“服は着るもの”。そんな常識に縛られず、服の新たな可能性を模索するアーティスト、Yutaro Ishikawa。
ビジネスコンサルタントとして働きながら、2018年から〈リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)〉の山縣良和氏が主催する「coconogacco」に通い、ファッションとアートを学んでいる、異色の経歴の持ち主です。
そんな彼が、コロナ禍の自粛が続く中で制作したオブジェを「flotsam books」で展示販売します。
シャツや靴下を蝋で固めることで、ひとつのオブジェクトを生み出すIshikawaさん。この作風に至ったのには、とあるきっかけがあったそう。
今回の制作のきっかけは、2020年コロナ禍の自粛が続く中で、海外に住む友人から本人の古着を購入したことだ。海外から届いた段ボールを開けた時、彼が普段まとう香水や吸っているタバコのにおいがした。そのにおいを嗅いだとき、彼と過ごした時間の一つ一つ、例えば一緒に飲んだコーヒーの味、一緒に車中で聞いた音楽、彼の家から見えていた景色等が鮮明に呼びさまされ、とても懐かしい気持ちになった。
この経験から衣服には着るというだけではなく、着た人特有のにおいが染みつく面白さがあることに気づき、衣服とにおいの表現方法を考えるようになった。アロマキャンドルがワックス自体に香りを閉じ込めていることからヒントを得て、においをつけたワックスに服を浸すことによって、半永久的に服ににおいを留めることができるのではないかと実験を繰り返した。
「flotsam books」には、そんな“服とにおい”に焦点を当てた作品が並びます。一般的な絵画や彫刻と違って、香りを楽しむことがひとつの醍醐味。ですので、ぜひ足を運んで、作品に閉じ込められたいつしかの記憶に想いを馳せてみてください。
会期は、2月10日(木)から20日(日)までです。
YUTARO ISHIKAWA EXHIBITION
場所:flotsam books
住所:東京都杉並区和泉1-10-7
時間:14:00-20:00 水曜日定休
Instagram:@yutaroishi