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パリで花開くNIGO®︎の才能。デビューコレクションから見えてきた、ケンゾーの新たな姿。

オートクチュール全盛の20世紀半ば、カステル・バジャックやソニア・リキエルらと共に、パリ・モードに反旗を翻し、プレタポルテの礎を築いたデザイナー、髙田賢三。彼はストリートファッションの先駆けとしても知られ、モッズやロッカーズが一世を風靡した時代、ロンドンのユースカルチャーから大きな影響を受けてコレクションをつくりはじめました。

髙田の初のランウェーショーは1970年。パリの「ルーヴル美術館」近くにある歴史的なアーケード「ギャラリー・ヴィヴィエンヌ」が会場だったといいます。

このショーから約半世紀経った今年1月23日、〈ケンゾー(KENZO)〉がリスタートの舞台に選んだのは同じ場所でした。ブランドを指揮するのは、東京のストリートファッションを牽引してきたNIGO®︎。髙田と同じ「文化服装学院」出身であり、1970年生まれというところにも不思議な繋がりを感じさせます。

パリの中心地にある「ギャラリー・ヴィヴィエンヌ」。1823年につくられた由緒あるアーケードで、床にはモザイク模様のタイルが敷かれている。

客席に置かれたギフト。来場者にはポンチョになるブランケットが配られた。

記念すべきショーを見届けようと、客席にはNIGO®︎の盟友であるファレル・ウィリアムスやYeことカニエ・ウェストなど錚々たるラッパー、セレブがずらり。なんと幕が上がる前にNIGO®︎自身もランウェーに現れ、招待客と同じ席でショーを見守りました。通常、主役であるデザイナーはフィナーレの後、舞台に出て挨拶するのが恒例ですが、そんなことを気にしないところにも正統派デザイナーではないNIGO®︎らしさが感じられます。

ファレル・ウィリアムス一家

カニエ・ウェストとジュリア・フォックス

ラッパーのプシャ・T

スタイリストのブラッディ・オシリス

ラッパーのガンナ

コレクションは髙田へのオマージュを感じさせるデザインを中心に、自身のルーツであるアメカジやトラッド、ワーク、ミリタリー、ロンドン・カルチャー、和装などのアイディアがふんだんに散りばめられていました。正攻法といえる〈ケンゾー〉ならではのエレガントさをしっかり残したクリエーションで、NIGO®︎らしいポップな色使いやグラフィックが違和感なく取り入れられています。




















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世界の業界関係者やファッション好きが固唾をのんで見守った60体。驚くようなデザインやコラボものを並べるのではなく、自身の好きなテイストを取り入れながら、髙田に敬意を評してつくったファーストコレクションと言えそうです。

改めて振り返ると、かつて筆者がNIGO®︎を取材した時、彼は以下のように話していました。

「(ア ベイシング エイプ®︎を)売却した後、一時は、もう一通りの経験をしてきたのだから引退しようかとも考えました。けれど、昔からの僕を知る周囲の仲間たち、あるいは先輩たちから、『NIGO®︎は常に切り込み隊長だったから、これからもっと頑張って欲しい』と言われてハッとした。そうすることで僕と同じように行き詰まってしまった若い世代にも、何かしらの希望を与えることができたら嬉しいです」

まさに第一線で活躍し続けてきたからこそのアーティスティック・ディレクター就任。LVMHグループのブランドを手掛ける唯一の日本人です。

価値観が多様化し、ファッションが難しいものになりつつある時代のなかで、このコレクションは今後への期待を抱かせる内容だったのではないでしょうか。

INFORMATION

ケンゾーパリ ジャパン

電話:03-5410-7153
オフィシャルサイト

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