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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.25 “いつもの格好に、ただ羽織る” それだけでいい、エル・エル・ビーン。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

今回から、4ショップが入れ替わってリスタート。第25回目は、本連載2度目の登場となる「シエスタ(SIESTA)」の青木 崇さん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


青木 崇 / SIESTA店主
Vol.25_エル・エル・ビーンのゴアテックスコート

―再びのご登場ありがとうございます! さて、そんな青木さんに今回、ご紹介いただくニュー・ヴィンテージなアイテムは?

青木:前回(Vol.7)に続いて、今回も〈エル・エル・ビーン(L.L BEAN)〉から(笑)。アイテム名としては「ストアウェイ・コート」になるのかな? これは90年代後半から00年代初頭のモノですが、当時これとよく似た「ストアウェイ・ジャケット」というゴアテックスを使用したマウンテンパーカがあったんですが、一言で表すなら“それの長い版”。

エル・エル・ビーンのゴアテックスコート ¥19,800(シエスタ)

エル・エル・ビーンのゴアテックスコート ¥19,800(シエスタ)

―調べたら「ストアウェイ・レインウエア・ウィズ・ゴアテックス、ジャケット」という名称で、現在もラインナップされているんですね。

青木:ですね。とはいえ現行品ではデザインが結構変わっていて。当時のモノは、いわゆるマウンパの定番デザインってやつで、フード一体型の首周りにフラップ付きのフロントポケット、袖先にはベルクロ。裏地はメッシュになっているので通気性もそれなりにあって、なおかつラグランスリーブだから動きやすい。そんな王道ディテールを“まんま”受け継いだのがコチラ。

―たしかに王道的というか、久しぶりに見るとなんかホッとするデザインですね。やはり推しのポイントは、ゴアテックスを使っている点ですか?

青木:そこはモチロンですが、なにより色使いがイイ! このティール(緑色っぽい方)なんて特に。基本的にウィメンズカラーで使われることが多いんですけど、コレはちゃんとメンズモデルになっています。もう一つの方は…なんだろう? ゴールド(カーキ色っぽい方)かな。年代としては後者の方がちょっと古いけれど、違いはゴアテックスの刺繍が入っているかどうか。あとタグを見れば分かるんですが、近年のモデルには“アウトドアーズ”と記載されています。

―アウトドアーズと無印って、なにか違いがあるんですか?

青木:特にないっす(笑)。ビーン自体、正直ラインナップ全体を通して見ても、ほとんどがアウトドアじゃねぇか! って話ですし。あと一応お知らせしておきますが、パッカブルです。なので本体を小さく畳んで、内ポケット部分に収納が可能。まぁ“コートを携帯する”って、なかなかない状況ではあると思いますが“そんなことも出来るぞ!”っていうお得感を出してくるのがアメリカっぽいというか。シチュエーション的にも、本格的なアウトドアというよりはキャンプやハイキングなどで急に雨が降ってきても、ボトムスを濡らさずに済むというのが、なんか良くない? っていうノリでしょうね。

―こういったコートタイプでいえば、シエスタでも過去に〈パタゴニア〉の「フォグバンク・トレンチコート」なんかが人気を博していましたよね?

青木:両方ともフロントに前立てがあるので顔立ちもすっきりしていますし、すごくイイんですが、「フォグバンク・トレンチコート」ほどカチッとした印象がない分、こちらの方がラフに使えますね。袖が細すぎないので、ボリュームのあるインナーでも合わせやすいし、太ももまでカバーしてくれるから自転車に乗る時も重宝しますし。

―とはいえ、アウトドアブランドのコートタイプって、探そうにもあまり見つからなそうな気が…。

青木:ベースモデルの「ストアウェイ・ジャケット」自体は、当時他の競合ブランドのゴアテックスジャケットに比べて安かったこともあってか、定番モデルとしてラインナップされていて販売期間も長く、時代ごとにチョイチョイ見つかるアイテムではあります。ですが、コレに関しては、たしかに意外と出てこないかも…。逆に言えば“見つかりづらい=当時、需要がなく売れなかった”ということです。〈エル・エル・ビーン〉って、そういうアイテムが本当に星の数ほどあって…(苦笑)、そこも“らしい”ところ。

―では、もし運良く手に入れたとして、どう着こなすのがオススメですか?

青木:う〜ん、別に普通でイイんじゃないですかね。ボトムスもいつもの〈ディッキーズ〉のワークパンツで合わせるとか。そもそも、いまマウンテンパーカーを着ている人ってあんまり見ないじゃないですか。だからこそ新鮮だし、なんかイイかもって思いません? なので、着こなしとかあまり深く考えず、“いつもの格好に、ただ羽織る”ってくらいの感覚でちょうどイイというか。

青木崇 / SIESTA 店主
渋谷・神南エリアの人気古着屋「I&I」を経て、インポート&古着、自転車のパーツなども取り扱うショップ「シエスタ(SIESTA)」を、原宿・とんちゃん通りにオープン。アメリカ西海岸周辺のカルチャーの匂いを感じさせるセレクトで、スケーターや自転車乗り、シティボーイから業界関係者まで幅広くファンを獲得。昨年めでたく10周年を迎え、11年目となる今年9月に世田谷区桜新町に移転し、リニューアルオープン!
公式HP:store.siesta81.com
インスタグラム:@siestastore

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