〈カルティエ(Cartier)〉といえば、「トリニティ」「LOVE」、そして「ジュスト アン クル」がシグネチャージュエリーとして知られるが、目の肥えた人々のあいだでは「エクル ドゥ カルティエ」を推す声も多い。
見どころはナットとボルトをモチーフにしたデザイン。ジュエリーと工業資材は本来相入れないものだが、ラグジュアリーブランドがストリートのエッセンスを採り入れるのに似て、その化学反応はぼくらをワクワクさせる。
デザインは至ってオーソドックスなのに、〈カルティエ〉が手掛けるだけで品格をまとうから不思議なものだ。考えてみれば、「ジュスト アン クル」もネイル(釘)をモチーフにしている。このデザインアプローチは〈カルティエ〉にとっては造作もないことなのだろう。
アートといって差し支えのない佇まいは、もとよりイエローゴールドという素材や精緻を極めた職人仕事なくしては成立しない。シンメトリーな六角形のナット、螺旋を描くネジ山はいつまでだって見ていられる美しさをたたえている。
ここで紹介するブレスレット、リング、イヤリングはいずれもこの11月に発売されたばかり。思わずため息が漏れる感動を、売り場で味わってほしい。美術館巡りのテンションで足を運んでも、後悔しないはずだ。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa