黒が生み出す温もりと奥行きとは？ その答えは、土屋鞄製造所と藤井保によるコラボ作品集にて。

のどかな東京の下町にある、たった11坪ほどの作業場。そんな場所でひとりの職人がランドセルをつくったことから歩みを始めた〈土屋鞄製造所〉。

彼の実直なものづくりへの姿勢は、後に加わった仲間たちにも受け継がれ、創業56年を迎えたいまでは、日本を代表する鞄メーカーとして揺るぎない信頼を確立しました。

熟練したクラフトマンシップが生み出すレザー製品の数々は、どれも美しく、時に芸術作品さながらの佇まいを感じさせます。とりわけ、2019年に満を辞して発表した「ブラックヌメ（Black-nume）」は、力強い“黒”と素朴で柔らかな“ヌメ革”を調和させた、近年の〈土屋鞄製造所〉を代表するシリーズ。

そんな「ブラックヌメ」にフォーカスした写真集が、6月1日（火）の「写真の日」にリリースされます。

Form of Harmony 藤井保 作品集 ¥4,290

作品は1枚ずつ部屋に飾れるようカード状に。

レンズを構えたのは、広告写真の第一線で長く活躍し、日本の離島も数多く撮影する写真家・藤井保さん。東京の伊豆大島と都内スタジオという対照的なロケーションを舞台に、計20カットがフィルムで撮り下ろされています。

伊豆大島では広大な自然を背景に、スタジオでは福井さんの過去の作品と組み合わせて撮影。ヌメ革本来のあたたかみや、フォルムの細部といった見過ごしがちな部分が、福井さんのフィルターを通すことで鮮明に映し出されます。

発売を記念し、「代官山蔦屋書店」では特別展「Form of 土屋鞄製造所」を開催。会場では「ブラックヌメ」シリーズをはじめ、大人ランドセルやウォレットなどが展示（一部販売）。数年使い込まれたサンプルも並べられ、エイジングの魅力をじかに堪能できる貴重な機会となっています。〈土屋鞄製造所〉にまつわる約20冊の本も選書されているとのことなので、これを機に、老舗のものづくりに改めて触れてみてはいかがでしょう。