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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.51 “ヴィンテージ加工が懐かしくも新鮮”な、ジェイクルーのスウェットスタジャン。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

気が付けば7シーズン目に突入した本連載。というワケで、新たにショップも入れ替わってリスタート。第51回目は、下北沢にある「マッド(MUD)」の石橋卓さん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


石橋卓/MUD オーナー
Vol.51_ジェイクルーのスウェットスタジャン

―石橋さんにとっての、ニュー・ヴィンテージとは?

まず前提として、ひと昔前のように“◯◯さんが、リコメンドしていたから”でモノに価値が付くのではなく、それぞれのショップが良いと思うモノを独自の視点と価値基準で値段をつける時代になっているんじゃないかなと。ウチでいえば“幅広い世代が、普段着として着回せるか”。要はリアルクローズとして成立するモノ。その上で、市場では全然評価されていないけれど、入荷すればすぐ売れてしまうし、買い付けの際にも見つかりづらいモノ。これらは既存のトゥルー・ヴィンテージ的価値基準とは違った視点=ニュー・ヴィンテージとして評価すべきだと思っています。

―ということで、今回選んでいただいたアイテムは?

〈ジェイクルー(J.CREW)〉のスウェットスタジャンです。スタジャンといっても、シャツ感覚で羽織るライトアウターって感じで、年代的には00年代に入ってすぐのモノだと思われます。こういったフェードした色&風合いも今の気分ですよね。タグに“VINTAGE FLEECE”と記されているように、ヴィンテージテイストのデザインを施したラインなんでしょうね。なので、最初からこの状態で売られていたのではないかなと。

ジェイクルーのスウェットスタジャン ¥14,190(マッド)

―〈ジェイクルー〉は、以前もこの連載でアノラックが取り挙げられています。

いま、古着業界で人気があって同じようなポジションにいる〈ギャップ(GAP)〉や〈エディー・バウアー(Eddie Bauer)、〈エル・エル・ビーン(L.L.BEAN)〉なんかは、出てきても「あ〜、コレかぁ」というアイテムが多いのですが、ココの場合は「何だコレ?」っていうあまり見ないアイテムが見つかる印象があって、ついつい着てみたくなるんですよね。創業が1983年なので、どのアイテムもニュー・ヴィンテージという枠組みにハマると思いますし。

―00年代って、こういったアメリカン・クラシックなヴィンテージテイストが流行った時期がありましたよね。

でしたね。その結果、あまりに流行りすぎたのと、加工技術ばかりが先行したトゥーマッチなモノが増えたことで飽きられてしまい、その後は逆に避けられるように…。ですが、いままたそういうアイテムを作るブランドも登場してきているし、若い世代は“これまで見てこなかった新鮮なモノ”としてフラットに受け入れているという印象はあります。〈ジェイクルー〉的にもこの年代だとシャツやニットはよく見つかりますが、こういったスポーティーなアイテムは意識して探してもあまり出てこないので、スウェットスタジャンという選択も面白いんじゃないかなと。

―では、スウェットスタジャン自体のストロングポイントって、どんなところでしょうか?

ヘビーアウターを着るほど寒くないし、シェルアウターは気分じゃない。だけれど肌寒いという時に、ちょっと羽織れるみたいなカジュアルさはありますよね。あとは家庭で洗濯ができるという点も。手入れが楽というのは、それだけ普段使いで着回しやすくなるということですし。選ぶ際のポイントとしては、ボディの切り返しだったりリブの部分だったりの配色でしょうね。あとは、今回紹介するモデルでいうとサイズ感。XLサイズとはいえ、着丈も袖も長いし、身幅もしっかりあってリブはゆるめ。オンスも薄めの8〜10オンスってとこなので、重ね着もしやすいかと。リアルクローズという点でも文句なしです。

―石橋さんだったら、このアイテムをどんな感じに着こなしますか?

“スウェット素材”も“スタジャン”も、両方ともスポーティーなイメージがどうしても強いアイテムなので、ボトムスはデニムパンツを選ぶのではなくスラックスで合わせてみるとか。ジャンルの異なるデザインを入れてみると面白いと思います。先ほども話したように薄手なので、この中にフーディーを重ねるなんてことも可能。ヴィンテージテイストも相まって、本気度が薄れていることで、色々なスタイルにハメ込みやすくなっているというのも魅力のひとつだと思います。まさに“どうやって着ようか”と考える楽しみのあるアイテムということですね。

石橋卓 / MUD オーナー
原宿の「スプラウト・セカンド(SPROUT 2nd)」、「バド(BUD)」に勤めて、約10年間の経験を積んだのちに独立。2019年、下北沢に自身がオーナーを務める古着屋「マッド(MUD)」をオープンさせて、今年で3年目を迎えた。同店は、多種多様なスタイルを持った多くの人々が楽しめるよう、幅広いラインナップが特徴。古着を通して“服を着る”楽しみを伝え、インスタグラムのフォロワーは1.4万人超え。
公式サイト:mud1484.thebase.in
インスタグラム:@1____mud____1

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