ベルギーのファッション史に太字でその名を記載されるだろうデザイナー、ラフ・シモンズが〈プラダ(PRADA)〉に加入したニュースは業界を駆け巡った。ミウッチャ・プラダと手を携えて完成させた2021-22年秋冬メンズコレクションはぼくらの期待を裏切らないものだった。
二人がテーマに据えたのは “POSSIBLE FEELINGS”。感じたい、触れたいという思いを表現したという。コロナ禍でひととの繋がりが希薄になったいま、ファッションはなにができるのか。この問いに二人は正面から答えた。
〈プラダ〉の新たなアイコン「リナイロン」をまとったボンバージャケットやコート。その要所にはシェットランドウールのジャカードニットがあしらわれていた。60年代のアーカイブをモチーフとしたそのニットはまさに “触れたい” という思いをかたちにしている。
見逃せなかったのはラフが愛してやまないサブカルチャーなエッセンスがくっきりと浮かび上がっていたことである。ボンバージャケットはその象徴だろう。ランウェイではXXXL(!)という特大のサイズをまとったモデルが闊歩した。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa