻による2年半ぶりの個展、「なにものでもないものたちの名づけかた」及び「my beautiful tokyo」が開催されます。

「なにものでもないものたちの名づけかた」は昨年9月にKG+(京都haku gallery)にて発表したのちに、名古屋の「c7c gallery」にて巡回、東京にて3都市めの巡回となります。

なにものでもないものたちの名づけかた
「視る」ということは、「名前を認知する」こと に限りなく近い。この世界のものはたいてい、そ れぞれの名前を所有している。そして、私たちのな かにごく自然と沈殿した経験と知識により、視た ものの名前を無意識に思い浮かべて認知する。視 認。それは、目に映ったものに無意識に名前を当 てはめることによる確認である。それが固有名詞 であれ、普通名詞であれ、「名前」をもってして私 たちは初めて「視る」に至るのである。つまり私 たちは日々、視線を振り分け、そこに映るものに 名前を当てはめて世界の認識を広めてゆく。そして 判断し、切り取り、選び、写真として結晶にす る。 名前のないものは誰も「視る」ことはできない。 自分自身が「視認」することによって生まれた写 真たちから、名前を奪う作業を繰り返した。名前 を失った彼らを、あなたは視ることができないの かもしれない。或いは経験に基づき名を振り分け て判断するのかもしれない。あなたがこれらの名 づけ親になるとき、それはあなた自身のアイデン ティティなのかもしれない。小見山 峻

そして、作家自身の東京での生活をテーマにした新作個展「my beautiful tokyo」。

my beautiful tokyo

夕方過ぎの吸殻のような喫茶店で
皿に残ったラズベリーソースが血の跡に見えて
柔肌のコンクリートに跳ね飛ばされる毎日に
チップ代わりの安い辟易を投げつけている

砂漠ならばまだよかった
アスファルトと違って足跡が残るから
深海ならばまだよかった
カラオケボックスよりも自分の声を聞けるだろう

ここは東京
僕の宝物が、あなたにとってガラクタにすぎない街
ここは東京
あなたの大切な人が、誰かにとって最悪な出来事かもしれない街

アンドロイドにも聴こえるような風の歌を探す
ノロマなトライアンフをコンバースで追い越して
消毒液で汚れた手でシャッターを切るとき
何かを祈った気がするが、帰り道に落としたまま届かない

ここは東京
今夜はいっそ、ボウモアとハイライトで大人になって
ここは東京
明日はきっと、コンソメパンチとスプライトで子供になって

僕らが何かを求めているのか
何かが僕らを求めてくれるのか
僕らが日々を愛すのか
日々が僕らを愛してくれるのか

ここは東京
背伸びし合う鉄骨の裂け目に、なんとか陽を探し出す街
ここは東京
この景色たちの隙間で、あなたを想う日を見つけた街
(チクショウ、それだけでお釣りがくるよな)

写真は生で見るのが一番です。見ながら、ゆっくりと思索にふけってください。

INFORMATION

なにものでもないものたちの名づけかた / my beautiful tokyo

会期:2021年3月8日(月)〜2021年3月22日(月)
場所:MIDORI.so GALLERY
住所:東京都目黒区青葉台3-3-11 3F
時間:13:00〜19:00(入場自由)
※「11:00 ~13:00」「19:00~21:00」は事前にご予約いただいた方のみ来場可能です。希望の日時を明記の上「i@shunkomiyama.com」にご連絡ください。定員に達した場合お断りさせていただく場合がございます。

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