「ポーチ」や「カセット」などのバッグ、あるいは “ボッテガ・グリーン” と呼ばれたカラーパレット。ファッション好きが夢中になったここ数年の〈ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)〉のコレクションの中でも、メゾンのヘリテージであるイントレチャートをアップデートした――文字通り大きな格子をまっすぐに並べたマキシイントレチャートは最も印象に残るデザインワークだった。いまのぼくらにフィットするモダンをものの見事に体現していた。
その陰に隠れて、大切につくり続けてきたのがヘリテージを彷彿とさせるイントレチャートである。斜めに走るナロウなフェットゥーチェ(革紐)が形づくる格子柄は確かに往年の〈ボッテガ・ヴェネタ〉に近い。しかし単なるノスタルジーではなかった。格子のサイズやバランスをミリ単位で突き詰め、ポップなカラーパレットを多用したこのイントレチャートもまた、こよなくモダンだった。マキシイントレチャートほどのインパクトはないけれど、それだからこそかえってオマージュが感じられた。
ここで紹介するウォレットはそんな〈ボッテガ・ヴェネタ〉らしさにあふれている。ミストカラーで染めたコインパースつき二つ折りウォレットはどんな服にも溶け込み、キウイカラーのタイニー三つ折りウォレットは格好のアクセントになってくれることだろう。
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa